「ふむ、これも嫌いなのか?」
(いや、単純に食欲ないだけなんだけどね。伝わらないと思うけど……)
現在、どこかの宮殿のようなお城の中庭にてハンター達に囲まれながら女の子に色々話しかけられていた。周りの会話から察するにこの子はここの別荘の所有者の娘らしく相当立場の高い子らしい。その割には自由奔放すぎるが。女の子が次々とこんがり肉だったり調理した魚だったりを持ってくるがあまりお腹は空いてないため遠慮しておいた。それに中に何が入ってるかわからないし罠ではないとは限らないから食べ物には手を付けてない。
「お主、食べなければ育たないぞ!」
「お嬢様、もしや今は空腹ではないのでは?」
おぉ、執事さんナイスフォロー。見直したよ。
「いやじゃ!妾はこの者が食べているところを見たいのじゃ!」
ワガママ娘ェ……執事さんのフォローが。
「でしたら与えるものを変えてみては?噂によると蜂蜜が好物と聞いたことがあります。これをどうぞ」
「準備が良いぞ爺。ほれ、これならどうじゃ?」
(いや、蜂蜜はいいんだけど別にそこまで……まぁいいか)
この後、ここから出て行く時に何も食べていなかったせいでスタミナ切れなんて起きたら笑えない為少しだけ食べることにした。といっても渓流の斎みたいに蜂の巣ごとではなく匙で口の中に一杯ずつ垂らすので全然食べた気がしない。小さい飴を舐めてる気分だった。私が食べたことに満足したのか私の上に乗ると眠りだした。下手に動くと落としてしまうので動けなかった。私をここから動かさない為の作戦なんだとしたら的確すぎて涙が出てくる。
(暇だなぁ……いつもと対して変わらないけど。それにしても凍土どうしよっかな…………行くのやめようかな)
このまま行ってもまた凍死寸前のところを囚えられるだけだ。何か手段を考えなくては。これ以上発熱器官を望むのは無理そうなので別の方向性で適応しないと。
(電撃なんて使ったら体中黒焦げになりそうだし………溶岩?)
一瞬溶岩をガブガブ飲んでる自分を想像したけど流石にありえない。そんなの飲んだら進化する前に死んでしまう。
(でも、火山とかもう少し調べれば何かありそうだけどなぁ……また行ってみよう)
だとしたらまずはこの子を退かして、周りのハンターから逃げないと。ハンター達の武器を見るにそこまで上位の武器ではなさそうだから逃げに徹すれば苦労はしないだろう。という事は問題は自分の上で寝こけているこの女の子だけだ。女の子の脇下と膝下に尻尾を入れて、いわゆるお姫様抱っこでゆっくり下ろした。地べたは不味いと思い芝生の生えてるところに下ろしたから勘弁して欲しい。そのままハンター達の静止を無視して逃げ出した。途中ステルス状態になり追っ手はすぐに撒くことが出来た。
(とりあえず火山に向かうかな、飛ぶとばれるから歩いて行こう)
「……ここはどこじゃ?……あっ!あの者逃げおったな!逃さぬぞー!待てー!」
「お嬢様は何処にいらっしゃるのだ?」