(ここ何処だろう……森だけど渓流でも孤島でもなさそうだし。水没林ではないよね。水ないし)
飛んでいる最中に刃翼が発火し、しばらくは耐えていたが流石に耐え切れなくなり眼下の森に不時着した。辺りは鬱蒼とした森林で少し進んだだけで迷いそうな感じだ。仕方なく辺りを散策していると一箇所だけ開けた場所があった。木々が天然のトンネルのようになり行き止まりの天井が崩れてそこだけ光が差し込んでいた。時間もそろそろ夜に差し迫ってきたししばらくはステルス状態で休憩しよう。
(調度いいしここで寝よう。寝床も確保できたし後は食料と場所の確認くらいかな……)
ドンッ
(……?誰か来たのかな?)
目を開けるが誰もいなかった。疲れてるのかと思い寝ようとすると頭を叩かれた。
(?!何かいる!誰?)
(やだわぁー。そんなに驚かなくてもいいじゃなぁい!)
………聞き間違いじゃなければ今物凄くアレな声が聞こえた気がする。
(あのー、誰かそこにいるんですか?)
(あらやだ!あたし以外でこんな事出来るなんてすごいじゃない?)
(えーと……)
(あたしはオオナズチのミズハよぉ!あなたのお名前は?)
(えっ?えと、ルミナスです……)
(いやん!かわいい名前じゃなぁい!そんなに緊張しなくてもいいのよ同じ透明になれる物同士じゃないところであなた見ない顔ね新入りかしらぁ?)
(あの……翼を火傷して、ここに落ちちゃって)
(あらぁ、翼の方は無事なのかしらん?)
(はい、翼は十分休んだのでもう平気です。それで……ミズハさんは何故ここに?)
(あたしはランポス達がどこかに行くから姿を消して見守ってたのよん。そしたら貴方がいるもんだから驚いちゃったわよ!彼ら、何かしたの?)
(いえ!……いつもこんな感じなんです。皆私の為に色々してくれるんです。私は何もしてないのに)
(ふぅん………どうやら加護が働いてるみたいね)
(加護……ですか?)
(そうよん!貴方、ハンター達が石みたいなお守り持ってるの見たことあるかしら?)
(はい、それでスキルとかが付くんですよね)
(そう、それが加護。アタシ達古龍が本来持っているチカラ。アタシは隠蔽の加護を持ってるわよん!基本古龍はみんな一つ持ってると思えばいいわ)
(じゃあハンター達が持ってるのは?)
(あれは大昔のアタシ達の鱗だったり脱皮した皮だったりが時間をかけて結晶化したものね。それなりの時間が経つから加護も元の性質とだいぶ変わるけどそれをハンター達が利用してるって訳!)
(なるほど……でも、私古龍じゃないですよね?)
(そうなんだけど……アナタから懐かしい匂いがするのよねん。誰かにあったことないかしら?)
(……あっ!塔でアンセスさんに会いました!)
(あらあの子まだ生きてたのねん!最近めっきり音沙汰なしだったから死んじゃったのかと思ってたわん!)
(それで……私はなんで加護を持ってるんでしょうか?)
(一概に古龍のみが持ってるとは言えないのよ。何事にも例外はあるようにね!ラージャンの坊やはキリンと同じ雷の加護を持ってるし、シェンガオレンとこの旦那さんだって古龍じゃないわよ。ラオシャンロンとかジエンモーラン見たいに繁栄の加護があるからあそこまで大きくなったのよ!まあ見たことないからわからないと思うけどねん!)
(じゃあ普通のモンスターが加護を持つことも有り得るんですか?)
(可能性としては十分に有り得るわよん!………そうねぇ。恐らくだけど貴方には崇拝の加護があるのかしらね?)
(崇拝……そうだったんですか……ありがとつございます。自分の力が分かっただけでも収穫ありです。今度お礼をしにきますね!)
(お役に立てたのならオールオッケーよん!ところでお礼なら貴方の身体を………冗談よ!そんなムキにならなくても襲わないわよん!)
(……とにかく、私はもう行きます。教えてくれて有り難うございます!)
(またどこかで会いましょうねん!)
(あの子、見た感じだと加護一つじゃなさそうね……何にせよこれからは何かあるわね…………楽しみだわぁ!