(ところで、貴様はなぜここに来たのだ?)
二人の喧嘩を止めた後、天藍に質問された。
(何故って言われても……元々丁度いい住処を探してたんだけど、さっき黒い霧を見つけてそれを辿ってきたらここに着いたんだよ)
(その辺に住めばいいじゃねえか)
(そう簡単に決まる話じゃあるまい。その辺と言った場所にどれだけのハンターが来る?それを考えてからものを言うのだな)
(喧嘩売ってんのかぁ?!)
(貴様が馬鹿を晒しただけだ!)
(止めなって!なんで二人ともそんな喧嘩してるの!ちょっと二人とも離れなよ)
(ふん……とにかく、その辺が駄目なら誰かんとこに邪魔すりゃいいんじゃねえか?)
(誰かって言っても……)
四年間も絶海の孤島に引き篭もっていたのだ。知り合いに会えるかどうかも分からない。前々から塔にも行っていたがアンセスを見ることもなかった。単にタイミングの問題ということも考えられるが。
(なんだ?お前ボッチなのか?)
(べべべつにボッチなんかじゃないし!ちゃんと友達だっているもん!)
(へぇー)
(信じてなさそうだな)
(そりゃそうだ。こんなひょろっちい奴に友達が出来んのか?ちょっと言ってみろよ)
(えっと……アンセスと、カドラと……あとミズハさんとかアイルー達)
しまった。数えてみてわかったけど私思ったより友達少なすぎだよ……。ジンオウガとかイビルジョーは話した事ないし分かんないんだよね。なんとなく言いたい事はわかるけどそれだけだし。女の子は成り行きで一緒だっただけだから友達なのかも微妙だ。
(なんだよ、全然いねえじゃねえか!)
(うっ……言い返せない」
(だが、逆にそのもの達とどの様に知り合ったのだ?古龍が大半の様だが…)
(私が元々いた場所にアンセスが偶に月を見に来てたんだよ。で、飛んでるときに翼が燃えて落ちたところにミズハさんがいて、その後火山でカドラさんに会ったんだよ)
(思ったよりも波乱万丈な生き方をしているな)
(まず翼が燃えたってなんだよ)
(色々あったんだよ……)
まだ加護を扱いきれてなかった時の話だけど不思議と忘れずに覚えている。まぁ尻尾切られたり、変なハンターと戦ったり、大狩猟したり、嫌な事ばっかだったから忘れてないだけかも。
(とりあえず、行く宛がないなら雪山を進めるぞ)
(何で?)
(あそこは環境が厳しくモンスターの数も少ない。それに竪穴などの洞窟もある。なかなかい良い場所だ。こいつの様なデカイ図体だと入らないが貴様は小さい方だ。平気だろう)
(そっか、ありがとね天藍)
(テメェ俺の体貶してんのか?!お前みてえに変な色してないだけマシだ!)
(黙れ!単色で黒など自然に混ざる事も出来ないのか?!)
(うるせえな、俺は強いからいいんだよ!)
(なら試してみるか!)
(上等だかかってこいよ!)
(…………それじゃ、私はこの辺で)
もはや、止めても同じ事だと諦めて二人を残して飛び立った。目指すは雪山の方角だ。
(…………ところで、雪山ってどっち?)