MASKED TAIL   作:響く黒雲

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今回は番外編です!!

ミラの視点で話が進んで行きます


番外編 悪魔を宿した少女と仮面の少年

あの日… 絶望しかない毎日を送っていたあたし達を救ったのは、心の内を仮面で隠した少年だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日何時ものように家に居て村人に怯えながら家の中で縮こまっていたあたし達はある違和感を感じた…

 

いや… 何時ものように視線は感じていたけど… それでもこの違和感にあたし達は戸惑っていた

 

「ミラ姉… 今日はみんな石投げて来ないね…」

 

「ああ… けど油断するな、またいつ虐められるかわからないからな。」

 

「このまま何もして来なければいいんだけど…」

 

「いざとなったらあたしがリサーナとエルフマンを守ってやるさ。」

 

その時だった

 

 

コンコン

 

 

「「「!!?」」」

 

不意に家のドアが叩かれる

あたし達に訪ねてくる奴なんて居ない筈なのに…

あたしは警戒しながら訪ねてきた人物に話し掛けた

 

「誰だ!!」

 

すると

 

「すみませーん!! ちょっと道を訊きたいんですけどー。」

 

なんて言うから少し拍子抜けした

他所からきたのか?

それでもあたしは警戒を止めなかった

 

「騙されないぞ!! お前もあたし達が悪魔だからって言って殺しに来たんだろ!!」

 

「悪魔? なんの事?」

 

……本当に知らないのか?

念のためもう一度聞いてみる

 

「あたし達を殺しに来たんじゃ無いのか?」

 

「僕が? なんで? 僕君たちの事知らないし。」

 

どうやら本当に知らないようだ

少しだけ警戒を解いてもいいかな?

あたしは少しだけドアを開けてみた

 

「あっ、やっと出てきた。」

 

そこにいたのはあたしと同じくらいであたし達の銀髪とは対称的な金髪を持った少年だった

 

「お前…本当に殺しに来たんじゃ無いのか…」

 

「だからさっきも言ったように君たちの事なんか知らないって。」

 

「信用していいのか?」

 

「くどいよ、道を訊きたいだけなのになんでそこまで警戒されなきゃいけないのさ。」

 

どうやら信用しても良さそうだ

けどそう言う時に限って村人の邪魔が入る

 

「おい!! 君!! そいつらは悪魔の呪いを受けた悪魔の子だぞ!! 早く離れなさい!!」

 

それを聞いたらこいつはなんて言うのかな… 他の奴等のようにあたし達を罵るのかな…

 

あたしは底知れぬ恐怖に駆られる

そして少年は口を開いた

 

「ふーん…… で?」

 

「へっ?」

 

「はっ?」

 

「いやだからそれがどうしたのかって聞いているんだけど…」

 

「どうしたのかって…… こいつらは悪魔なんだぞ?一緒にいたら君は殺されてしまう。」

 

「それを決めるのはあなたじゃない… 僕だ、関係ない奴は引っ込んでいろよ… 行くよ。」

 

「あっ、ちょっ!?」

 

そう言うと金髪の少年はあたしの手を引いて家の中に入って行った

 

「どうゆうつもりだよ。」

 

「なにが?」

 

「あたし達が怖く無いのか?」

 

「別に? 君たちよりも恐ろしい化け物を知ってるし。」

 

そう言うと金髪の少年はさっさと部屋に行った

 

「ミラ姉!!」

 

「姉ちゃん!! 大丈夫だったか?」

 

「ああ、なんともなかったよ。」

 

「姉ちゃん、そいつは?」

 

「そう言えば、名前聞いてなかったな、あたしはミラジェーン、こっちが弟のエルフマン、そっちは妹のリサーナだ。」

 

「リサーナだよ!! よろしくね!!」

 

「エルフマンだよ、よろしく。」

 

「僕はツバサだよー、よろしくねー。」

 

「なんか変な奴だな…」

 

悪い奴じゃなさそうだ、でも家族に手を出すなら許さない!

 

……って思ってたんだけど… 話してみると結構いい奴だった

今まで家族以外でこんなに話を聞いてくれた奴ははじめてだ…

こいつの事をもっと知りたい

 

「なぁツバサはギルドに入っているんだよな?どんなギルドなんだ?」

 

「私も気になるー!!」

 

「お、俺も…」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)って言うんだけど、そうだなぁ…基本的に騒がしくて楽しいギルドだよ。」

 

「わぁ~♪ すっごく楽しそう!!」

 

聞けば聞くほど興味が出てきた!!

……でも

 

「でも… あたし達には無理だ…」

 

「どうして?」

 

「この腕のせいだよ。」

 

そう言ってあたしはツバサに腕を見せた… 悪魔に呪われたこの腕を…

 

「姉ちゃん…」

 

「ミラ姉…」

 

「気持ち悪いだろ? この腕のせいであたし達は迫害されているのさ… こんなことになるなら教会になんて近づかなければよかった…」

 

「ミラ姉は悪くないよ!! だってミラ姉は苦しんでるみんなの為に悪い悪魔をやっつけたんだもん!!」

 

「そうだ!! 姉ちゃんは悪くない!!」

 

そう言うとあたしは自分が泣いている事に気付いた

あれ? おかしいな、もう泣かないって決めたのに…

どんどん涙が溢れて止まらない

 

「う、うう… グス…ヒック…」

 

「ミラ姉泣かないで!!」

 

「そうだよ!! 俺たちがついているから!!」

 

ツバサはこんなあたし達を見てなんて言うかな…

嫌だよ… ようやく安心して話せる奴を見つけたと思ったのに

そう思っていたあたしの手をツバサは握った

 

「なっ!? 触るな! 触ったらお前にも呪いが…!!」

 

「そんなの関係無いよ… それに女の子が泣いているのに慰めないのは男として失格でしょ?」

 

「………」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に来なよ、大丈夫、みんな優しいからそんな外見の違いくらいで君たちを嫌ったりしないよ。」

 

「ホントか?」

 

「うん。」

 

「ホントにあたしの家族を傷付けたりしないか?」

 

「うん、例え嫌われたりしても僕だけは、最後まで君たちの味方でいるから、約束する… 僕が最後の希望だ。」

 

その言葉を聞いた瞬間あたしの中の今まで我慢していたなにかが溢れだして止まらなくなった

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!! ありがとぉぉぉ!! ツバサァァァァ!!」

 

気がついた時にはあたしはツバサに抱きついていた

 

「えっ? なんで泣くの!? 僕慰めたつもりなのに!?」

 

最後のは少し余計だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくして… 荷物をまとめてツバサの言う妖精の尻尾(フェアリーテイル)に行く準備が整って村を出ていこうとした時だった

 

「おいお前!! そこの悪魔の子をこっちに渡せ!!」

 

またか… またお前達はあたし達からすべて奪うのか!!

そう思っていたらツバサがあたし達の前に立って言いはなった

 

「どうして渡さなきゃいけないんですか? 集団で子どもを虐待するような人達に…」

 

「奴らは人間じゃない!! せめて苦しまないよう「それは建前ですよね?」… なに!?」

 

「あなた達は怖いだけだ… ミラ達の事なんてこれっぽっちも考えちゃいない癖に善人ぶったこと言わないでください。」

 

「ぐぬぬ!! 」

 

「分かったぞ!! お前も悪魔なんだな!! 」

 

そしたら今度はツバサの事を悪魔呼ばわりし始めた

やめろ!! ツバサは悪魔じゃない!!

そう言うとしたら…

 

「こいつも殺して…「うるさい」グホァ!!」

 

ツバサは大の大人を殴り飛ばした

ええ!? どんだけ力あるんだよ!!

見ればリサーナやエルフマンも驚きの目で見ていた

村人達も恐れを抱いた目でツバサを見ていた

 

「どけ…… 僕の道だ。」

 

ツバサがそう言ったら村人達の群れが割れて道が出来た

そしたら向こうから人が乗ってないサイドカーが走ってきた

もうなにがなんだか…

 

「ほら、三人共早く乗りなよ、あっ!! ミラは僕の後ろね。」

 

「あ、ああ!!」

 

「「わかったよ!!」」

 

そう言ってリサーナ達はサイドカーに乗りあたしはツバサの後ろに乗った

 

「あっ、そうそう村人の皆さんもし追ってきたら容赦しないのでそのつもりで。」

 

ツバサは最後通告なのか村人に釘を刺してサイドカーのエンジンをかけた

てかあんな事したあとに言ったら誰も逆らえないんじゃ…

そう思っていたらツバサはあたしの方を向いて…

 

「それじゃ出発するからしっかり掴まっててね? ミラ。」

 

綺麗な笑顔で言った

 

 

ドクン…

 

 

あれ? 何だろう…今の胸を締め付けるような痛みは…

でもなんでか心地いい… どうしてだろ?

 

「ミラ? 聞いてる?」

 

「ああ!! ごめん!! 今掴まる!!」

 

そう言ってあたしはツバサのお腹に手を回してツバサに寄りかかる……… 暖かい… そう思うとまた涙が出てきた…

 

そう思っているとサイドカーが発進してあたし達が産まれ育った村が遠ざかっていく…

あんな村でも少しは思い出があったからなんとなく寂しい… するとツバサがあたしの手に触れる

 

「大丈夫… 僕がついてるから。」

 

 

ドクン…

 

 

まただ… ツバサに声を掛けられただけなのに… でもやっぱり心地いい…今だけは、甘えていいかな?

 

そしてサイドカーはあたし達を乗せて妖精の尻尾(フェアリーテイル)に向かっていく

あたしがこの気持ちの正体に気づいたのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に着いてから数年後の話だ

 

 




どうでしたか?
この次からバトルオブフェアリーテイル編を書きますのでよろしくお願いします!!

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