(やっぱり暑いなぁ……砂漠だから当たり前だけど、これじゃ日陰から出たくなくなるよ)
現在私は砂漠の洞窟の中に寝そべり日が落ちるのを待っていた。容赦なく照らしてくる砂漠の太陽に私もやられ、こうして日陰で体力を無駄遣いしないようにしているほか無かった。
(そもそもここって水分少ないから霧が作れないじゃん。選択肢としては外れだったか)
渓流と違い一面砂しか無い砂漠では自分で霧を作れず日が落ちてから試してみるしかなかった。それまでは目立って狩りもできない。が、飢える心配はなかった。
(おー、ホントに有難う。助かるよ)
渓流の時と同じようにジャギィ達が木の実や茸を持って来てくれた。ジャギィ達なら渓流にいた子がここにいてもおかしくないと思うけど、さっきはボルボロスが来たしなんか自分が王様のように思えてきた。
(王様じゃ語弊があるか、自分は女の訳だし。とするとさしずめお姫様……ないな。女王様ってとこか。憧れてたって言えば憧れてたけどこんな形で叶うとは誰も思わないよ)
日中は動けないため至極助かるが、助かりっぱなしなのも悪いので今度何かしてあげよう。出来ることは限られてるけど。
(そろそろ日も落ちて来たことだしぼちぼち動き始めますかなぁ)
辺りも薄暗くなって来たため行動を開始した。まずは洞窟から出て見た。昼間と違い冷えるような寒さを感じる。体調を崩すほど酷くはないけど。霧を出してみると問題無さそうだった。ただ足場が砂の為思いっきりジャンプする事は難しそうだった。早くこの土地に慣れないと。
(まずはリノプロスでも狩って食事と足場の適応だね)
場所を移動しステルス状態で砂漠の真ん中に移動するとちょうどリノプロスを発見した。そのまま気付かれないように飛びかかろうとした。その時地面が膨れ上がり、リノプロスの下から巨大な口が現れた。
(ハプルボッカだ……かなり大きいな。私だったら丸呑みできるんじゃないかな?そこまで私も小さくはない……筈)
ステルスを解くといきなり現れた私に驚いたのか潜ってどこかに逃げてしまった。まぁこれが普通の反応だろう。むしろなんの躊躇もなく近づくジャギィ達が不思議すぎるのだ。何故ここまで他のモンスターに好かれてるのか分からない。
(……他の場所探そう)
だが結局その夜は他に目ぼしい獲物はおらず、日中いた洞窟で朝まで寝ることにした。朝に何か狩れればそれでいいや。
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(こうなる運命なのか……)
朝起きて、いざ狩りに出発しようとすると地面からハプルボッカが出て来た。と思えば口からリノプロスの死体を出した。傷が少なく腐敗や消化が始まってない事から今朝取ってきたものだと分かったが、昨日やっと普通の子に会えたと思ったらと思うと少し悲しくなった。
(何故みんなそうなるんだ?これはもう諦めたほうがいいのかな)
何故かは分からないが私に出会った出会ってないに関わらずモンスターが寄ってきて食料を与える。なんかまんま女王様状態だけどモンハンでこんなのいたっけ?クルペッコがそれっぽいけどあれは同じ鳴き声で誘導してるだけだし……
(……諦めよ。人生適度に諦めが肝心って誰かが言ってたし。これは体質、仕方がないこと)
今はとにかく持って来てくれたリノプロスを食べよう。腹が減ってはなんとやらだ。