MASKED TAIL   作:響く黒雲

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闇の海神と不完全な神殺し

『さあ、始めようか兄さん!! ああ、命乞いはしないでよ? 時間の無駄だからね。』

 

そう言うとツルギはディーペストハープーンを構えて突進してきた

 

『まずは小手調べ、ちょいさぁ!!!!』

 

ツルギはツバサの首目掛けてディーペストハープーンを振るう

 

「うおっ!!? 危ねー、危うく首を飛ばされる所だった…」

 

『そんな余裕がいつまで続くかなっ!!!!』

 

再びディーペストハープーンを振るう

 

「くっ!! 」

 

『ほらほら~ どうしたの? そっちから仕掛けてもいいんだよっと!!!!』

 

「ちっ!! うるさい!! 余計なお世話だ!!!!」

 

それでも尚ツバサはツルギに攻撃しようとはしなかった

 

「ツバサの奴、なんで攻撃しねーんだよ!?」

 

「奴の力なら攻撃くらい簡単に出来ると言うのに…」

 

実際にツバサが戦う所を見ているグレイとリオンはツバサがここまで防戦一方になっている事が信じられなかった

 

しかしその疑問はルーシィが答える

 

「違う… 攻撃しないんじゃない… 今のツバサにもう戦うだけの魔法は無いんだわ!!」

 

「なんだって!?」

 

「でもさっきはあんなにコブラと殴りあってたじゃないか!?」

 

「でも魔法は一度も使ってなかった。」

 

「そう言えば…」

 

「コウマから聞いたの、今のツバサは魂と存在がとてもあやふやな状態になっていていつ肉体に限界が来ても可笑しくないって、そんな状態で魔法を使うのはムリよ…」

 

「そんな… それじゃあツバサさんはそんな体を推してここまできていらしたの!?」

 

「なんて無茶のする男だ。」

 

そうしている間にもツルギはツバサに迫っていた

 

『なんだ… もうちょっとやるかと思ってたんだけどなぁ~ 拍子抜けだよ。』

 

「………」

 

『黙りか… もういいや… 死ねよ。』

 

ツルギはディーペストハープーンに水を纏わせ、刃の形にしてツバサに飛ばした

 

『ハアアアアアアッ!!!!!!』

 

「ぐっ、ぐあぁっ!!!!」

 

直撃はしなかったもののツバサは大きく吹き飛ばされた

 

「くっ、うう…」

 

『中々に運がいいね、でも… これで終わりだぁぁぁっ!!!!』

 

今度は水を槍の形にして打ち出した

 

 

ドオォォォォォォォン!!!!!!!!

 

 

ツバサがいた場所は巨大な水飛沫が巻き上がり見えなくなった

 

「「「「ツバサ(さん)(君)!!!!」」」」

 

『はぁあ、案外呆気なかったな。』

 

水飛沫を背にして帰ろうとするツルギ

 

『ブレイン、僕はもう帰ることに……』

 

―――――――― 待てよ、何処に行くつもりだ?

 

『―― ッ!!?』

 

だがその時、連合メンバーは疎か、六魔将軍(オラシオンセイス)でさえ戦慄を覚える殺気を感じた

 

皆はおそるおそる殺気が放たれている場所を見ると、そこはまだ、水飛沫の煙があがっていてよく見えなかった

 

「な、なんなんだ、この殺気は。」

 

「おいおい、これは不味いんじゃねーのかブレイン。」

 

「とても危ない匂いがするんだゾ。」

 

「私もお金の匂いが全然しません。」

 

「狼狽えるな!! どのみち奴は死にかけだ。」

 

しかしツルギだけはそうは思わなかった

 

『(この殺気、やっぱり最高だよ!! ツバサ兄さん!!)』

 

連合メンバーもその水飛沫の場所を見ていた

 

「な、なんなのだ… この感覚は…」

 

「し、信じられませんわ、本当にツバサさんが…?」

 

「これが彼の… 力…」

 

「本当にツバサなのかよ、この寒気。」

 

「とても… 冷たくて… 暗い。」

 

「こ、こんなの… ツバサじゃねえ……!!」

 

すると、段々水飛沫が晴れて人影が見えてきた

 

しかしそこに居たのはもはやツバサではなかった

 

完全に水飛沫が晴れた時、そこに居たのは『異形』

水生生物のような緑の外見に、カミキリムシのような頭部と赤い瞳、不完全な神殺し 『仮面ライダーギルス』がそこに居た

 

『ヴヴヴゥゥゥゥ……』

 

『やっぱり凄いよ!! ツバサ兄さん!! そうでなきゃ、殺しがいがない!!!!』

 

ツルギは再びディーペストハープーンをツバサに突きつけるが…

 

 

ガキッ!!

 

 

『えっ?』

 

その刃はいとも容易く捕まれていた

 

『悪いなツルギ… 前迄の俺なら、特にこの世に未練は無かったからお前に殺されてもよかったんだがなぁ…』

 

『だったら…!! とっとと殺されてよ!!!!』

 

『そうもいかない、今の俺には生きる理由がある!!!! 信頼出来る仲間を護るため!! そして何よりも!! 大切な人(ミラ)との約束を守る為に!!!! 俺は負けられない!!!!』

 

そう言うとツバサはその緑の腕をディーペストハープーンに叩きつけてへし折った

 

『なっ!!? ディーペストハープーンが!!』

 

『よそ見すんじゃねえ!!』

 

『速っ… ぐあぁっ!!!!』

 

ツバサは同様していたツルギにアッパーを食らわせて吹き飛ばす

 

『くそ… ディーペストハープーンが折られた位で…』

 

ツルギは自分を奮い立たせファイティングホーズをとる

 

『ふうぅぅぅ……』

 

ツバサも触手型の鞭ギルスフィーラーを腕から出し、構えをとる

 

そして再び、お互いが突進しようとしたその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウェンディ。」

 

そんなブレインの呟きが聞こえた

 

ツバサはふと、ウェンディの方を見ると、彼女が隠れていた岩が先程のツルギの攻撃で砕けていた

 

「え? え?」

 

いきなり名前を呼ばれウェンディは混乱していた

 

「どうしたブレイン、知り合いか?」

 

「間違いない、天空の巫女。」

 

「天空の…」

 

「巫女?」

 

「なにそれ~」

 

「これはいいものを拾った。」

 

そう言うとブレインは魔法でウェンディを拘束した

 

「来い。」

 

「きゃあ!!」

 

「ウェンディ!!!!」

 

「シャルルー!!!!」

 

「何しやがるこの…」

 

ナツはなんとか立ち上がって阻止しようとするが

 

「金に… 上下の隔て無し!!!!」

 

「うわっ!?」

 

「がっ!!」

 

「くあっ」

 

「きゃあ!!」

 

ホットアイに邪魔されてしまう

 

「きゃああああああ!!!!」

 

「ナツーーーーーー うわーーーーー!!!!」

 

そしてウェンディ、何故かハッピーが連れ去られてしまった

 

「ウェンディーーー!!!!」

 

「ハッピー!!!!」

 

『ウェンディちゃん!! ハッピー!!』

 

「うぬらにもう用は無い、いでよ!! 我が作品共!!!!」

 

すると、奥から、人の形をしていながら、人でないものたちがやって来た

 

『コウモリジン!!!!』

 

『クモンジン!!!!』

 

二体は自らをコウモリジン、クモンジンと名乗った

 

『なっ!? なんだこいつら!!』

 

「我が作品の改造魔導士共よ!! スペックは低いがいまのお前達には十分過ぎるであろう。」

 

そう言うと六魔将軍(オラシオンセイス)は消えた

 

『はぁ~ なんかやる気無くなったな、メルディ!!』

 

「何ツルギ?」

 

「帰ろう、僕達のギルドに。」

 

そう言いながらツルギは変身を解く

 

「けどいいの? お義兄さん目の前に居るのに。」

 

「いいよ、やろうと思えば何時でも出来るし。」

 

『まて!! お前には聞きたいことが!!』

 

「じゃーねーツバサ兄さん、今度はちゃんと命を貰うからね♪」

 

ツルギは転移魔方陣を展開し、メルディと共にこの場から離脱した

 

『まてっ!! …… くそ、逃げられたか… だがまぁ… その前にコイツらを何とかしないとな。』

 

そう言うとツバサは、クモンジンとコウモリジンの二体と向き合った

 


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