MASKED TAIL   作:響く黒雲

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虚構の魂 イミテーションスピリット

サタンソウルを使ったミラは急速にフリードに向けて飛び蹴りを放つ

 

「ぐほぁっ!!!!」

 

そして更に殴られ川に落とされる

 

「どぅあっ!!!!」

 

しかし寸での所でバランスを保ち何とか滑空するが、素早くミラは追跡する

 

「くっ、禁じ手だか仕方あるまい、魔には魔をもって制す、闇の文字…」

 

そう言うとフリードは自分に文字を刻み…

 

「“暗黒”!!!!」

 

自らの姿を悪魔のような姿に変えミラに向かっていく

 

そして二人は拳を打ち合わせ殴り合う

 

フリードが殴りミラが蹴り上げる

二人は殴り合いながら空に上がっていきどんどん激しさを増していく

 

そしてフリードがミラの尻尾を掴み川に投げ飛ばす

 

「つあっ!!!!」

 

ミラはそのまま川に落とされるが落とされた場所から渦が発生しその中心にはミラがいた

 

ミラはその膨大な魔力を使い川の水を纏っていたのだ

 

これには流石のフリードも驚きを隠せない

 

「(川の水を纏って…!? どれだけの魔力なんだ!?)」

 

そしてミラは纏った川の水を渦潮に変えてフリードに放った

 

「グハァァ!!!!」

 

更に追撃し空に打ち上げ…

 

「ハァァァァ……」

 

手の平で魔力を凝縮させて…

 

「ダァァァァァァァァアッ!!!!!!」

 

フリードに向けて放った

フリードは為す術なく吹き飛ばされ文字の効果も消えてしまった

 

そしてフリードは墜落して地面に叩きつけられる

 

直ぐにミラもやって来るがフリードは恐怖で動けなくなっていた

 

「ひっ!!(か…勝てる訳がない!! これが魔人の真の力!!!こ……殺される!!!!)」

 

フリードは死を覚悟した

 

そんなフリードにミラは首を掴み地面に組伏せフリードの顔面に拳を叩き込もうとする

 

しかし…

 

 

ガシッ

 

ピタッ

 

 

「もういいミラ… もう充分だ。」

 

その拳はフリードの顔面直前でツバサによって止められた

 

そしてミラはサタンソウルを解き元の姿に戻る

 

「………… え?」

 

「こんな戦い… 虚しいわね。」

 

「勝者の驕りかミラジェーン…… 止めをさせ…」

 

「ふざけんな、生き死にだけが決着か? それにお前は今ミラを勝者と言った、つまりお前は敗者だ、お前の事について決めるのはミラだ、お前が口出しできる事じゃない。」

 

「私達は仲間よ… 同じギルドの仲間…」

 

「一緒に笑って… 一緒に騒いで… 一緒に歩いて…」

 

「う…うるさい!!!! 俺の仲間はラクサス一人だ!!!!」

 

「一人じゃないでしょ?」

 

「お前はもうとっくに気づいているはずだ。」

 

「一人の人物に依存する事の全てを悪とは思わないけど、あなたのまわりにはたくさんの人がいる、人と人はいつでもつながっている…私とツバサのように。」

 

ミラはツバサの手を取る

 

「うれしい事言ってくれるなぁ。」

 

「もう…/// ……ほら、手を伸ばせばこんなにも近くに……」

 

そしてフリードの手を取り自分とツバサの手を繋がせる

 

「一人が寂しいと気づいた時、人は優しくなれるの…あなたはそれに気づいてる。」

 

そう言われた瞬間、フリードの目から涙がボロボロと零れる

 

「うぐ… うう… こんな事… したくなかっ… た… んだ… でも… ラクサス… を…… とめ… られ… なくて…」

 

「うん… わかってるよ。」

 

「責任なんて後で幾らでも取りゃあいい、だから安心しろ。」

 

「来年こそは一緒に収穫祭を楽しもっ♪」

 

「うん… えぐ…」

 

日が落ちる頃、術式に新たな情報が現れる

 

 

【フリードVS. ミラジェーン… 共に戦意喪失】

 

 

そしてついにバトル・オブ・フェアリーテイルの雷神衆はラクサス一人となった

 

「なぁフリード…」

 

「ぐすっ… なんだ?」

 

「ラクサスは何処にいる。」

 

「……… あいつなら… カルディア大聖堂にいる。」

 

「カルディア大聖堂に? 」

 

「あそこは街のほぼ中心だからな、今のパワー嗜好のラクサスなら行きそうだな。」

 

そう言うとツバサは近くに停めてあったバイク、オートバジンに向かった

 

「どうするつもりなの?ツバサ。」

 

「決まっているだろミラ… あの馬鹿兄貴をぶん殴って目を覚まさせるんだよ!!」

 

「ちょっと待ってくれ!! ツバサ!!」

 

オートバジンに向かうツバサをフリードが止める

 

「なんだよ、フリード。」

 

「お前に聞きたい事がある。」

 

「そんなの後でもいいだろ?」

 

そう言うと再びバジンに向うが…

 

「駄目だ、今聞かせろ。」

 

フリードが立ち塞がる

 

「はぁ… なんだよ聞きたい事って。」

 

「お前… 何故俺の闇の文字が刻まれなかったんだ…」

 

「そんな事かよ、それこそ後でも…」

 

「駄目だ!!!!」

 

「ど、どうしたのよフリード、そんなに怒鳴って。」

 

「ちゃんと答えろ!! いいか、そもそも闇の文字で刻んだ命令は絶対だ、そのルールに適応される限り命令に従わなければ為らない… 例外を除いては…」

 

「…………」

 

「なんなの? その例外って。」

 

「それは無機物だ、俺の術式は生物には必ず効く、それは魔皇力を持っていても効く、それはギルドで実証済みだ、だが無機物は操れない、しかしツバサは無機物じゃなく生物だ … ツバサ… お前もしかして―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――既に『死んで』いるんじゃないのか?」

 

「え?」

 

「…………」

 

「フリード!! 幾らあんたでも言っていい事と悪い事が…」

 

「俺だって嘘だと言って欲しいさ!!!!」

 

「ね、ねぇ… 嘘よね…? フリードの冗談よね?」

 

「…………」

 

ミラは恐る恐る聞くがツバサは何も答えない

 

「答えてよ!! ツバサァ!!」

 

「…… ああ、その通りだ…」

 

やっと開いた口から告げられたのは非情な現実だった

 

「なんで…? どうして…?」

 

「いつ気づいた?」

 

「俺があの時刻んだのは死滅の文字だ、あの文字は刻んだら最後確実に殺せる… だがお前は死ななかった… お前は無機物じゃない…… 無機物じゃなくてこの文字が効かないのは…… 死人だけだ。」

 

「そーゆー事か… 迂闊だったな…」

 

「何時からだ、そもそも何故生きている!?」

 

「死んだのはついさっき、フリードの術式を無理矢理破った後だ。」

 

「だったら何で此処にいるのさ?」

 

「どうしてなの?ツバサ…」

 

「魔皇力が使える者だけが使える禁忌魔法、“反魂の術”…それを使った。」

 

「死んだ術者の魂を一時的に現世に留めておく為の魔法だ。」

 

「どのくらいもつ?」

 

「長くて半年… 短くて一ヶ月…」

 

「たったそれだけしか…?」

 

「死んだ魂にしては長い方だ… ミラ?」

 

ツバサがミラを見るとミラは座り込んで泣いていた

 

「私は… ツバサの事… 何にも… 知ら… な… かった…」

 

「ミラのせいじゃない、悪いのは全部俺なんだから。」

 

「でも… 私…」

 

「…… ごめん…!」

 

ツバサはミラの腹を殴り気絶させた

 

「すまない… ミラを頼む…」

 

「何でミラを気絶させた!!!?」

 

カナはツバサに掴みかかった

しかしツバサはそれを払い

 

「これからすることは… ミラにはキツすぎる…」

 

そう言うと今度こそツバサはオートバジンに乗りカルディア大聖堂に向かった

 

「ツ… バ… サ…」

 

薄れゆく意識の中、ミラの目に最後に映ったのは……灰色の人狼の姿になったツバサの姿だった

 


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