私の体はどうやらナルガクルガになったようです   作:粉プリン

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異変

(うわー……昨日より酷いことになってない?)

 

次の日、水没林は土砂降りの雨だった。雨の勢いが強すぎて霧を出しても下に落ちてしまい最低限のカモフラージュも出来なかった。

 

(今日は出かけるのはやめておこ)

 

幸い洞窟の中には鉱石もあり、数日引き籠もるには充分なのでこのままここで雨が止むまで入ればいい。ロアルドロス達も魚を持ってきてくれるので特に問題はなかった。

 

(その間何してよう……)

 

ここのところどこかに移動するか食べるか寝るの三行動しかしてないため、たまにはこの先生き残れるように何かできることを考えてみた。と言ってもここ最近の食事で体の変化は見られないのでまた新しいものを食べる必要があるかもしれない。

 

(てことはあれか……)

 

残ってるのはラージャンを食べた事によって放つことが出来た電撃。意識して使ったことは無かったけど今は暇だしちょうど外に出ることもないのでこの機会に練習しておこう。まずは軽く体に纏うように放電してみた。……変化なし。次に刃翼や尻尾に意識して体を動かしてみた。こちらは手応えありで、目に見える程度には軽い電撃が見えた。最後に口から炎を吐くのと似た感覚で電撃を放つ。……予想以上に出来てしまった。天井がバリバリ電気を帯びている状態になった。

 

(電撃で筋肉を刺激してサイヤ人的なことは出来ないのかな?速度が上がればそれだけで手段は増えるけど出来ないなら色々と練習しよう)

 

 

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(やっと雨も上がったね。これで色々見て回れるよ)

 

一週間ほど経った今日。雨も上がり雲もどこかに行ってしまったため久しぶりに太陽を見た気がする。外に出ると辺りにフロギィ達がいた。何気に初めて見たけど特に関わるようなこともないのでとりあえずエリア内を歩き回ることにした。

 

(とりあえず蜂の巣があれば儲けもの、茸か木の実で許容範囲内、鉱石と魚はしばらくはいいかな……)

 

というかここんところ極端に同じものを食べ続けた結果、また体が進化していた。それについては今度話すが進化についての軽い方針が分かったほうが重要だった。推測だが色んな物を食べるよりは食性を偏らせた方が進化は早く出来る様だ。まだ確定とは行かないがこれはこの先の食事なんかで解明していきたい。と、エリア内を移動してると先の方に何かが落ちてた。

 

(うわっ…………誰?こんなことするハンターは)

 

そこにあったのはドスフロギィの死体だった。体中が引き裂かれ、明らかに死んだ後も過剰に攻撃されたような感じだった。更に表面の鱗や皮や牙などのハンター達着素材として使うものは全て例外なく取られていたため遠目にはただの肉の塊にしか見えなかった。

 

(流石にこんな殺し方をするなんて黙ってられないんだけど、何処の馬鹿がこんなことするの)

 

何処かでこれの犯人を知ってるモンスターはいないか考えたけど仮に知っていても私からは意思疎通ができない……いや、ここに住んでいてなおかつ唯一私と意思疎通ができるモンスターがいた。

 

(それで、ここに来たのかにゃ?)

 

(そうなの、何か知ってることはないかな?それっぽい事なら何でもいいんだけど)

 

急いでエリア内を周り、偶然見つけたアイルーの一人に集落に案内してもらった。ここの集落は穴を通って入るのではなく、板の上に草を引いて偽装した穴から降りる形で入るためそこそこの大きさがあり私でも難な降りることが出来た。

 

(そう言えば、友達が言ってたことだけど最近新しいハンターが別の地域からこの辺りに来たって噂らしいにゃ)

 

(新しいハンターなんて毎日来てると思うけど?)

 

(違うんですにゃ。友達曰く、そのハンターは本来なら複数人で行うラージャン討伐の依頼を一人で成功させたらしいにゃ)

 

私が戦ったラージャンはすぐ絶命したためどんな攻撃をするかは分からずじまいだったけど、少なくとも楽に戦える相手ではなかったのは確かだ。それを人間が一人で倒すなんて確かにそれは噂にもなる。

 

(それで?そのハンターについてなにか知らない?)

 

(そこまで詳しいことは……あっ、でも、聞くところによるとそのハンターは色んな武器を作るために毎日狩りに出かけてはモンスターを必要以上に狩ってるって聞いたにゃ)

 

(必要以上に……)

 

そんなことを続ければ明らかに生態系の破壊は免れない。それに恐らくだけどその位のことは人間たちの間でも暗黙の了解程度にはなっているはずだ。それを無視してまでモンスターを狩るってことは何か理由でもあるはずだ。

 

(分かったよ、情報ありがとうね。それはお礼だよ)

 

そう言ってここに来るまでに作っておいたこんがり肉を渡した。もちろん私は食べる分だけ狩ってるよ?アイルー達は滅多に食べることのできない物をもらったおかげで、すっかりお祭り気分になってしまったため邪魔をしないように出て行った。

 

 

ギルド本部より白帝竜観測隊に連絡

 

緊急事態が起こりました。前の白帝竜討伐作戦を計画した新米ハンターが水没林へ向かいました。恐らく白帝竜が水没林へ向かったとの噂を聞いたと思われます。彼の実力は現在の全ハンター内でもトップレベルに位置しますが?同時に非常に難解な性格をし、モンスターは徹底的に狩るため生態系への負担も懸念されています。ギルドからの忠告を無視して飛竜種を乱獲したこともあり一時期はハンター登録を停止していた事もありましたが今回の件は非常に厄介なことになりそうです。彼が白帝竜の勢力内の仲間、もしくは白帝竜自身に手を出した場合どのようなことが起きても不思議ではありません。最悪渓流で起きた大狩猟の様な事態も視野に入れ、こちらから水没林へ調査隊を派遣しました。そちらからも彼の監視をお願いします。


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