記憶を崩した者達~メモリーブレイカーズ~   作:如月ルイ

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いやぁ、色々あって執筆が遅れちゃいまして………あはは
今回は急展開ですよ!


十話 敵味方 ~見えない心~

「よし。それじゃあ、まずは…………」

「グァッ!ハナセッ!」

紅月は真剣な顔で僕とは田中さんを交互にみた。

 

「涼。田中さんと手を繋いでみてくれ。」

「はへ?」

この状況で?どうして?なんの意味があるんだ?

 

「急げ。一度でいいから繋げ。」

「わ、分かった。」

カグヅチに拘束されている田中さんに近づく。

 

歩いている途中で肩がまだいたいことに気がついた。あの薬は完全には治せないようだ。異常に効力の高い鎮痛剤ってところかな。

 

「涼様ッ!お急ぎくださいッ!このかた、異常に興奮しておりますッ!」

「わ、分かってるって」

「涼。最悪の場合一瞬触れるだけでもいいからな」

「お、おう」

 

手は危なそうだな。この爪はコンクリートを一刀両断したんだから

俺は拘束された田中さんに近づいて右手に触れようとした。

 

その時だった…………………

 

ザザッ!

「っ!?」

俺は後方へと倒れた。

 

「どうした!?」

「………ない」

「え?」

「触れたくないっ!!」

俺はそう感じた。触れたら田中さんが消えてしまうような気がした………

 

「そうか。やっぱりな。」

紅月は顎に手をあてがって悩み始める。

 

「おい!待てよ!!やっぱりってなんだよ!」

「涼。はっきり言うぞ。」

「………あぁ。」

「お前の体は恐らくだが、白い本が侵食済みだ。」

侵食?白い本は消えたはず………

いや、現に黒い本の残りが田中さんのなかで生きていたんだ。なら、俺の体にいてもおかしくない。

 

でも、紅月は…………

「それを………それを知ってて俺にこんなことさせようとしたのかっ!?ふざけるなっ!!」

 

それでも紅月はさも当たり前だと言うようにメガネを拭き始めた。

「涼…………彼女は苦しんでんだよ。なら、せめていたい思いをさせずに………」

紅月は拭き終わったメガネをかけた

 

「でも…………でも、俺はっ!」

「コワス!コワスッ!!」

田中さんはカグヅチに拘束されてもなお、暴れ続けている。

 

「涼様。この人は貴方様に助けてもらいたいのでしょう。ならば、することは決まっているはず。」

 

「嫌だっ!!嫌だ!絶対嫌だッッ!!」

俺は頭をかかえてうずくまる。自分でも情けないと思う。

でも、それでいい。田中さんを殺すよりはいい…………

 

「…………そうか」

「グッ………!」

突如、田中さんが苦しみ始めた

 

「っ!?」

「涼。俺な、気づいたんだ」

紅月は少し下を向いて語り始める

 

「この腕輪の本当の使い方…………それはな………」

紅い腕輪の使い方?そんなの、誰かを守るだけの……………

 

「グガッ!!」

どうして田中さんは苦しんでいるんだ?カグヅチが羽交い締めにしている以外はなにも……………

 

「圧縮だ。」

「圧縮…………?」

「グガァッ!!」

「まさか、紅月!!お前っ!!」

 

紅月は田中さんの内部を腕輪の力で圧縮しているのだ

『ふん。やっと本当の使い方に気づいたか………』

黒い本の声が響く

コンクリートの壁に反響して耳に伝わってきているのでどこから聞こえているのかはさっぱりだ。しかし、今はそんなことよりも紅月がしようとしていることを止める方法のことで頭がいっぱいだ。

 

「さっき、一色先生とお前に薬を飲ませたときに気づいちまったんだ。これはなにかを守りたいという思いで包んだりできる。でもな…………」

 

紅月は拳を強く握った。

紅月の目がおかしい。いつもより紅く…………紅く煌めいている

 

「殺意でなにかをを押し潰すこともできるっ!!」

紅月が拳をさらに強く握ると、その両手からは赤い血が流れ出た。

「グアッッ!!」

そして、田中さんも苦しみ始める。

見ているだけで頭が狂いそうな景色だ

 

守ろうとしていた人が…………親友に殺されそうになっているなんて………………

 

今の俺にはどうすることもできない

それを考えると罪悪感でいっぱいになった

 

「紅月様…………」

「…………」

『はぁ、人間とはつくづくバカだなぁ。そこの赤髪の小僧。お前はなかなかセンスがあるぞ。ククク。』

「黙れ。お前もこれが終わったら消してやる」

『おお、それは怖いなぁ。まず、俺を見つけられるかな?』

「その点は心配無用だ…………。さて、この子もそろそろ終わりだな」

「ケポッ…………」

田中さんは血を吐き出した。

「止め………てくれ………」

「無理だ。」

俺が声を振り絞って紅月に頼んだが、一瞬で却下された

 

「…………」

カグヅチは黙り混んだまま下を向いている。

田中さんも暴れるのを止めていた。

 

俺は、なにもできない………見ているだけ…………あのときみたいに………

 

 

 

 

 

『本当に何もできないと思っているのか?』

頭のなかに響く声

懐かしくて、恨めしい声

『知恵の本…………このレウロがついていながらできないことがあると?』

「使っていいんだな?」

回りの人にレウロの声は聞こえていない

「涼。お前、ついに頭がイカれたか?」

「…………なわけねぇだろ」

『さぁ、お前が何を犠牲にして、何を手に入れるのか楽しみだ』

 

「紅月…………お前を倒す!!」

俺は拳を強く握り。自分を奮い立たせた。

 

「何を言い出すかと思えば、そんなことか。やっぱり、お前はバカだな。」

親友とはいえ、俺の友達を殺そうとするやつは……………絶対に……!!

 

「許さねぇッ!!!」

地面を強く蹴り、紅月まで走る

 

「バカが。」

紅月の腕輪が輝く

そして、紅月の前に薄紅色の壁が現れる

 

ズズズッ!バンッ!

 

止まろうとしたが勢いが強すぎてそのまま壁にぶつかって尻餅をついた

 

「ぐっ………」

「ふん。やっぱりバカだな」

ゆっくりと立ち上がって紅月を見る

 

「どうした?早くしないとあの子は死んじまうぞ?」

紅月の本心なのだろうか………

それとも、俺を騙しているのだろうか………

どちらにせよ、もう紅月を許すことはできない………

 

この校舎の壊れた時計は静かに11時を示した…………

 

 

 

 

 

 




涼「お前!絶対倒すからな!!」
紅月「あぁん?やれるならやってみろ」
神無月「………zzZ」
沼田「コラコラ、休み時間だからといってケンカは止めんか!」
涼&紅月「先生!!俺は正当防衛です!」
沼田「いや、状況が分からん!」
一色「ちょっと、沼田先生……お話が」
沼田「あ、一色先生じゃないですか!話の前にこいつらをどうにか………」
一色「いや、それよりも………沼田先生はやっぱりカツr…………なんですか?」
沼田「いや、最後の方がきこえなかったんですが………カツがどうかしましたか?」
一色「い、いやぁ、あいつらにカツをいれてやろうかと~あはは(やっぱり聞くのは止めとこう」
沼田「おお!それは頼もしい!」

涼&紅月「………(一色先生も知らないのか………」

シーン………………


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