MASKED TAIL   作:響く黒雲

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不完全には不完全なりの戦い方がある

ブレインが差し向けた怪人、クモンジンとコウモリジンに相対するツバサはギルスフィーラーを振り回しながら二体を挑発する

 

『お前達なんか、俺だけで十分だ、二人纏めて掛かってきな!!』

 

『嘗めた真似を!!』

 

『後悔させてやる!!』

 

その挑発に乗った二体はツバサを取り囲んだ

 

「ツバサ!!」

 

『来るなナツ!!』

 

その言葉と同時にクモンジンがツバサに襲いかかる

 

『キシャーァ!!!!』

 

『フン!! そんな攻撃!!』

 

ツバサは襲いかかるクモンジンを避け、ギルスフィーラーを叩きつけた

 

『そらぁ!!』

 

『キシャッ!? 小癪な!!』

 

『もう一発!!』

 

今度はクモンジンの腕に巻きつけ、左、右と地面に叩きつける

 

『でやぁ!!』

 

『グキャ!! ブベッ!!』

 

『オラァ!!!!』

 

『キシャーァ!!!!』

 

数回叩きつけた後、ツバサはクモンジンをコウモリジンに向かって投げつけた

 

しかしコウモリジンは当たる直前に空へ舞い上がり、ツバサに襲いかかる

 

『キーー!!!! キーー!!!!』

 

『ぐぁっ… くそ… 耳が…』

 

ツバサは避けようとしたが寸前でコウモリジンが発した超音波により行動を阻害されてしまった

 

動けなくなったツバサを掴み、コウモリジンは空中を飛び回り、ツバサを木に叩きつけまくる

 

『キキーッ!!』

 

『ぐはっ!!』

 

『キーー!!!!』

 

『ごふっ!!』

 

数度叩きつけ、コウモリジンはツバサを墜落死させようと上空にツバサと共に舞い上がる

 

『そうはさせるかよ!! “ギルスクロウ”!!!!』

 

しかしツバサは腕から金の爪を出し、コウモリジンの体に突き刺した

 

『キキッ!!?』

 

体に走った痛みに耐えきれず、コウモリジンはツバサ共に落下していく

 

『よっと。』

 

するとツバサは落下途中に体勢を変え、コウモリジンの両腕と両足を掴み、腹に膝を置く体勢になった

 

そして…

 

『オラァ!!!!』

 

『キキーーーーーーッ!!! …………』

 

地面に激突と同時にコウモリジンの腹にツバサの膝が突き刺った

 

コウモリジンは数回羽をバタつかせた後、ぐったりと動かなくなった

 

『さてと、次はお前…… うおっ!!?』

 

ツバサは立ち上がりクモンジンの方へ向こうとした時、いきなり、白い糸のような物にぐるぐる巻きにされて、身動きが取れなくなってしまった

 

『くっ、 なんだこれ!? 全く千切れない…!! なんて固さなんだ!!!!』

 

『くくっ、バカめ、隙を見せるからそうなる、その糸は俺の特別製の蜘蛛の糸だ!! どうだ? 千切れないだろ~』

 

『こんの~!!!!』

 

ツバサは力の限り千切ろうとしたがそれでも千切れなかった

 

『無駄だ、フン!!』

 

『おわっ!?』

 

糸を引っ張られ、ひっくり返るツバサ

 

『このまま引き摺り殺してくれる!!!!』

 

『ぐうう…… そうだ!! ナツ!! 俺に火竜の咆哮を撃ってくれ!!!!』

 

いきなりツバサはナツに自分に火竜の咆哮を撃てと言う

 

 

「はぁ!?」

 

「なに考えてんだ!? ツバサは!!」

 

「そんな事したら、ツバサが焼け死んじゃうでしょ!!!!」

 

『大丈夫だ!! 俺を信じろ!!!!』

 

ツバサに強く言われナツは渋々了承した

 

『フハハハハッ!!!! とうとうおかしくなったか? 良いだろう、やるがいい、しかしそれが貴様の最期だ!!』

 

「ツバサ… 死ぬんじゃねーぞ!!!! “火竜の咆哮”!!!!」

 

そしてナツはツバサに火竜の咆哮を放った

 

『グッ!! おいどうした? 火力が足りねーぞ、こんなチンケな炎しか出せなかったのか? お前は。』

 

「でもよぅ… それ以上やったらツバサが…」

 

『ガタガタ抜かしてんじゃねえ!!!! 』

 

「!!!!?」

 

ツバサから聞こえた怒号にナツは体を震わせる

 

『もっと強い炎がお前には出せるはずだ… 俺に遠慮すんな!! ガンガン来い!!』

 

「ツバサ、アホな事言ってんじゃねえ!!!!」

 

「そーよ!! ナツに仲間殺しをさせる気なの!?」

 

しかしツバサはグレイやルーシィの制止を無視して続ける

 

『どうした!! 早くしろ!!』

 

「俺には… 出来ない…」

 

『フハハハハ!!!! 当然だ!! 貴様の炎なんぞに俺の糸は燃やせん!!』

 

『そうか…』

 

ようやくツバサは諦めた、誰もがそう思ったが

 

『なーんだ、だったら最初っからグレイに頼めばよかった。』

 

「「「「は?」」」」

 

しかしツバサは、予想外にも一番言ってはいけない禁句をナツに使った

 

「………… ピクピク」

 

項垂れていたナツはツバサのその言葉に反応する

 

『ギルドで俺一人で十分って言ってたの、アレ嘘っぱちだったのか~』

 

「…………ピクピクピク」

 

『じゃあ仕方ねーな、グレイに頼むか~』

 

「………… ていった…」

 

『ん?』

 

「…… ま…… ていった…」

 

『聞こえねーよ、もっとハッキリィ!!』

 

「今なんて言ったって聞いてるんだよォォォォ!!!!」

 

『じゃあ分かるように言ってやるぜ… お前じゃグレイには勝てねーよ。』

 

そう言った瞬間、ナツの炎は爆発した

 

「なんだとォォォォ!!!! 俺がグレイに勝てねーだってェェェェ!!!! バカにしやがって!!!! そんなに食らいてーなら食らわせてやる!!“火竜の煌炎”!!!!」

 

ナツは両手に纏った炎を合わせ、巨大な火球をツバサに飛ばした

 

 

ドゴォォォォォォォン!!!!

 

 

そしてツバサは炎に包まれた

 

「ハァーッハッハッハッハ!!!!…… ってしまったぁーーーー!!!!!!?」

 

「「このバカーー!!!!」」

 

『自滅とは愚かな、確かに糸は切れたが焼け死んでは意味があるまい。』

 

『誰が焼け死んだって?』

 

炎の中から、ツバサは不死鳥のように現れた

 

しかもその姿は、前とは少し違い、ベルトは赤く染まり、黄色い宝玉が填まっており、胸にはワイスマンモノリスが出現、ギルスクロウも伸び、赤くなっており

背中には赤い触手が蠢いていた

 

その名も『エクシードギルス』不完全者が不完全を極めた姿だった

 

『何だと!? 貴様、何故焼け死んでない!?』

 

『ナツは無意識ながらも俺を燃やさず糸だけを燃やしたんだ、お陰で、俺は無傷だった… 強くなったな、ナツ。』

 

『くそっ…』

 

『さて、さっさとウェンディちゃんとハッピーを助けに行きたいから… ここでけりを付ける。』

 

そう言うとツバサはクモンジンに殺気を放つ

 

『ヒッ、ヒィィィ!!!!』

 

殺気に宛てられたクモンジンは逃げ出そうとするが

 

『逃がすか!!』

 

ツバサの触手によっていとも簡単に捕まり持ち上げられた

 

『これで終わりだ。』

 

ツバサは力を溜めるように両腕をクロスし、解き放つように開いた

 

『ウオオォォォォォォアアアアッ!!!!!!』

 

口のクラッシャーを開き、天に向かって叫ぶ、まるで自身の運命に逆らうように

 

『ハァッ!!』

 

飛び上がると同時に片足を上げ、クモンジンの腹に必殺の“ギルスヒールクロウ”を放った

 

『グホアァァァァッ!!!!!!』

 

クロウが腹に突き刺さると同時にクモンジンの頭に天使の輪が現れ、それが数回瞬いた瞬間、クモンジンはゴナゴナに爆発した

 

『フゥゥゥゥ……』

 

溜まっていた物を吐き出すようにツバサは息を吐き出した

 

 

 

 


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