私の体はどうやらナルガクルガになったようです   作:粉プリン

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怪我

ここ最近この辺りが物騒になって来ていた。理由としては一つにハンター達が来たことが挙げられる。何故か私を見つけると積極的に絡んで来るようになった。渓流にいた時は遠くから見るか、適度に腕を測られてるような感じがしたが、今はまさにガチ装備で殺りに来てるようなものだ。おかげで昼寝もおちおち出来やしない。

そしてもう一つの理由だけどこっちの方がやばい。明らかに不味い。色々な意味で。

 

(遠目で見ても分かるのに近くだと本気で怖いなぁ……)

 

自分が寝てる眼の前で黒い龍が二頭、ブチ切れてる状態で立っていた。先程からハンターが来るたびにこのディアブロス亜種とティガレックス亜種が戦っていた。といっても突き上げてからの轢き逃げコンボで全員リタイア状態だが。この二頭に関してはハンターが名前を読んでたので助かったがいい加減ゴーヤの名前が欲しい。いつまでもゴーヤだとそのうち海に潜水しだしそうだ。

 

(と言うか寝れない原因って単純に五月蝿いだけなんじゃ……守ってくれてるし感謝するけどさ)

 

何が気に入らないのかは分からないがここに来て初めてハンターと戦っている時に地面と空からこの二頭が現れた。当然ハンター達の方が驚きは大きいだろう。私だって2ndのパケモンスターの亜種と2ndGのパケモンスターの希少種と砂漠のマ王の亜種なんかが同時に来たらゲーム機ぶん投げる自信がある。

 

(そろそろ日も落ちる頃だし狩りに行こう)

 

そろそろ食事に出かけよう。ここのところ殆ど動かないから少しは運動したい気分だった。食事をするだけで体は成長し進化するらしいが、それでも気分的な問題があった。

 

(さてと、どこかに獲物はいないかなっと………ハンターかな?でもそれにしては人数多いな)

 

砂漠の向こうから人影が出てきた。後ろに馬車のようなもので何かを運びながら大人数がこちらに来た。とうやらハンターでもなければ行商人という訳でもなさそうだ。

 

(なんか……怪しいな。君子危うきに近寄らずってね。無視してこのまま食事に行こう)

 

しかし集団は私が迂回しようとすると明らかにこちらに向けて進路を変えてきた。しかも近づいてきた事によって後ろに積んである物が見えた。

 

(……おかしいな。私の目が疲れてなければさっきのアレ、檻だよね?あれハンターじゃなくてもしかして密猟?)

 

なんだかマッハで面倒な空気を感じ取ったが今ここで帰ると住処までついてきそうだった。

 

(ここであしらってさっさと帰ろう。そのうち寝不足でぶっ倒れそうだわ)

 

密猟団は私からある程度離れた場所に着くと後ろの馬車から何かの部品を下ろした。そしてその場で組み立て始め一分もすると形が見えてきた。

 

(あれどう見てもバリスタだよね。持ち運び式のが合ったんだ。流石にゲームとは違うんだね。というかあれどうしよう。撃ち込まれたら対処出来るのかな?刃翼で斬り飛ばせるならいいけど)

 

そうこうしてる間に簡易バリスタが完成し槍も装填し終わったらしい。がよく見ると密猟団の更に後ろから黒い影が二つ程走ってくるのを見て察した。

 

(すいません、密猟団さん達ご愁傷さまです)

 

そのまま二頭が暴れまくって、終わりかと思ったが一人がディアブロスの方に向かってバリスタを撃ち込んだ。流石に古龍用の兵器を食らったら不味いと思い、ディアブロスにタックルする形で躱そうとしたがここで久しぶりに私の悪運がクリティカルした。

 

(いっだぃ?!)

 

バリスタの先端部分が尻尾の付け根に刺さり尻尾をちぎり飛ばしてどっかに飛んで行った。流石にこれは痛すぎてやばい。今までまともな怪我したことなかった身にとっては部位破壊レベルの怪我は酷く、行動に支障が出るほどだった。幸い残りの密猟団は片付けたらしくバリスタの破片がそこらに転がってるが。

 

(凄く痛い……冗談とかなしでこんな痛いんだ。もうゲームで部位破壊狙うのやめよう)

 

なんとなく千切れ飛んだ自分の尻尾を回収して洞窟に戻った。

 

(本当に災難でした。もうしばらく引き篭もろうかな。あぁ狩りも出来なかったからお腹空いたな……自分の尻尾でも食べようかな。美食家さんも自分の体は美味しいって言ってたし)

 

尻尾を食べてると痛みと空腹でそのまま寝落ちしてしまった。


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