MASKED TAIL   作:響く黒雲

67 / 67
空気の読めない奴め!!

改造魔導士二体を倒したツバサ、暫くするとボロボロになったジュラと一夜がやって来た

 

「どうやら一足遅かったようだな。」

 

「ジュラ様!」

 

『ジュラさん。』

 

「ジュラさん、無事でよかったよ。」

 

「いや、危うい所だった。」

 

そう言うジュラの脇腹には血がにじんでいた

 

「その傷…」

 

『ジュラさん、大丈夫なんですか?』

 

「今は一夜殿の痛み止めの香り(パルファム)で一時的に抑えられてるが。」

 

六魔将軍(オラシオンセイス)め、我々が到着した途端に逃げ出すとは、さては恐れをなしたな。」

 

「あんたボロボロじゃねーか!!!!」

 

一夜はグレイにつっこまれるが、一夜は基本自分に都合の悪い事は聞き流すため、無視された

 

「みなさんにも私の痛み止めの香り(パルファム)を。」

 

一夜は試験管を開け、痛み止めの効果がある香りを振り撒いた

 

「いい匂い。」

 

「痛みが… やわらいでいく…」

 

「「「さすが先生!!」」」

 

「また呼び方が変わってる…」

 

「あいつら~ ウェンディとハッピーを…」

 

ナツは樹海に向かって走り出した

 

「どこだーーー!!!! んが!!?」

 

がすぐに翼を生やしたシャルルに引っ張られ止められた

 

「羽!!?」

 

「猫が飛んでる。」

 

「これは(エーラ)っていう魔法、ま… 驚くのも無理ないけど。」

 

「ハッピーと被ってる。」

 

「なんですって!!!! 」

 

『まあまあ、話を続けよう。』

 

「とにかくウェンディとオスネコの事は心配ですけど、やみくもに突っ込んでも勝てる相手じゃないってわかったでしょう?」

 

「シャルル殿の言う通りだ、敵は予想以上に強い。」

 

「それに…」

 

全員がエルザの方を向くと

 

「エルザしっかりして!!!!」

 

「う…… うあ…」

 

「そんな…… 痛み止めの香り(パルファム)が効かないなんて!!!!」

 

エルザは痛み止めが効いた様子はなく、現在進行形で毒が回っていた

 

「エルザ!!」

 

「ルーシィ… すまん… ベルトを借りる…」

 

「え?」

 

するとエルザはルーシィのベルトを抜き取った

 

「きゃあああっ!!!!?」

 

「「「♡!!!!」」」

 

そのせいでルーシィのズボンは落ちていたが…

 

「な…… 何してんのよ…」

 

「このままでは戦えん。」

 

エルザはベルトを咬まれた腕に巻きつけ、剣を放った

 

そして腕を差し出し

 

「切り落とせ。」

 

切り落とすように言った

 

「「「「!!!!」」」」

 

「バカな事言ってんじゃねえよ!!!!」

 

「わかった、俺がやろう。」

 

「リオンてめえ!!!!」

 

剣をリオンが拾い上げ、エルザの腕を切り落とそうとする

 

「やれ。」

 

「よせ!!!!」

 

「今 この女に死んでもらう分けにはいかん。」

 

「けど…」

 

「どんだけ甘いんですの!? 妖精さんは。」

 

「あんたに何がわかるっていうのよ!!」

 

「やるんだ!!!! 早く!!!!」

 

「止めろリオン!!!!」

 

「よさないか!!!!」

 

「そんな事しなくても!?」

 

「エルザ殿の意思だ。」

 

そしてリオンは剣をエルザの腕に振り落とした

 

 

ガキィ!!

 

 

しかしグレイが剣を凍らせて止める

 

「貴様はこの女の命より腕の方が大事か?」

 

「他に方法あるかも知れねえだろ? 短絡的に考えるなよ。」

 

「あ…」

 

限界が来たのか、エルザは倒れてしまった

 

『おっと!』

 

「エルザ!!!!」

 

「まずいよ!! このままじゃ毒が身体中に回って…」

 

エルザは今にも死にそうな位青ざめていた

 

「ウェンディなら助けられるわ。」

 

その発言に皆がシャルルの方を見る

 

「今更仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ、力を合わせてウェンディを救うの、ついでにオスネコも。」

 

『ついでってシャルルちゃん…』

 

「あの娘が解毒の魔法を?」

 

「すごいなァ。」

 

「解毒だけじゃない、解熱や痛み止め、傷の治癒も出来るの。」

 

「あ… あの… 私のアイデンティティーは……」

 

「治癒って…… 失われた魔法(ロストマジック)じゃなくて?」

 

「まさか天空の巫女ってのに関係あるの?」

 

「あの娘は天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)天竜のウェンディ。」

 

その事実にツバサ以外の全員が驚いていた

 

「ドラゴンスレイヤー!?」

 

「詳しい話は後!! ってゆーかこれ以上話す事はないけど… てかなんであんた驚いてないのよ!!?」

 

シャルルはツバサだけ驚いていない事に疑問をもった

 

それもその筈、ツバサは既にウェンディが滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であることに気づいていたからだ

 

故に答えはシンプル

 

『だって… 会った時から知ってたし。』

 

この一言である

 

「知ってたってあんた… 本当に不思議な奴ね… 格好もだけど。」

 

『よく言われるよ。』

 

「それで、今私たちに必要なのはウェンディよ、そして目的は分からないけどあいつらもウェンディを必要としてる。」

 

「…… となれば。」

 

「やる事は一つ。」

 

「ウェンディちゃんを助けるんだ。」

 

「エルザの為にも。」

 

「ハッピーもね。」

 

「おっし!!!! 行くぞォ!!!!!!」

 

『『『オオッ!!!!!!』』』

 

こうしてギルド連合軍は一致団結した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし… それを壊す奴がいた

 

『なあ…』

 

それはツバサだ

 

「なんだよツバサ。」

 

「早く行かねばエルザ殿が危ないのだか?」

 

『盛り上がっている所悪いけど… 俺エルザの解毒剤もってるぜ?』

 

『『『は?』』』

 

『うん。』

 

『『『…………』』』

 

暫しの沈黙… そして…

 

『『『それならもっと早く言え!!!!!!』』』

 

『ごめんなさい!!!!!!』

 

ツバサは土下座をすることになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く… 焦って損したぜ~」

 

『だから悪かったって、グレイ。』

 

「まっ、いいや、それより早くエルザの毒を消してくれ。」

 

『はいよ、来い!! ギルスレイダー!!!!』

 

すると繁みからギルスと同じ感じのバイクが独りでにやって来た

 

「バ、バイクが勝手に!?」

 

「あれ、誰も乗ってませんよ!?」

 

そしてバイク、ギルスレイダーはツバサの前に止まった

 

『元気そうだな、レイダー。』

 

ツバサはギルスレイダーのフロントを撫でる

 

するとギルスレイダーは嬉しそうに、エンジンを響かせ、ウィンカーを点滅させた

 

「もしかして、この子生きてるの?」

 

『ああ、ギルスレイダーっていうんだ、レイダー、毒の抗体を作って欲しい、出来るか?』

 

するとレイダーはエンジンを力強く唸らせる

 

『そうか、じゃあ一夜さん、試験管を二本ください。』

 

ツバサは一夜から試験管を受けとると、エルザの腕を引っ掻き、採血した

 

『ごめんなエルザ、少しチクッとするぞ。』

 

そして採血した血をレイダーのオイルタンクの中に入れた

 

するとレイダーの目?から液体が流れた

 

『いいぞレイダー!! その調子だ!!』

 

ツバサはもう一方の試験管に血清を注いだ

 

『よしっ!! これで抗体ができた、後は…』

 

出来た血清をエルザに運ぶ

 

『エルザ… 辛いかも知れないが今はこれを飲んでくれ。』

 

エルザはコクンと頷くと、血清を飲んだ

 

するとみるみるエルザの顔色がよくなり血色を戻していった

 

『よし… これで後はウェンディちゃんだけだ。』

 

一先ずエルザの中毒死だけは避けられたのであった

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。