「ようやく見つけたのじゃ!妾もついているの!」
(あの………何でここに居るの?)
ハンターを振り切り追っ手が撒けたことを確認するためステルスを解除したのが運の尽きだった。いつの間にかさっきの女の子が後ろにいて尻尾から私の体の上によじ登ってしまった。見た目によらず随分アグレッシブ過ぎて驚いた。
(と言うかこれ、私が誘拐したみたいになるよね……私が誘拐されたほうなのに)
もしかしたらハンター達に既に依頼が回ってるかもしれない。かと言ってここに置き去りにしては野生のモンスターに襲われるだけ。なら多少危険でも連れて行ったほうが安全かな?これから行くの火山だけど。
(私これから空飛ぶんだけど)
何も対策せずに飛んだら確実にこの子は落ちるだろう。悩んだ結果尻尾を女の子の体に巻きつけて衝撃で飛ばないようにした。こうでもしないと無理だろう。
(ちゃんと捕まっててよ!)
女の子は飛ばされることなく尻尾に捕まっていた。それどころか途中で「景色が見たいからもっとゆっくり飛べ」や「あそこの湖が見たいから降りろ」など傍若無人っぷりを見せた。モンスターにここまで言える子もそうそういないがいちいち要望に答えてしまった私も私だろう。おかげで火山に到着した頃にはすでに日が暮れていた。
「今日はここで寝るのか?妾はベッドのある場所で寝たいんじゃ……」
(そんなのハンターの拠点にしかないでしょ。そこまで行ったら私がやられるよ)
本格的に駄々をこねないうちに尻尾で持ち上げると腹元に押し付けて尻尾で包んでおいた。私もある程度は体毛があるから暖かいはず。これで文句あるなら置いていこう。
「おぉ!……ほぉー!」
お気に召したらしい。ただ尻尾の毛を引き抜こうとするのはやめて欲しい。すっごく痛い、尻尾が千切れるほどじゃないけど地味にくる痛みがある。
(………やっと寝た)
しばらく位置を調整したり毛を引っ張ったりしていたが飽きたのか、丁度いい位置を見つけたのかようやく寝てくれた。安心したので私も眠りだした。
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(その子はどうしたんだにゃ?)
(うーん……成り行きで着いて来ちゃったとしか……)
現在、朝食のために鉱石でも食べようとしてピッケルで採掘をしているアイルーを見つけて集落に案内してもらった。ちなみにどこでピッケルを手に入れたか聞くとハンター達が手持ちがいっぱいで捨てて行った物らしい。
「可愛いのじゃ!一匹連れて帰るぞ!」
暴れだしそうだったので尻尾で掴み上げて背中に乗せておいた。
(それで、ルナさんはどうしてここに来たんだにゃ?)
ルナさんとは私のことらしい。ルミナスを切ってルナ。それならルミじゃないと思ったがルナの方がいいらしい。まぁ元々月光でステルス状態になるので月を表すLunaが合ってるしいいか。
(前にここに凍土で寒さに負けないために何かないかなって思ったんだよ。その時は草を食べてたら発火器官が出来たみたいなんだけど、凍土じゃ燃やすものがなくて意味が無かったんだよ)
(それで別の物を探しに?)
(そうそう、何かそういったものって知ってる?)
(うーん………あっ、一ついい物があるにゃ)
(本当?)
(ただここじゃにゃくて他のみんなの場所にあるにゃ。だから暫くここにいるといいにゃ。僕達で集めてくるにゃ)
(私も手伝おうか?)
(それは有難いにゃ、でもそれだと……)
そう言って私の上ではしゃいでる女の子を見た。
(あぁ………私しか止められないしね)
(そうだにゃ、だからここで待っててくれにゃ。すぐに集めてくるにゃ)
(有難うね)
「何を話しているのじゃ!妾にも分かるように話すのじゃ!」