(はぁ………いい加減意識切り替えないと不味いよなぁ)
一旦凍土に行くのは中止して渓流に戻ってきて数日。帰ってきた瞬間にジャギィ達が魚や蜂の巣を持ってきたので早速加護の力が強くなってることを確認したがその後からが本番だった。朝起きれば食料を持ってくる。空を飛んで軽く散歩に行くだけで大量のモンスターが着いて来る。終いにはハンターが渓流に入って来ただけで無差別にほぼ渓流内のすべてのモンスターが襲い掛かる。今までとあまり変わらないと思うが、今は動く数が違う。前までなら多くて三頭とか一緒に散歩感覚だったのに今じゃほとんど付いて来るから護衛みたいな感じになっている。向こうからしたら案外そうなのかもしれないけど。
(とりあえず、何とかしてこの状況を変えないと。もしここにいるだけで他のモンスターに影響があるならもっと別の場所に行こう)
それこそモンスターが一匹も居ないような辺境の地に。
(私の加護は常時発動してるから抑えることは出来ないと。加減とかは出来るのかな?そもそも私自身、他の加護の力は意識してないんだよね)
頭の中で加護の力を意識してみるが全く分からない。どうやらただ炎を出したり、電撃を放ったりではないようだ。
(それにこっちも問題だよね………)
傍らではさっきから女の子がうなされていた。丁度私が宝玉を食べた辺りからなので私の加護の力が働いてると思う。この子は私に付いてきただけだから何も関係ない、それなのに私の事情に巻き込んでしまった。せめてアイルー達を帰す時に一緒に前の別荘に帰せばよかったよ。ここで言っても仕方ないから早く制御できなくても力を知覚して強弱くらいはいじれるようになりたい。
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あれから二日、未だによく自分の加護を理解していないけど、一つだけ分かったことがあった。私が近づくと女の子が呻き出し、私が何かをしに少し離れると呻き声が収まる。どうやら私の一定範囲にいることが原因なのかもしれない。これが分かっただけでもずいぶんな収穫だった。
(ごめんね、私が自分の危険性をよく理解しておかなかったから………今回の事で学んだよ。私は私を理解してくる。もしかしたらまた逢えるかもね。ばいばい)
女の子をハンター達が本来使う拠点のベッドにゆっくり寝かし、ステルス状態で全力でその場から離れた。遠くの方でモンスターの声が聞こえるけど今は全て無視する。
(できるだけ遠くに行こう。モンスターがいない、ハンターも来ない場所に……)
目指すのは加護の制御だ。それくらい自分でやってやる。
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白帝竜観測隊よりギルド本部に連絡
渓流に白帝竜が再び帰ってきた後、他のモンスター達の行動が激変しました。常に白帝竜の周囲に陣取り、食料も奪い合って白帝竜に持って行こうとしています。白帝竜の力が増えたか、もしくはうまく制御できてないか、もしかすると白帝竜自身の力が弱まり周りのモンスター達が護衛しているのかもしれません。また、渓流のベースキャンプで王族から極秘に依頼されていた第三王女に似た格好の少女を見つけました。急ぎ保護をお願いします。白帝竜は現在の居場所は分かっていません。恐らくですがステルス状態で移動したらしく見つけるのには時間がかかると思います。
ギルド本部より白帝竜観測隊に連絡
了解しました。ベースキャンプで発見された少女は依頼の第三王女と言う事が判明しました。発見したハンターには後日依頼料をこちらから渡す形になりました。白帝竜が消えた件ですが討伐依頼を取り消し、代わりに広い地域で再び生態調査の依頼を回すことが決定しました。そのためそちらは一時こちらに帰還してください。今日まで観測ご苦労様でした。