はまち外伝   作:ふたなり2

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八幡と絶交中の小町だったがいろはとの

会話を聞いて仲直りする事に。




小町 again ( 仲直り)

 

 

一色さん、お兄ちゃんを訪ねに来たのかな?

そうだよね、ここまで来たんだから…それと

小町の為にお参りに来てくれてありがとです、

嬉しいよ。

 

だけど、ウチまで行く勇気とかが無いんだ、

何となく分かる気がする。まだ、立て込んでると思うし

訪ねるのが早かったかなって気が引けるんだろうな。

 

でもですよ、お兄ちゃんの心を鷲掴みするチャンスですよ!

頑張れ〜いろはさん〜一歩リードする絶好のチャンスを

貴女は逃がしてはならないのだ!

 

「やっぱ、まだ早いしそっとしておくべきだよね先輩が

学校に出て来たらそれとなく勇気付ける事を考えよう、

話してみようかな…でも何を話していいのか分からないよ。」

 

「うん、今日はかえろう…。」

 

ごめんなさいです、小町の事で迷惑かけて。

少しベソをかいてるいろはさんは、ベンチから

腰を上げ帰り支度をしだした所にお兄ちゃんが、

偶然通りかかった。

 

「一色、お前なにしてんの?」

 

「先輩…大丈夫なんですか?」

 

「まぁ……食欲がないからいいんだが家に食うものが無くなってな

俺はいいんだがお袋とか親父の食べる物を買い出しだ。」

 

「その…葬儀の時はありがとうな、小町も喜んでくれたと思う。」

 

「あたし、あたし…小町さんが可哀想で

大丈夫かと……」

 

ポタポタと落ちる涙が地面にシミを作る、ありがとう…

いろはさん…じ〜んと来たよ。

 

「一色……悪い、ありがとな。」

 

「ほら涙拭けよ、あざといぞ。」

 

「でも、先輩………」

 

「ああ、悲しいけどな…生きて行かなきゃあな。さっきも

小町に叱られたような気がした、『シッカリしろ』ってな。」

 

分かって来たじゃん!お兄ちゃん!

やればできる子なんだから!

 

「先輩、あたし…あたしで役に立つ事があれば…」

 

「ありがとう、一色…クラブとか生徒会忙しいだろ

もう、いかなきゃ。」

 

「あたしは、いいんです。先輩が……」

 

「心配するな来週からまた学校に行くから

大丈夫だ。小町にも怒られるしな。」

 

「…はい、待ってます先輩…」

 

「あぁ…」

 

公園でお別れしたいろはさんの後ろ姿を見送りながら

トボトボ買い物へ行くお兄ちゃんをあたしも

何故か見送っていた。

 

 

・・・・・・・

 

 

はぁ~ちょっと感動しちゃったよ。

 

純粋にあたしの事やお兄ちゃんの事を心配して

くれてありがとうございます。甘え上手なお姉さん、

小町欲しいなぁ~、ちょっとお兄ちゃんに嫉妬しちゃうよ、

あんなに心配してもらって羨ましいよ、全く。

 

だけど、もの凄い可愛くて慕ってくれる後輩がいたなんて

思わぬ伏兵だね、結衣さんも雪乃さんも大ピンチだよ!

大波乱あるよ、これ!

 

でも決めるのはお兄ちゃんだし、どうなるんだろ?

あたし的には結衣さん、雪乃さんのが馴染んでるから

いいんだけど小町いなくなって寂しいと思うし

いろはさんなら寂しさ紛らしてくれそう。

 

 

ふぃ~何だか疲れた・・・帰りたいな。

 

「ユキちゃん帰ろうか?」

 

「うん、そうだね帰ろう。」

 

家に帰ってお水頂いてほっとして、そっと

お兄ちゃんを覗いてみた。

 

机の上にうつ伏せになってじっとしてる、

寝てるの?さっきから着信なってるしスマホ、メール一杯入ってるよ!

お兄ちゃん、メール返さなきゃあ、ダメたよ。

 

誰から来てるのかな?

見たいけど無理だもんね、速くメール見ないかな?

多分、結衣さんとかじゃないの?

 

ややっ!急にお兄ちゃん起き上がるからビックリしたよ!

で?何すんのかと思ったらスマホやっと見るんだ。

 

え~なになに、平塚先生からだ「この度は小町さん・・・・・・」

お悔やみメールと学校のお休みの件とか書いてある、

あっ、次ぎ見てる。おっ結衣さんだ「ヒッキー、なんて言ったらいいか……」

あと雪乃さん… 戸塚さん、中二さん。皆んな、

お兄ちゃんの事心配してくれてるんだ・・・ありがとう。

 

スマホをパタンと置いちゃった・・あ~あ、またうつ伏せに寝ちゃった。

 

全く仕方ないよね、今日は小町も休むよ。おやすみなさい、お兄ちゃん。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

翌朝、日差しが差す部屋であたしはベッドの上で両腕を

上げ大きな欠伸をした。あ~まだ体がダルいや、こういうのって

生きてる時も同じなんだな。

 

「お兄ちゃんとケンカ中だからテレビの事言ってないし退屈で

今日はどうしようかな?」

 

「取りあえず、まだ寝てるお兄ちゃんの様子を見てみよう。」

 

「おはよ、小町ちゃん。今日もよろしくね。」

 

「こちらこそ、ユキちゃん。今日はゆっくりだったね!」

 

ユキちゃんは手で顔を洗いながら身支度をしてる。

 

「だって、あたしは猫だもん。寝るのは趣味みたいなもんだし。」

 

「あ~そういゃ~カー君も何時も寝てるわ。」

 

まだユキちゃんも眠そうだ、基本ネコちゃんだもんね。

 

「小町ちゃん、今日もお兄ちゃん余り動きがないんだったら景色のいいとこ

案内しようか?」

 

「なになに?そんな所何処にあんのよ!何か出してくれんのユキちゃん?

ね~ユキえもん~お願いだよ~何か楽しい物出してよ~」

 

「あのね小町ちゃん?あたしドラちゃんじゃないし、アイテムないから・・・」

 

「あ~可愛くね~。でっ、何処行くのよいいとこって?」

 

「じゃあ、ついて来てね小町ちゃん。」

 

「待って、行くから。」

 

ユキちゃんは窓の外へ出たと思ったら屋根の方に上がっていく、

一緒に付いて行くと屋根の上にちょこんと座った。

 

「ココだよ、小町ちゃん。」

 

「ココって家の屋根の上じゃん!」

 

「そうだよ、ねっ、外を眺めてよ小町ちゃん。」

 

「えっ?そういえば、いい眺めじゃん・・」

 

「でしょ?ここはあたしの取って置きの場所なの。」

 

「ここでユキちゃん日向ぼっこしてたんだ。」

 

「決めた!今日はお天気だし、ここでノンビリ日向ぼっこしよ!」

 

「いいね、付き合っちゃうよ!」

 

「ポカポカとしてフワフワでお日様に当たって最高だね、

ユキちゃん何時も来てたの?」

 

「ええ、ここでよく近所の男の子とデートしたのよ。」

 

「あいや、思い出の場合なの?ここ?」

 

「ふふっ、そう結構モテたのよ、あたし。」

 

「自分から言う~?小町だってクラスの男の子から告白された事あるんだよ。

今年受験だし、グループでプールとか行ったし、お兄ちゃんには言ってないけどね。」

 

「はぁ~寝よ寝よ。日向ぼっこで、おやすみ~」

 

 

・・・・・・・・

 

 

「近所がよく見えるね・・・・、ユキちゃん!」

 

「なに?どうしたの?」

 

「だってこんな風に景色見るの初めてだしね。」

 

「ユキちゃん、お兄ちゃん…許してあげようかなと。」

 

「そう?」

 

「悪いの小町だし、お兄ちゃんの気持ちも分かるもん。」

 

「うん。」

 

「うん、気分転換出来たありがとうユキちゃん!」

 

「良かったね…」

 

夕陽が辺りを茜色に染めて一日の終わりを告げる、

屋根の上から景観を眺めながら焦っても仕方がない、

ノンビリ行こうと決めた。

 

お兄ちゃん、ゴメンね。

 

「よ~し、ゴロゴロ塞ぎ込んでるお兄ちゃんを起こしてと・・・」

 

そっと、お兄ちゃんの部屋に入った。お兄ちゃん、意外とグッスリ寝てる、

疲れてるんだろうな・・・じゃあ~何時もの様に起こすかな。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!何時まで寝てるの起きなきゃ!」

 

「うん・・まだ早いだろ・・・」

 

「ダメだよ、週末のお休みだからといって何時までも

寝てるのダメだかんね!」

 

「・・・・・・?小町か?」

 

お兄ちゃん、びっくりして飛び起きてる。

 

「お兄ちゃんを起こすの他に誰がいんの。」

 

「お前……消えたんじゃ?」

 

「また、戻ったの!何時までいるか分かんないけどね。」

 

「早く起きてよ、お兄ちゃん!」

 

「昨日は言い過ぎたです、お兄ちゃん、ごめんなさい…」

 

お兄ちゃんにしおらしく素直に謝った、ちょっとあざとかったかな。

 

「おぉ、俺もムキになった。悪かった。」

 

お兄ちゃんも少し照れ臭そうに横を向きながら喋っている。

 

「小町、お前ずっといられるのか?」

 

「ずっとは無理…でも、帰る時はちゃんと言うね。」

 

「そっか。」「うん。」

 

「でも、まだまだ大丈夫なのだ!早速なんだけど

お兄ちゃん、手伝って!」

 

「何をだよ?」「小町と散歩に行くの。」

 

「散歩?」「そっ、今は公園位しか行けないけど

練習すると駅前位は行けるのだ、お買い物とか

できるし。」

 

「買い物っても、お前物に触れないんじゃ…」

 

「いいの!見るのも好きだし、お兄ちゃんと行くの!それと…」

 

「それと?」「勉強も教えてよ!」

 

「俺に教わるの嫌いじゃなかったか?」

 

「本とかシャーペン持てないでしょ?仕方ないもん!」

 

「フっ、あいよ、で、いつから?」

 

久しぶりに、いつものお兄ちゃんの不気味スマイルを

見た気がした。

 

「さすが、お兄ちゃん!分かってる!もち、今日からね〜」

 

「やれやれ」

 

 






無くした生活を少しづつ取り戻す小町、

八幡とも和解し兄の為に頑張ろうと

決意するのであった。お兄ちゃんへの

アドバイス作戦開始!



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