「三十人程度の相手ならわたし一人で十分だろうに……何故八幡達まで連れて行かねばならんのだ」
華琳から偵察を命じられて本隊から先行している間、さっそく春蘭が愚痴り始めた。実際春蘭なら一人で三十人位相手出来そうではある。しかし、放っておくわけにはいかない。
「おい、春蘭。いきなり突っ込むんじゃないぞ。まだ相手が野盗とは決まっていないんだからな。まずは様子見だからな」
「うっ……わ、分かっている。お前に言われるまでもないわ!」
「春蘭、声を張り上げても誤魔化せないぞ。俺が忠告しなければ絶対相手が見えた瞬間突っ込んでいただろ」
春蘭が俺の言葉を聞いて反論出来ずに何か呻いているが、そんなものは無視だ。それより今は重要な事がある。傍に居る冬蘭に指示をしておかないといけない事があった。俺が冬蘭の方を見ると「何ですか?」と冬蘭が首をかしげた。
「目の良い奴を用意してくれ。相手が野盗だった場合、何人かをわざと逃がしてそれを遠距離から監視しつつ追えば本拠地が分かるだろう。それと逃がす奴以外でも出来るなら生かして捕まえてくれ」
「わかりました。でも、情報収集なら一人捕まえれば十分だと思いますよ。……なるべく相手を殺したくないなんていう甘い考えなら早めに捨てて下さいね。殺すより生かして捕らえる方が難しいんですよ」
いつもにこやかな雰囲気のある冬蘭だが、甘い考えを捨てるように言った時の目は真名にある「冬」というのがぴったりな凍えるような冷たいものだった。
「確かになるべく相手を殺したくないというのもあるが、情報源は多い方が良いからだ。一人を尋問するより三人を尋問した方が確実だろう。まあ、難しいなら逃がした奴を追うだけで良いぞ」
俺の考えに一応納得したのか冬蘭の目はいつもの状態に戻っていた。
本気で怖かった。何とか表情に出さないように気をつけたが、滅茶苦茶怖かった。ここの人間ってやっぱり怖い奴しかいない。ただ自分や仲間の命がかかっているのだから厳しい判断を迫られる事もあって当然か。
俺がそんな事を考えている間に冬蘭は部下へと指示を出していた。
その時、先頭の兵がこちらに走って来た。
「前方に正体不明の集団が見えました! 何かと戦っているようです!」
確かに目を凝らすと前方に土煙が見えた。春蘭、冬蘭と共にもう少し近付いてみると三十人程度の集団が何かを囲んでいるようだった。
その集団の中心辺りから何かがはじき出された。それは人で出来た囲いを軽々と飛び越え、その後重力に従い地面に落ちた。
「おい……あの吹っ飛ばされたのって人間じゃねーの?」
「ええ、私にもそう見えました」
俺の独り言の様な言葉に冬蘭が答えた。
人間ってあんなに飛べるものなんだな。今回の場合は「飛べる」というより「飛ばされる」と言った方が良いかもしれないが。あの集団が戦っている相手はとんだ化け物だな。
これ以上近付きたくない。
「どうやらあの集団と戦っているのは一人のようです……それも子供です!」
先程こちらに報告へ来た兵とは別の兵が報告に来ていた。しかし、その内容は信じられないものだった。俺がその報告内容を疑っている間に、春蘭は放たれた矢のように戦闘状態の集団へ向かっていた。
「ちょっと待て……あ~行っちまったか。冬蘭、春蘭の援護をっ! あとはさっき話した通りの手筈で頼む」
俺の指示を聞いて冬蘭は部下達を春蘭の援護へ向かわしたが、冬蘭本人はその場に残った。
「私は貴方の護衛も兼ねていますからここにいますよ。それとも私達も直接戦闘に参加しますか?」
「いや、いい。遠慮する」
冬蘭の問いに即答した。
俺達は戦闘の様子を見ながらゆっくりとそこに近付いていった。戦いは直ぐに終わった。三十人位いた野盗らしき集団は突然襲い掛かってきた春蘭に成す術も無く蹴散らされた。
半分程度が春蘭に切り伏せられたところで彼らは散り散りに逃走した。その逃げ出した連中を俺の指示通りに数人の兵が距離をとりつつ追っている。これで本拠地の場所も分かるだろう。
「逃がすか。子供相手に集団で襲う様な卑怯者は全員切り捨ててくれるわっ!」
「待て待て、春蘭。深追いするな!」
「邪魔をするな!賊を殲滅する好機だぞ!」
逃げ出した連中を追おうとしている春蘭を止めると烈火の如く怒り始めた。その様子を見て知らず知らずのうちに溜息が出る。
「はあー、俺達は偵察が目的なんだぞ。殲滅したら何の情報も得られないだろうが。しかも、いきなり突っ込むなよと言っておいたのに一人で突撃するし……はあー」
溜息に始まり溜息に終わる。元々、春蘭に偵察なんて無理だったのだ。今度からこういう役割が春蘭に割り振られない様にしよう。俺はそう心に決めた。
「お、おいっ、八幡! 敵に逃げられるぞ!」
「問題ない。相手に気付かれない様に追跡させている。これであいつらの本拠地も分かると思うぞ」
史実の夏侯惇はこんなに頭が悪……もう少しがんばりましょうな出来ではないと思うのだが、どうなってんだ。それともここの夏侯惇が史実からかけ離れているだけなのか。兎に角、史実はあまりあてにしない方が良いのかもしれない。
「あのー。助けてくれてありがとうございます!」
華琳よりも小柄な見知らぬ少女が春蘭に近寄りお礼を言った。
えっ、まさか、この子がさっきの集団と戦っていたのか。ありえんだろう。あいつらと戦っていたのは人間を数メートルも吹っ飛ばす化け物のはずだろ。
少女を観察しても特別おかしい所は無かった。巨大な鉄球を持っている事以外は至って普通だった。多分武器だと思うが、俺の体より確実に重そうな鉄球を少女は軽々と持っているのだ。やっぱり、この子がさっきの集団と戦っていた化け物なのだろう。こんな小さな体でどうやって持っているのか全く分からない。物理を無視しているだろ。
「怪我は無かったか? なぜこんな所で戦っていたのだ。あいつらは何者だ?」
「あ、はい、怪我はかすり傷程度です。あいつらは」
春蘭が少女に事情を聞いていると本隊が到着した。
「八幡、賊らしき集団はどうなったの?」
本隊が到着すると華琳が早速自ら状況を確認しに来た。
「春蘭に半分位やられた時点で逃げ出したよ。逃げた連中には気付かれないように追っ手を付けているから本拠地の場所も分かると思う」
「流石ね」
華琳に報告していると兵が一人走って来た。
「報告ですっ! 曹純様の指示通り数人の賊を生け捕りにしました」
兵の報告を聞いて華琳が冬蘭の方を見ると冬蘭は顔の前で手を振る。
「私が指示はしましたが、八幡さんの考えですよ」
冬蘭が華琳に説明している横で先程助けた少女の表情が曇っていくのが俺から見えた。
「お姉さんは国の軍隊なの!?」
「一応、そうなるな、ぐわぁっ!」
少女の問いに春蘭が答えた瞬間、少女の持っていた鉄球が春蘭へと振り下ろされた。
春蘭は何とかこの攻撃を受け止めていたが余裕は無さそうだ。
「お前達、国の軍隊は税金は持って行くくせに盗賊からは守ってくれない。村で一番強いボクがみんなを盗賊やお前達から守るんだっ!」
「くっ、なかなか……やるなっ!」
少女が怒りに任せて叩き付ける攻撃を春蘭は何とか受け止めていた。春蘭が本気で倒しにいっていないのも理由ではあるが、少女の方が押している様に見える。
それにしても、少女の言っている事が本当なら酷い話である。盗賊と国の両方から搾取されてはまともに生きていけないだろう。そう本当の話だったらな。
「なあ、冬蘭。華琳が盗賊とかを野放しにするとは思えないんだが、あの子の言う事は本当なのか?」
「この辺りは、華琳姉様の管轄ではないんです。今回は華琳姉様の治める土地で暴れた盗賊をここまで追って来たという名目で遠征しているだけなので。この辺りの統治状況についてまでは華琳姉様も大きな干渉は出来ないです」
あの少女から見れば俺達も搾取しかしない国の軍隊の一部なんだろうな。とはいえ管轄が違うのなら下手に華琳も手を出せないだろうし、華琳はこの状況をどうするんだ。
俺が何とかするべきなのかと考えていると華琳が二人の方へと進み出た。
「二人とも、止めなさい!」
「はっ、はいっ!」
華琳の気迫の篭った一喝で少女の動きが止まった。春蘭は警戒を解かずにゆっくりと剣を引き、少女と華琳の間に直ぐ割って入れる位置へと移動した。
「あなたの名前は?」
「きょ、許緒……です」
許緒と名乗った少女は完全に華琳の風格に飲まれていた。
「許緒、あなた達の村が苦しみは私たち国の官の責任よ。ごめんなさい」
「えっ!」
華琳が頭を下げて謝っている。許緒も驚いているが、それ以上に俺達の方が驚いていた。誇り高い華琳が初対面の相手にいきなり頭を下げて謝罪するなど考えられない状況である。
「私は山向こうの陣留で刺史をしている曹操よ」
「山向こう? あっ、え? ご、ごめんなさい。山向こうの街の刺史さまの話は聞いています。税金も安くなったし、盗賊も少なくなって街がすごく良くなったって聞きました。そんな人に……その、ごめんなさい」
華琳が名乗ると突然、許緒が謝りだした。どうやら華琳の陣留における統治は随分と評判が良いみたいで、許緒も自分達の村を治めている人間とは違うという事をしっかり知っていたようだ。
「構わないわ。酷い官が多いことは私も良く知っているもの。国の軍隊と聞いて許緒が怒るのも無理は無いわ」
恐縮してしまった許緒に華琳は優しく声を掛けている。
「ねえ、許緒。酷い官の多い腐ったこの国を変える為にあなたの力を貸してくれないかしら?」
「ボ、ボクの力ですか?」
「そう、今の私は一介の刺史でしかない。でも、もっと上に行けばもっと多くの事が出来る。あなた達の村も、それ以外の多くの者も守る事が出来るようになる。その為に貴方の力を貸して欲しいの」
熱く語る華琳を見る許緒の目には一片の疑いもなかった。
これは落ちたな。華琳の勧誘は成功するだろう。それにしても許緒か。確か武力特化な武将だったな。春蘭との戦いでも俺の持っている常識では測り切れないような強さを発揮していたし、頼りになるだろう。ただ、この子も春蘭と同じで脳筋っぽいのがちょっと不安でもある。
「今からあなたを襲っていた盗賊達を根絶やしにするわ。とりあえず、そこから力を貸してくれないかしら?」
「あの、私達の村も守ってくれるなら、喜んで力を貸します」
許緒が華琳の誘いを受けて仲間になる事になった。
そうなるとさっさと盗賊達のアジトの場所や規模なんかを突き止めないとな。
「華琳、俺は生け捕りにした盗賊達の尋問をしてくる。尋問が終わる頃には逃げた連中を追った兵も戻ってくるだろう」
「そうね。秋蘭、賊が近くにいるかもしれないから周囲を哨戒しつつ、それ以外の者には休憩を取らせておいて」
「はっ」
さて、仕事の時間だ。
捕らえた盗賊達のいる場所へ行く途中で春蘭に斬り殺された者達の死体が転がっていた。血塗れになった死体を見て俺はただただ気持ち悪いと思った。いや、恐怖も感じていたのかもしれない。俺はソレを視界に極力入れないように歩いていった。
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盗賊達を拘束している場所は薄汚れた天幕の中だった。この天幕は尋問をしている所を一般兵には見せられないだろうという事で急遽組み立てられた物だ。中に後ろ手に縛られた者達が三人いた。現在、天幕の中には彼ら以外には俺と冬蘭の二人しかいない。
盗賊は俺から見て右からヒゲ面の大男、顔に傷跡のある男、粗末な鎧を着た男の順に並んで座らされていた。盗賊達は冬蘭の姿を見ると下卑た笑みを浮かべた。
「なあ、お嬢ちゃん。俺達を逃がしてくれたら気持ちいい事してやるぞ」
「へっへっへ、そりゃ~いいや」
「そっちの貧相な男よりぜってえ俺達の方がいいぜえ~」
明らかに武の心得が無さそうな俺と冬蘭のような少女が相手なので自分達の立場も忘れて調子に乗っているのだろう。そして、彼らはその代償を直ぐに支払う事となるとは気付いていなかった。
冬蘭が彼らに背を向け天幕から出て行った。それを見て三人は囃し立てていたが、俺からすればコイツらはとんでもない間違いを犯した確信を持って言える。何故なら天幕から出て行こうとした時の冬蘭の表情は、とても楽しげだったからだ。
「ねえ、あれの準備もう出来ているかしら?」
「はっ!こちらに用意してあります!」
そんな冬蘭と兵士の声が天幕の外から聞こえたきた。俺はもう嫌な予感しかしていないのだが目の前のアホ三人はまだその事に気付いていない様だ。
「うん、良い感じね。これなら彼らも素直になると思います」
弾んだ声で何かに対して感想を言いつつ冬蘭が天幕の中に戻って来た。
その手には指位の太さの長い鉄の棒が握られていた。その先端は熱せられて赤くなっていた。
「尋問をすると聞いていたので、貴方達を捕らえた時から焚き火で温めてもらっていたんですよ」
笑顔の冬蘭に流石のアホ三人もやっと自分達の置かれた状況を理解したのか慌て始めた。
「おいおい、冗談だろ……なあ?」
「アンタみたいなお嬢さんがそんな物、使えやしないだろ」
「か、勘弁してくれえええ」
動揺するアホ三人の様子に、冬蘭はとても満足げに笑いかける。
「折角、私の部下が用意してくれた物なので当然使いますよ」
冬蘭は笑顔のままヒゲ面の大男の足に赤くなった鉄の棒を押し付けた。
「ぐっぐううあわああああああ!!!!!」
野太い悲鳴が上がる。天幕内に肉の焼けた匂いが充満する。
色々な意味で吐き気を催すような状況だったが、ここで顔色一つでも変えようものなら、侮られてこの後の尋問に影響するかもしれない。俺は表情を変えないように細心の注意を払う。そして、悲鳴が止んだのを見計らって盗賊達に提案をする。
「お前達が今から出来る事は少ない。一つ目は情報を売って助かる事。二つ目は拷問で無理矢理情報を吐かされ殺される事。三つ目は今すぐ死ぬ事。どれが良いか選べ」
二や三はほとんどハッタリだが、俺がやらなくても冬蘭がやりかねない。
俺の提案に顔に傷跡のある男と粗末な鎧を着た男はキョロキョロと自分以外の仲間の様子を窺っていた。こいつ等は少し揺さぶれば簡単に情報を吐きそうだ。ヒゲ面の大男は憎しみの篭った目で冬蘭を睨みつけている。こいつに関してはもう自発的に情報を出す事は無いだろう。
さて、ちょろそうな二人から揺さぶるか。
「実はな、お前達を置いて逃げた連中には追っ手が付いているんだよ。そいつらがお前達の本拠地の場所を特定して戻ってきたら……お前達が売る事の出来る情報の一つの価値が無くなってしまうんだよ。早めに売らないと売れる物が無くなるかもよ」
顔に傷跡のある男と粗末な鎧を着た男は、俺の言葉を聞いて完全に落ち着きを失っていた。今にも情報を吐きそうだったが、そこで邪魔が入る。
「てめえら、裏切ったらどうなるか分かってんだろうな!」
ヒゲ面の大男が低い声で二人に脅しをかけた。これによって二人は怯えてしまった。
この男はそろそろ黙らせた方が良いかもしれない。
「どうもなりませんよ。どうせ貴方達の盗賊団は今日で全滅なので」
冬蘭が当然の事の様に言った。
仕掛けるか。
粗末な鎧を着た男に近付き肩に手を置く。
「ここでは言い辛い事もあるだろう。立て、他で話そう」
男を立ちあがらせ天幕から出る。念の為に天幕の見張りをしていた兵士の一人を伴って、声の届かない所まで移動する。
「お前は幸運だな」
俺がそう言うと粗末な鎧を着た男は顔を歪めた。
「どこがだよ!?」
「お前が一番高く情報を売れるだろ? 盗賊なんてしていて捕まったのに逃がして貰えるかもしれないんだ。幸運だろ?」
「うっ……」
「まあ、この好機を逃したいのなら好きにしろ。他の奴に聞くだけだからな」
俺が天幕の方へと戻る素振りをすると男は慌てた。
「待て、待ってくれ。本当に助けてくれるのか?」
「お前が有益な情報を出して、盗賊からも足を洗うのなら助けてやる」
「分かった。教える! 全部教えるから助けてくれ!」
聞きたかった言葉が聞けて自然と笑みが零れる。だが一応言っておかないといけない事があった。
「もし、情報が嘘だった場合……大変な事になるぞ」
俺がそう言うと男はどうなるのか想像したのか震えていた。何故か付いて来てもらった兵士まで怯えた様子で俺の事を見ていた。
「それで、お前等の本拠地は何処で人数は何人位いるんだ?」
「こ、ここから北に、行った所の山陰に砦がある。そこがそうだ。人数は三千人位だ。これで俺は助かるんだな!」
「これが正しい情報だったらな。ここでちょっと待っていろ。答え合わせをして来る」
俺は粗末な鎧を着た男と兵士をそこに待たせておいて天幕へと戻った。
「どうでした?」
「ああ、吐いたぞ」
冬蘭の問いに簡潔に答えると二人の盗賊はそれぞれ激的な反応を見せた。ヒゲ面の大男は怒りに顔を真っ赤に染め、顔に傷跡のある男は酷く焦った様子だった。
「あの野郎ぶっ殺してやる!!!」
ヒゲ面の大男が喚き始めたが、俺や冬蘭だけでなく顔に傷跡のある男もそれを無視していた。
「なあ、あいつは何を言ったんだ?お、俺の方がもっと詳しい事を知っているぞ!」
顔に傷跡のある男の言葉を聞いてヒゲ面の大男がもっと五月蝿くなったが、冬蘭が鉄の棒で黙らせた。
「じゃあ、本当に有益な情報か確かめてやる、言ってみろ」
「ここから北にちょっと行った所に俺達の砦があるんだ。俺達は全員で大体三千人くらいだ」
顔に傷跡のある男の言っている事は先程、粗末な鎧を着た男が言っていた事と同じであった。ということは情報としてはそこそこ信頼出来る物だろう。他にも何か良い情報が無いかもう少し揺さぶってみるか。
「既に聞いている話だな。それだけならお前の運命もここまでだ」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれよ。他は……えー、そうだ! うちの首領は俺より頭1つ分位でかいんだ。それで黒い馬に乗ってるから戦場でも目立つぜ。あと、俺達はまともな訓練とかしてないから戦いっていっても正面から突撃するか、数の少ない相手を囲む位しか出来ないんだよ」
なかなか有益な情報と言って良いだろう。これだけの情報があれば戦いは有利に運べる。
「なあ、これで俺も助けてもらえるか?」
「ああ、いいぞ」
顔に傷跡のある男の問いに笑顔で答えてやる。すると何故か助かる事になったのに男は怯えていた。
読んでいただきありがとうございます。