八幡の指導のもと新生奉仕部の活動がようやくスタートしたが
早速の依頼が舞い込んで来た。しかし、それは意外な依頼者からの
相談だった。留美も八幡も驚いてしまう。
新しくホムペの掲示板をリニューアルし直して心機一転、
ポスターも八幡が作り方を指導してくれた。
だけど、肝心の依頼が来なければ何も出来ないのが
奉仕部の弱点だ。
「このまま待つしか無いのかな?な〜んか詰まらない。」
「依頼が無いのは良い事なんだから、焦るなよ。
そのうちに、厄介な依頼が舞い込むかもしれん。」
学校の掲示板も、ほのかと2人でイラスト入りポスターを
作り貼ってみたけど、全くの認知度が無いのでいきなり
依頼が来る訳もなくあれから1日経ってしまった。
「ねえ、八幡そのコーヒー美味しいの?」
缶にMAXって書いてある縦長の缶コーヒーだ。
八幡はそれをチビリチビリと飲みながら文庫本を読みふけっている。
「ん~千葉県民なら誰もが知っているMAXコーヒーを知らないのか?
そりゃもぐりだ、是非飲んでみろよこの良さが分からないようじゃ
千葉県民を語る資格が無いとまで言うぞ。」
「へ~今度飲んでみようかな。」
そう言って興味深くコーヒーを見ていた私にほのかちゃんが何か
言いたげな感じ。
「あのコーヒー激甘で有名みたいだよ、うちの姉さんが買ってきて
飲んだことあるけど甘ったるくて凄いの。」
「むむっ、ほのかっちも飲んだ事あるんだ。じゃ私も飲んでみよっと。」
「あんまし・・お奨めはしないかも・・」
ほのかちゃん、いつになく苦笑いをしながら手を胸の辺りでパタパタとさせてる。
「こんな時は八幡の時、何してたの?」
「何も、今と変わらないな。部長をやってた雪ノ下が紅茶を入れたり
本を読んで由比ヶ浜が携帯いじってたな。」
「ほんと、変わんないね今も。」
「ねえ、雪ノ下先輩は今どうしてるの?」
「俺と同じ大学に通ってるよ。学部は違うがたまに会うかな。」
「由比ヶ浜先輩は?」
「あいつは別の大学だけどよく雪ノ下と会ってるらしい。こっちの大学にも来て会ってる。」
「一色先輩は?」
「うん、あいつは同じ学部でうっとう・・・いや、よく絡んでくる。」
「なんだ、今でもよく会うんだ。」
八幡友達いないって言ってたのにいるじゃん!それも、女ばっかり・・・
「それにしても暇ね、まっ、のんびりとお茶できるからいいんだけど。」
梅雨の合間の天気に窓を開け風が入り込むのが心地いい、
八幡は文庫本に目を落とし静かにしている。ほのかちゃんも・・・何となく眠くなったし、うつらうつらしてしまう。
う~ん、こんな時はノーパソでネットでも見て眠気を覚まそうと思い、立ち上げてみた。
そう言えば、今日はまだチェックしてなかったっけ?掲示板。
依頼なんか来てないだろうと思いながらもまず、掲示板を・・・あった!
あれ?本当に来ちゃった・・・まさかと思いながらも読んでみる。
なになに、「好きな人ができて告白をしたいのですがどうやって思いを
告げればいいか分かりません。いいアドバイスをして頂けたらと
思います。」いろはすより
いきなり、恋愛相談~?
うわ~マジで?
どうしょう、ハードル高ぁ~
ノーパソと睨めっこして固まっているの私に八幡が気が付いて
声をかけて来た。
「ん、どした留美?アマゾンでいいアクセでも見つけたか?」
「八幡、ちょっとこれ。」
八幡が私の横に来て顔を近づけノーパソを覗き込んだ。
なんか顔が近い・・・それに八幡、オーデかな?少しいい匂いがするし。
やだ、顔が赤くなる!
「なに?・・・・・・掲示板か・・いろはす?・・・・・見なかった事にしよう。」
何事も無かった様な事を言うからこっちも助かるって、しかしこれ
どうなの?
「ちょっと、初めての依頼でパスって何よ八幡!」
「何って、これ恋愛相談だろ。俺には無理だ、お前らだけで相談に
応じるなら好きにしろ。」
「そんな無責任な八幡何とかしてよ。」
「バッカお前、恋愛経験の無い俺に恋愛相談は無理だ。それに、
いろはすって一色・・・お前の姉ちゃんからの依頼じゃないのか?」
「八幡彼女いないの?」
「うっせ、悪かったないなくて。」
へ~いないんだぁ~♪
ほのかちゃんがまた、アワアワしだした。顔を真っ赤にして両手で顔を隠してる!
「落ち着いて、ほのかちゃん!どうしたの?」
「ごっ、ごっ、ごめんなさい!それ書いたの私なの・・・」
「えっ?」
「はえ?」
「私・・・こんな性格だから言いたい事あんまり上手く言えなくて・・・
ずっと悩んでた・・・黙っていてごめんなさい。」
「謝る事無いよ、だって悩んでる事言えたじゃない!」
「うん・・・ありがとう・・・」
「なんか、一色は性格が由比ヶ浜とよく似てるな。」
「えっ、そうなの?」
「あぁ、最初そんなだったが今はちゃんと言えるように変わっていった。」
「アイツなりに努力したんだろう、それに雪ノ下もいたしな。」
雪ノ下先輩が助けたのかな?八幡も手助けしたんじゃ~
「何か言いたい事があっても言えず、みんなに合わせて自分を
誤魔化して来た事をアイツは悩んでいたがそれを雪ノ下を見習って
変わっていった。」
「私もそんなふうになりたい…比企谷先生どうしたらなれるのか教えて下さい。」
ほのかちゃんが、ポロポロ泣き出したから八幡も私もびっくりしたけど
気持ちが分かるから落ち着くの待って詳しく聞いてみた。
「少しは落ち着いた?」
「うん、大分と・・・もう大丈夫だから。」
「そっか、一色は姉さんと違って大人しいみたいだから頑張ったな。」
やっぱり、こんなとこ八幡優しいな。
「最初姉さんに相談してみたの、姉さん私と違って社交的だし
言いたい事言えるしそしたら比企谷先生に相談しろって・・・
昔姉さんも相談に乗って貰ったって凄く感謝してた。
大学でも色々と面倒見てもらっているって聞いたの。」
「いろはの奴、余分な事を~!」
「安心して聞いて貰いなさいって、言ってた。」
「絶対、助けてくれるって言ってた。」
「いろはの奴、覚えてろよ~」
いろは先輩と仲いいんだ・・・八幡・・・
「まっ、兎に角だ、一色誰に告白したいんだ?作戦を練るためにも
聞いておきたいし他の事ももう少し詳しく聞かないと分からないぞ。」
「はい・・・、同じクラスの浜田君です・・」
めちゃ顔を赤らめて恥ずかしそうに話す、ほのかっちが可愛い!
私が告りたい!
なんて・・・私にはね・・・
てか浜田君の事、ほのかちゃん好きなの?意外や意外かも。
「誰それ?」
「野球部の浜田君だよ、それに私達と同じにクラスで割りと
人気があってクラスの中心的存在かな。」
「えっ、そうなの?」
露骨に嫌な顔をするけど何なの八幡?
「なにその顔?」
「昔なクラスのカーストトップを取ってる奴がいてな、
そいつの事が嫌いだったんだよ。」
「そうなの?」
「今それ思い出したんだ。」
「うわ、八幡って根に持つ方なの?」
「俺が根に持ってたら今頃、地球が破滅してるぞ。持っていないから
こうして平和にみんなが過ごせているんだぞ。」
「何それ、中二病?意味分かんない。」
「うわっ、それ禁句だぞ、それ言うと材木座が土下座して詫びを入れるくらいダメなんだぞ。」
「はいはい、分かったからほのかちゃんの事、考えましょうね八幡くん。」
「何それ、物凄くムカつくんだけど……」
「材木座くん?と仲良く土下座したくないでしょ、だったら早く
考えてよ。」
「また、俺の黒歴史が・・・」