次の日の朝、起きて昨日と同じく渓流に来てみたらまたジンオウガがいた。たぶん昨日助けたのと同じ子だと思う。考えてると向こうもこっちに気づいたらしく口に何かを咥えながらこちらによってきた。
(……蜂蜜?)
ジンオウガが口に咥えていた蜂の巣を地面に置くとそのまま去っていった。訳がわからないがラッキーだった事にしておこう。その日は蜂蜜を食べて他にも茸などを食べた後ちょっとした高台の上で昨日と同じく昼寝をした。しばらく寝てると辺りが騒がしくなってきた。高台の上から覗くとドスジャギィを筆頭に鳥竜種が何頭もこちらを見てギャアギャア騒いでいた。
(五月蝿いから静かにして欲しいんだけど……てかその蜂の巣は何なの?今朝もジンオウガが持って来てくれたけどなにか意図があるの?)
聞いても答えてくれない。どうやらアンセスと違って意思疎通は出来ないらしい。幸いこちらが起きたことに気づくとそれぞれが別方向に帰って行った。
(何だったんだろう。この蜂の巣はどうするの?私に食べろと?嬉しいけど流石に蜂蜜ばっかりじゃ飽きそうなんだけど)
時間も丁度いいから頂くけど。口の中が甘ったるいからなにか刺激物でも食べに行こう。その場から飛び上がりしばらく飛んで小川の側に来た。
(確かハレツアロワナとかそんな感じの魚がいたっけ……どうやって魚取ろう?)
今更だが手が大きすぎるため、例え魚を掴んでも持てないし、押さえつけただけでぺちゃんこだろう。どうしようか悩んだ結果、誰かが取ったところを少し頂戴することにした。どの道自分じゃ取れないしそれしかない。なので近くの茂みに隠れ、念の為ステルス状態で隠れることにした。
(……………………暇だなぁ)
こう、食事の後に麗らかな日差しの下でじっとしてると眠くなってくる。この体になってから基本的に食事をする時以外はあまり動かなくなっていた。たまに運動はするがそれも稀なため日中は寝てることが多かった。その為今回も対した抵抗もなく寝てしまった。
(………………ぅっ?今何時くらい?………夜だわ、そこまで寝てたのか)
起きると辺りは真っ暗になりもう少しで月がもう空に輝く時間帯になっていた。静けさがその場に漂い、虫一匹いない……いたわ。雷光虫が何匹も飛んでいた。ん?雷光虫?
(うっそん、またですか)
背後にはお馴染みのジンオウガがいた。しかもなんかバリバリしてた。本気モードじゃん、戦ってきたの?もはやストーカーなのかと思うが当の本人?にその気はないのだろう。現に私の足元にはいつの間にかまた蜂の巣が置かれていた。
(一日三食蜂蜜はやだな流石に。もっと魚食べたいんだけど……取ってくれないかな?)
水辺に行きそれとなく魚を掬う真似をするが、じっとこちらを見つめるだけだった多分というか絶対わかってないと思う。
(しゃーない、蜂蜜で我慢しよう。好き嫌い言ってられないし)
蜂蜜を食べた後、ふとジンオウガを見るとさっきの水辺を覗きこんでいた。覗くだけで帰っていったけど。
(私もそろそろ帰ろうかな?でももう暗いし今日はいつもの高台で寝るかな?そろそろ引っ越ししようかと思ってたししばらくこっちにいよ)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
古龍観測隊からギルド本部に連絡
渓流にて未確認のナルガクルガを確認。おそらく希少種と思われます。ユクモにナルガクルガ希少種が来たのはおそらく初めての事なので特徴のみ記載して送ります。対象は月色の毛並みをしていて体から霧を出し体色を周囲と同化させることが出来るようです。他にも、このナルガクルガに近づこうとするハンター達から守るようにジンオウガが戦うような場面を目撃しました。これもこのナルガクルガの能力かもしれません。
ギルド本部より古龍観測隊に連絡
確認しました。それはナルガクルガ希少種で間違いありません。守るような行為に関しては特に情報はありません。おそらくその個体独自のケースだと思われます。調査や危険度の把握の為上位ハンター用に依頼を発行しました。そちらも観測を引き続きお願いします。
クエスト名『月光流星』
依頼者:ギルド本部
クエスト内容:渓流にて未確認のナルガクルガが確認された。本部はこれをナルガクルガ希少種と断定しこの個体の調査を頼みたい。なお、このナルガクルガを守るように周囲には大型モンスターの存在も確認されている。ナルガクルガ希少種自体も相当の実力を秘めているだろう。十分に安全を確保した上で挑んでもらいたい。
契約金:350z
報奨金:7000z