戦略級魔法師の日記   作:小狗丸

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 今日、九校戦での出場競技が決まった。

 

 ボクが出場する競技は「アイス・ピラーズ・ブレイク」と「モノリス・コード」。

 

 アイス・ピラーズ・ブレイクは通称「棒倒し」といって一対一の対戦競技。自分と相手の陣地にそれぞれ十二本ずつ氷の柱が立てられたフィールドで、先に魔法で相手の陣地に立つ氷の柱全てを倒した者が勝ちというルールだ。

 

 もう一つのモノリス・コードは「モノリス」という通称で、これは三対三の団体戦。相手の選手を全員戦闘不能にするか、先に相手の陣地にある石板を専用の無系統魔法で割ってその断面図に隠されているコードを端末に入力した方が勝ちというルールである。

 

 ボクがこの二つの競技に選ばれたのは渡辺先輩からの推薦によるもので、渡辺先輩は「一条家の御曹子が出るとしたらこの二種目だろう」と言って、ボクもなるほどと納得した。

 

 一条家の爆裂は水や液体を発散魔法で気化させて、それを利用していわゆる水蒸気爆発を起こすという魔法であり、氷の柱を倒すアイス・ピラーズ・ブレイクは正に一条家の為の競技と言ってもいいだろう。

 

 そしてモノリス・コードの方は戦闘能力の高さから選ばれるだろうとのこと。一条家の御曹子は何年か前に起こった戦いに義勇兵として参加しており、戦場で敵と味方の血を浴びながら戦い抜いたことから「クリムゾン・プリンス」の異名で呼ばれているそうだ。

 

 達也も一条家の御曹子が出るのはその二種目だろうと言っていたし、大丈夫だろう。

 

 あと、深雪さんと森崎君も九校戦の新人戦の選抜メンバーに選ばれていた。

 

 出る種目だが深雪さんは「アイス・ピラーズ・ブレイク」と「ミラージ・バット」、森崎君は「スピード・シューティング」と「モノリス・コード」。

 

 これで新人戦モノリス・コードのメンバーはまずボクと森崎君が決まり、最後の一人は「石金竜玄」という1ーBの生徒に決まった。

 

 石金竜玄、竜玄君はボクシング部の新入生エースらしいのだが、モノリス・コードでは直接攻撃は禁止されているはずだよね?

 

 ボク以外もそう思った人は他にもいたのだが、竜玄君を推薦したのは部活連の会頭の十文字先輩であるため、誰も反対しなかった。

 

 竜玄君は一見無愛想に見えたが、実際に話してみると結構話しやすい人だった。それと1ーEにいる妹を目に入れても痛くないくらい大切にしていて、妹思いという点では達也と話が合うかもしれないな。

 

 最後に、竜玄君はモノリス・コードの戦略を立てるために自分が使う石金家の秘伝を簡単に教えてくれたのだが、それはある意味「反則」と言えるものでボクと森崎君は十文字先輩が竜玄君を推薦した理由を理解したのだった。




石金竜玄は作者のオリジナルキャラクターで、円城一光より前に考えていた主人公のプロトタイプです。
その為、石金竜玄も円城一光ほどではありませんが反則じみた魔法技能を持っていて、どんな魔法技能なのかは九校戦編で披露します。

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