ボクは物心がついた頃から花火が好きだった。
火をつければ光を撒き散らして精一杯自己主張をして燃え尽きていく花火がボクは大好きだった。
だからだろうか。子供の頃に、五歳くらいの頃に「十師族」の一つ、「一条家」の秘伝である「爆裂」の魔法を何かの映像で見た時は正直「綺麗」だと思うと同時に「羨ましい」と思った。
自分の考えがどこかおかしいのは分かっている。
一条家の爆裂の魔法は人を殺すこと以外には、物を壊すこと以外には、何の役も立たない魔法だとは子供の頃から分かっていた。だがそれでもボクは爆裂の魔法を綺麗だと思った、それを使う一条家を羨ましいと思った。
そして気がつけばボクは魔法の研究を始めた。
一条家の秘伝、爆裂の魔法に変わるボクだけの魔法の研究を。
幸いにもボクの両親は魔工師で、ボクの体には両親を遥かに越える魔法師としての才能があり、研究をする環境も魔法を修得する下地もあった。
そしてボクは「苔の一念、岩をも通す」とはよく言ったもので、長い月日をかけて研究と修練を重ね、ついにボクだけの魔法を修得した。
爆裂の魔法に変わるボクだけの魔法を。
魔法を修得したのは丁度ボクの十一歳の誕生日だった。
ボクが開発して修得した魔法の名前は「爆炎」。
収束、吸収、振動、の三つの系統を組み合わせた複合魔法。
収束系魔法で大気中にある二酸化炭素を集め、
吸収系魔法で集めた二酸化炭素を一酸化炭素に変化させ、
振動系魔法で一酸化炭素を加熱して発火させることで爆発を起こすという魔法だ。
爆炎の魔法が完成した時は本当に嬉しかった。
両親だって爆炎の魔法を独力で完成させたボクを天才と呼び、家の誇りだと誉めてくれた。
だがその時のボクは知らなかった。
単なる子供の憧れによる思いつきと行動が自分の未来に大きく影響をだすだなんて。
爆炎の魔法を完成させた翌年、ボクは家族旅行で沖縄へと行った。そしてそこで大亜連合が沖縄を襲撃してくる現場に居合わせたのだ。
ボクは自分と身と両親を守りたいという思いから両親の制止を降りきって戦場に出て、大亜連合の軍隊を相手に爆炎の魔法を放ったのだ。そして爆炎の魔法はボクの予想を遥かに強力で、日本軍の兵隊が到着する頃には大亜連合の軍隊を全滅させていた。
そして戦いが終わるとボクは日本軍にスカウトされ、全開で放った爆炎の魔法は「戦略級魔法」として認定されたのだ。
まさかこんなことになるだなんて本当に予想外だった。
ボクの名前は「円城一光」。
円城と書いて「えんじょう」、一光と書いて「かずみつ」と読む。
得意魔法は収束・吸収・振動系複合魔法「爆炎」。
そしてもう一つの名前は日本国国防軍第一○一旅団独立魔装大隊所属、戦略級魔法師「群青光一」特尉。
使用する戦略級魔法の名前は「フレイム・オア・ヴェノム」。名前の意味は「焔か猛毒か」。