戦略級魔法師の日記   作:小狗丸

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九頁目

 §月←日

 

 今日は学校での知り合いが二人増えた。

 

 一人は「石金真白」という1ーEの女生徒で、名字から分かるようにボクと森崎君と一緒にモノリス・コードに参加する竜玄君の妹だ。

 

 真白さんは中条先輩と同じくらいの背丈で天真爛漫といった性格をしていて、元気のいい小型犬のような印象を受けた。

 

 そしてもう一人は「吉田幹比古」という男子生徒で、彼も真白さんと同じ1ーEの生徒だった。

 

 幹比古君の方は一見線が細い秀才風といった印象だったけど、重心や歩き方を見て実際はかなり鍛えているのが分かった。

 

 何せボクの側には似たような例(達也)がいるからね、すぐに分かったよ。

 

 二人と出会ったタイミングなんだけど、ボクと森崎君、竜玄君は放課後にモノリス・コードの打ち合わせをしていて、真白さんはその打ち合わせが終わった時に、幹比古君は帰り道に達也達と一緒に帰っているところを見つけて知り合いとなったわけだ。

 

 ……しかし、真白さんも幹比古君も話しやすくてすぐに友達になれたのだが、何故か幹比古君は竜玄君を最初に見た時に気まずそうな表情をしていたのが気になる。いや、あれは気まずいと言うよりは苦手にしていると言った方がいいのかな?

 

 二人ともずっと前からお互いを知っているみたいだし、竜玄君と幹比古君の間に何があったんだろう?

 

 

 

 §月↑日

 

 今日は驚くべきことがあった。

 

 なんと達也が九校戦の「技術スタッフ」の一人に選ばれたのだ……!

 

 九校戦に参加する選手が大会中に使用するCADは個人が持つCADではなく大会側が用意した一般用のCADで、それを選手の能力に合わせて調整するのが技術スタッフであり、CADの調整次第で選手の勝率も大きく変わることになる。

 

 言わば技術スタッフは九校戦の影の選手で、九校戦の技術スタッフに選ばれるにはCADを調整する高度なスキルが必要とされている。

 

 何でも今年の二年生の先輩方は魔工師よりも魔法師を志望する人が圧倒的に多いらしく、技術スタッフの数が全く足りていなかったのだとか。

 

 そしてそこに白羽の矢が立ったのが達也というわけだ。最初は中条先輩が言い出して、それに渡辺先輩と七草先輩も同意をして、今日の九校戦会議で七草先輩が達也を技術スタッフに推薦したのだ。

 

 最初は会議に参加した生徒のほとんど(ほとんど、であって全員じゃない)が達也の技術スタッフ入りを反対したのだが、最終的には達也は技術スタッフに認められた。

 

 達也が「二科生」というだけで彼の実力を疑っているものがほとんどであったが、ボクは達也が技術スタッフになってくれて本当に心強かった。何せ達也は世間では正体不明とされている超一流の魔工師「トーラス・シルバー」なのだ、技術スタッフとしてはこれ以上ないどころか反則クラスの人選と言える。

 

 その後、九校戦で達也が担当するのは新人戦の女子スピード・シューティングと女子アイス・ピラーズ・ブレイク、ミラージ・バットにモノリス・コードと決まった。……って、これは流石に多すぎないか?

 

 いくら達也の技術が超一流だとしても一人で四種目を担当するのは無茶でしょ?

 

 流石に心配になって達也に「大丈夫なのか?」と聞いてみると「ああ、確かに一人では辛いだろうな。だから一光、お前にも手伝ってもらうぞ。お前のCADを調整するスキルは確かだからな」と言われた。

 

 ……マジですか? ボク、選手と技術スタッフ兼業?


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