記憶を崩した者達~メモリーブレイカーズ~   作:如月ルイ

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うーん。もうやめようかなぁー



八話 扉

目を覚ますと、真っ白な部屋にいた。窓の外では鳥が鳴いていた。

すっかり朝のようだ。

昨日のことが嘘のようだ。田中さんを助け……………たのか?

 

はっきりしていなかった。最後に写ったのは倒れる田中さんだった。

もしかすると死んでしまったかもしれない。あの光と一緒に消えてしまったかもしれない。

 

「確かめないと…………」

ってか、ここどこだ?

保健室?違うな、規模か大きいような気がする。病院?

 

ガチャ

 

「おっ!涼、起きのか!」

ドアの向こうには、赤月と神無月とその足元に灰色の猫がいた。

 

入ってきてすぐに猫は、ベッドの上にぴょこんと乗っかってきた。

 

「ふん。外傷は消えたにゃね。さぁ、本を返すにゃよ。」

猫は、こちらを見て話し掛けてきた。

喋るとわかっていて話しかけられてもびっくりしてしまう。

 

「あっ、えっと、本は…………」

「どうしたにゃ?早く出すにゃよ。ほら。 」

匂いで探そうとしているのか鼻をヒクヒクとしている。

「猫。涼は、本を持ってねぇんだ。」

紅月が言った。

「なっ!何と言ったにゃ!?」

「………はぁ、だぁかぁらぁ!俺があの本を黒い本にぶん投げたら……………」

俺が言い終わらないうちに猫は

「ぶん投げたぁ!?馬鹿にゃか!?お前は!?」

と驚いた表情をした。

 

「黒い本とレウロが光あって…………」

「光あった!?しかも今、レウロっていったにゃか!?」

…………………………こいつ、わざとやってるよな。我慢の限界だ。

 

「ちょっとは、俺の話を聞けぇぇぇぇ!!!」

猫の耳を引っ張って言いはなった。

「悪かったにゃ!だから、離してにゃぁぁぁ!!ごめんにゃごめんにゃ~!!」

 

 

 

そのあと、俺は猫にすべてを話した。あっ、耳から手も離したよ。

少し延びたかな。

 

 

「そうにゃか。助けにいけにゃくてすまにゃかったにゃ。」

猫は、頭を下げた。

 

「いや、こっちこそ。本を消してしまってごめんな。」

俺も頭を下げた。

 

ゴツンッ!

「いでっ!」

「いたいにゃっ!」

始めは何が起こったか分からなかったが…………このパターンもしかすると………もしかするかもしれない。

 

頭を押さえながら目線を上げると案の定、神無月が拳を俺と猫に降り下ろしていた。

さらに、紅月が怯えた表情で神無月をみていた。

 

紅月をびびらすとは………侮れねぇ…………。

 

「………今回は…………全員悪いから……罰」

「えっ!!だから殴ったの!?何だよそれ!?」

「それだけで我輩のこの頭をなぐったにゃか!?」

「ん。……これで…………平等……………」

神無月は自分の頬をつねっていった。

しかし、まだもう一人いる。

神無月の後ろで紅月が「ふぅ」と胸を撫で下ろしていた。

 

「神無月。お前の後ろにまだもう一人いるぞ。」

「ひぃっ!」

紅月が悲鳴をあげる。

 

「まっ!待てよ!俺は…………なにもしてな………っ!いでぇっ!」

紅月が言い終わらないうちに神無月のげんこつが降り注いだ。

「………完了…………」

紅月は気絶していた。

「神無月!?おいおいおい!紅月死んじゃってないか!?」

「………みねうち……………」

静かに呟いた

「生きてんならいいけど。」

あの勢いなら式紙要らないだろ。

「あの男、恐ろしいにゃ」

猫が頭ん押さえながらいった。

 

「えっ、あぁ。あいつ女だよ」

俺も入学当時は随分髪の長い男だと思ったが、喋ってみると顔つきや声が女性そのものだったのであの時は驚いたなぁ。

 

「えぇ!あんな凶暴な女がいるにゃか!?人って怖いにゃねぇ。我輩の理屈がひっくり返ったにゃ。」

喋れる猫がいる時点で理屈なんて通用しないだろう。

 

ガチャ

ドアが開いて現れたのは何人かのメイドだった。

メイドの服装を見てここがどこかやっと気がついた。

 

「ここ。紅月の家か。」

「紅月様っ!?大丈夫ですか!?」

メイドたちが気絶している紅月に必死に呼び掛けていると、目を覚ました紅月は一言

「騒ぐなここは病室だぞ。さっさと持ち場へ付け。」

といった。

するとメイドは、おどおどと出ていった。

 

「紅月!お前すげぇな!」

「あ?普通だろ。」

紅月の家は、色々な企業と契約をしているため大金持ちなのだ。

確か小遣いが……………20万。

俺の何倍だろうか…………

 

ガチャ

メイドか一人入ってきた

「先ほどはすみませんでした。少しこちらへ」

「ん。なんだ?」

 

ガチャ

 

紅月は一人のメイドと一緒にてでいった。

 

「すげぇな。」

「あいつは、王様にゃか?」

「…………王様…」

神無月はなぜか顔を赤くした

 

「あっ!神無月!田中さんは!?」

「………………あの子は………生きてる。」

「よ、良かった!生きてるのか!」

生きてるならそれで十分だ。

あとは、昔の俺のことと本のことを……………本のことはこの猫の方が詳しいか。

 

「ん?何見てるにゃか?あぁ、もしかしてこのからだだと話しにくいにゃか?それなら。」

ボンッ

 

「うわっ!!」

猫の回りが煙で包まれる。

 

「ふにゃ。これでいいにゃ?」

煙が消えると現れたのは猫ではなく、青い瞳で灰色の髪女の子が座っていた

 

「おい………重いからのいてくれ」

「あぁ!こんな美少女に重いなんて失礼にゃ!」

確かにかわいいが、今現状そんなことは関係ない。

本当に重いのだ。

 

「猫ッ!早くのけって!うっ、い、息が…………」

「分かったにゃよ。もう。大袈裟にゃ。」

猫は、俺の上で立ち上がってピョンと横にあった椅子に降りた。

 

「こっ、殺す気か!!」

「はぁ。全くいちいち煩いガキにゃ。」

見た目から言うと確かに猫の方が二才くらい年上に見える。ただし、ガキって呼ばれるような年じゃない。

 

 

 

~30分後なのにゃ!~

 

なぜかババ抜きが始まった。

さらに、三人じゃつまらない。という猫のわがままで神無月がカグヅチを呼んでくれた。

 

 

「何でそうにゃるにゃ!?絶対ズルしたにゃ!!」

「してねぇって。ほら次、神無月。」

「………………。」

猫のカードを引いた神無月の表情が曇った。

「んっ、神無月様?どうかされましたか?」

カグヅチがカードを除きこもうとすると、神無月はカードを引っ込めた。

「…うっ、煩い……さっさと選べ…」

「ふふふ。分かりました。」

スッとカードを抜いたカグヅチの表情が曇った。

 

「あっ、次、俺か。」

カグヅチの手札は四枚。内の一枚がババ。

 

真ん中か、右か、左か。

 

「これだッ!!」

真ん中を引いて恐る恐るカードを見るとそこには、スペードの2があった。

 

「おっしゃ!!そろった!」

次に猫が引いたら俺は、あがりだ。

「どうした?猫。早く引け。」

「うぅ。こんなガキに我輩が遅れをとるにゃんて。」

猫がカードを引いた。

「ほい、あがり。」

続いて猫がペアを揃えて残り一枚。

神無月がカードを抜いたが、ペアは無かったようだ。

 

「…ん………早く抜け…」

「ゴクリ。わかっています。」

カグヅチの手は、迷ったあげく一枚とるとペアが揃ったようだ。

 

「さぁ、神無月様。」

「…………」

 

神無月残り三枚

カグヅチ残り二枚

 

沈黙が続く。

「……これ。…」

神無月が一枚抜いた。

そして、二枚捨てた。ペアがあったようだ。

 

「………さぁ……抜け。」

「ほい。」

一枚抜くとカグヅチは、手札をすべて捨てた。

 

「………うっ!…」

「神無月様は顔に出すぎなのです。」

 

 

ガチャ

 

「ようし。今日はもう帰れ。あ、涼。田中さんの事は任せとけ。今は安静にしておいたほうがいいからな。」

「ん?あ、そうだな。」

俺が立ち上がりながら言った

しかし、どうしてこんなことになるのか…………

 

「記憶…………か……」

俺たちはもう。おかしな世界の扉の前にいたのだ…………。




おわったー!つかれたー!
「次は2章ですよぉー」
えっ!?まだやるの?

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