記憶を崩した者達~メモリーブレイカーズ~   作:如月ルイ

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面白くないと思う。ホントに。
あぁ。つまらん。


二話 あの子の名を

ガラガラ

「はぁ、はぁ。」

誰もいない………。あの子は何処だ!?

「くそ!何かを思い出しそうなんだ!なのに………」

さっきの段ボールの中にいた女の子は……どこかで見たことがある。間違いない、どこかで会ったことがある。

「これだ。」

段ボールは確かにある。しかし、あの子はいない。

辺りを見渡して、大きな段ボールの中に手を突っ込んだ。

 

ガサゴソ

「んっ?なんだこれ………」

何かに手が当たったので掴んで取り出した。

俺の手が掴み取ったのは白い一冊の本だった。

その時。

ガラガラ

「忘れ物しちゃった~。んっ?仲田くん?」

「あっ、君はさっきの!」

ドアを開いて中に入ってきたのは、さっきこの段ボールに入っていた女の子だった。

 

「あっ、その本!」

「んっ?これ?」

手に持っていた本を、近づいてきた女の子に手渡した。

 

「ありがと~、仲田くん。あ、記憶ないんだよね。」

すこし、後ろに下がって自己紹介を始めた

 

「私は、田中 愛菜です。」

田中 愛菜………。

「うっ!」

駄目だ、思い出そうとすると頭が痛くなった。

 

「だっ、大丈夫!?」

「いや、何でもない………。んっ?」

「また、何でもないって言うんだ」

この会話………どこかで……。

 

「田中さんは、何であの時ここにいたの?」

段ボールを指差して問い掛ける。

「えっと……信じてもらえないから……」

そう言って田中さんは、悲しそうな顔をした。

「………聞かせて。」

俺が言うと田仲さんは、段ボールを指さした。

 

「その中にもう一冊本が入ってる。」

もう一度段ボールの中を探ると、確かにあった。

「よっと………これかな?」それはさっきの物と違い、真っ黒な本だった。しかも、鍵がかかっている

 

「それは、この世界にあってはいけないもの」

「あってはいけないもの?」

「そう。だから、何度も燃やそうとしたり、斬ろうとしたり、水に浸したり………色々したけど……」

 

「消せなかったなかった?」

容易に分かることだった。

「そう。この本は、力の強い人が持ってしまうと暴走してしまうの。暴走したら世界を崩してしまうほどの力が解き放たれる。だから、私か持っていたの」

えっ、まてよ………そんなものを忘れるって………

 

「この子あぶねぇ」

口に出てしまった。

「んっ?何?」

「いっ、いや。なんでもないよ。続けて?」

「うん。それで、こっちの白い本………レウロの書って言うんだけどね、これに黒い本の消し方が載ってると思って、とってきたの。」

えっ、おいおい。まてまてまて!

「えっと、田中さん?とってきたって言うのは……?」

「うーんと、なんたらって図書館から……」

盗んできたのか!?

「盗ってきたの。」

「ですよねぇー!!」

田中さんは、俺の声に驚きビクッと肩を揺らした。

「で………?その本に載ってたの?」

黒い本を見つめながら問いかけた。

 

「うぅ………読めないの。」

なんなのこの子は!盗ってきたからの読めないって!?

「何語で書かれてる?英語?」

「分からないから、読めないの!!」

何故か息を荒くしながら怒ってきた。

 

「そうなんだ………見せて?」

「えっ、いいけど………気を付けて」

「あぁ、分かってるって………」

俺は、こんなものを信じるほどバカじゃない(カツラは、ちょっと信じる)

どうせ、ちょっと遅めの中二病ってとこだろう

そう思いながら本を開いた

 

「確かに………見えない」

1ページ目には、見たこともない字が書き記されていた。

英語で書かれていたのは、本の名前と思われる『レウロの書』だった。そうとうかすれているので、田中さんが読めなかったのも仕方がないと言えるだろう。

 

「読める?」

「………田中さん。ここ見て」

名前の部分を指差して田中さんに言った

 

「んっ?……れ……うろ……の書?本の名前だわ。」

「やっぱり。」

そう言いながら2ページ目を開いた

 

「んっ?」

2ページ目には何も書かれていなかった。

 

「2ページ目からは、何も書いてないみたいだよ。」

 

「………いや、違う。何も書いていないんじゃない。初めは何か書かれてたんだ」

そうだ。うっすらとだが何か書かれてている

しかも日本語で

 

「書かれてた?」

「そう。つまり、誰か………もしくは何かがこの本の字を消したんだ」

 

初めはなにも信じていなかったが、次第に一つずつ解けていく謎のせいで、俺自身もおかしな世界に引き込まれていくような感覚におちいった。いったい、誰が作ったんだ?

 

「にゃうん」

「えっ?」

突然割り込んできたのは、灰色体に、青い瞳を持った猫だった

 

「うわぁ。可愛いね………。田中さん見てよこの猫。」

田中さんの方を向くと田中さんの黒い本を持っている右手が黒くなりまがまがしいオーラを放っていた

 

「田中さんっ!手が!」

「………ごめん。長い間持ちすぎたみたい」

「……にゃう?」

猫は、俺の方を見て何かを言いたそうにしていた

いや、正確には本を見ていた

 

「……仲田くん、その本をお願い」

「何でだよ!絶対助けるから!」

しかし、彼女の右手はそれは叶わないことだということを痛いほど脳裏に叩き込んでいた

 

「………うっ!」

田中さんはうずくまって手を押さえた

「田中さんっ!」

田中さんに手を伸ばす………しかし

バシンッ!と猫に手を弾かれた

 

「何するんだっ!」

猫に叫ぶ

 

「にゃぁー!」

「何が言いたいんだ!?」

「私に触っちゃダメなんだよ………」

うずくまっていた田中さんが訳を話してくれた

 

「この本の魔力は強すぎる………私でも、こんな短時間でこの本に侵食されてしまう」

「侵食?」

「うっ!………侵食は本が人の体を乗っとることを言うの。時期に私は……私じゃなくなると思う。」

 

侵食?田中さんじゃなくなる?なんだよそれ!

 

 

 

 

「………信じない。こんなの現実じゃない!」

「はや………く……逃げて……うっ!」

田中さんの目は、炎のように赤く染まり始めた

「にゃあー!!」

逃げろとでも言うように猫は俺に向かって鳴いた

分かってるって………でもっ!

 

突如、耳なりと目眩がし始めた。

 

「うっ!」

バタンっ!

俺は、地面に向かって無抵抗にた折れ込んだ

体が動かない、死ぬのか?俺は………

 

「かっ……はぁはぁ……」

息も苦しくなってきた

 

目の前が真っ暗になった

 

 

 




次回!
仲田と田中の運命は如何に!!

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