私の体はどうやらナルガクルガになったようです   作:粉プリン

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大戦争

(一つ言わせてもらおう……)

 

ただいまの時刻はお昼ごろ、久々に蜂蜜を食べながら私は渓流に向かって吠えた。

 

(どんぱち五月蝿すぎるんだよー!)

 

原因はハンター達と流れ込んで来たモンスター達が渓流のあちらこちらで戦っているからだ。戦いが始まってから既に三日が経過している。私からすれば適当に歩くだけでハンターにエンカウントするし、ハンター達からすればどこを見ても小型大型問わずモンスターの山だった。結果、怪獣大戦争のような有り様だった。

 

(やっぱり色んな所で仲間増やしてるって思われたのかな……)

 

確かに加護の影響で周りのモンスターが私を崇拝するのは仕方ないがこれは止められないのだ。そう、重要なことだがどうやら私の加護はRPGで言うパッシブスキルの様なもので常時発動してるタイプの物らしい。一度塔に帰った時に運良くアンセスさんに会ったので私の加護の事を聞いたのだがどうやらラオシャンロンやジエンモーランと言った古龍の繁栄と同じく解除出来ないらしい。(因みにアンセスさんはキリンより強力な雷の加護と少しの繁栄の加護を持ってるらしい)

 

(だからって何十人も寄って集って来ること無いじゃん)

 

本来狩場では余りパーティ同士が出会う場面は見たことがなかったが、最近は幾つものパーティが協力して交替しながら攻めてくるので休む暇もなかった。今までの食事でだいぶ強化されていたたため今はまだ余裕があるけど周りはそうは行かないようだ。現にジャギィ達は被害が出る前に巣に逃げていたし、アオアシラなどの中型モンスターはハンターが来れない様な場所に退避して身体を休めていた。

 

(あんまり戦闘は好きじゃないけど……さっさとやってまた昼寝でもしますか)

 

 

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広間の崖の上から覗くと下は酷い有様だった。そこら中に血が飛び、更には逃げ遅れたジャギィの死体や千切れたジンオウガの尻尾が落ちていた。崖の近くにハンター達が簡易テントを張ってそこで休憩していた。

 

(これ以上はやらせないから………私のエゴだけど帰ってもらうよ)

 

尻尾に力を込めて針を逆立たせステルス状態になると崖下に一気に飛び降りた。ハンター達がこちらに反応する前に棘を放つ。流石に鍛えた鎧を貫くほど硬くはないけど殆どのハンターがかすり傷を負った。そのままバックステップで一旦距離を取る。するとハンター達が次々不自然な格好で倒れだした。実は前々から練習していた尻尾の棘の状態異常が少し前にようやく制御できるようになった。まあ、狩る時ぐらいしか使うことがないのでそもそも練習自体あまり出来なかったわけだけど。ハンター達が動けないのでそのまま尻尾の薙ぎ払いでテントを破壊して周る。全てのテントが壊し終わる頃には向こうも痺れが治ってきたようなので一旦ここは退いた。

 

(とりあえず前線基地は潰したから後は補給線かな?)

 

この体になる前にやっていたゲームの中に侵略ゲーがあったためその知識を活かすなら戦いは人員か頭か土地を潰せば勝てると合った。今回で言うなら人員はハンター、頭はおそらくギルドや集会場、そして問はもちろんこの渓流。土地は却下、頭は街にいるだろうから無理。結局やれる事はハンター達にこれ以上はここで狩りを続けることが出来ないようにすること。そのために拠点と補給線を潰せばとりあえずは成功だ。

 

(さてと、街から渓流に来るには徒歩は遠すぎるから……いた)

 

街から渓流に続く道の脇に隠れること十分程。予想通りに荷台に食料や砥石を載せた荷車が三台ほど間隔を開けてやって来た。荷車が通りすぎるのを待ってから一番後ろの荷車に狙いを付けてステルス状態で飛び出した。勢い良く刃翼を振ると炎が上がり抵抗なく車輪を真っ二つに切り裂いた。そのままジグザクに飛んで三台とも斬り裂くと上に乗っていたハンターと荷物は転がり落ち、荷車を引いていたガーグァも衝撃で紐が解けたのか逃げ出した。先程と同じように痺れ状態になる棘を掠らせて動けなくした後、積み荷を一つ一つ燃やしていった。途中、お腹が空いたのと燃やせなかったのでで積み荷の砥石を少し頂いた。いつも食べてる鉱石よりは柔らかくて硬いグミみたいな感じだったため全て食べちゃったけどいいよね。補給線も潰したので戻りしばらく渓流の入り口でハンターの動向を見張っていたがしばらくすると渓流にいたハンター達がやって来た空の荷車に乗り帰って行った。

 

(やっと終わったよぉ…………疲れたぁ)

 

体力的には問題なかったが如何せん久しぶりのガチ戦闘だったため精神的にはもうクタクタだった。高台に戻ると何かを食べるのも億劫だったのでそのまま眠った。

 

 

〜~~~~~~~~~

 

 

白帝竜観測隊よりギルド本部に連絡

 

先日の若輩が独走した白帝竜討伐作戦ですが、結果は失敗に終わりました。作戦前半の周囲のモンスターの無力化はそこそこの線まで行きましたが、その後白帝竜がハンター達の仮拠点を襲撃しこれを破壊、また渓流に向かう途中の積み荷を残らず燃やし尽くすという行動により作戦継続が不可能と判断した為こちらの独断で作戦終了を通達しました。今回の件で白帝竜には非常に高度な知能を持っていると思われます。今後は白帝竜の扱いについて協議する必要があるかもしれません。

 

 

ギルド本部より白帝竜観測隊に連絡

 

作戦終了の指揮有り難うございます。おかげで被害を最小限に抑えることが出来ました。今回の件、白帝竜の高度な知能、そして作戦の開始と同時に砂漠や火山、その他の地域で一部のモンスターが渓流に移動した事から白帝竜討伐依頼をギルドからの特殊依頼にする事が決定しました。対象はG級でなおかつここ最近の古龍種の討伐実績がある者に限りこちらから依頼する形となります。また、小さな事ですがつい先日バルバレの地域にいたゴア・マガラの行方が不明になる事件がありました。白帝竜と同じくこちらも危険度の高いモンスターなので情報を流しておきます。


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