ここだよな…………
俺は今、エルさんの家に来ていた。
なんというか………全体的に黒い家だな………
俺はそんなことを考えながら呼び鈴を押す。
…
……
………
「あれ?」
いつまでたっても出てこない。呼んでみるか。
「エルさ~ん?いますか~?」
俺が呼ぶと家のなかからダッダッダッダッと何かが階段をかけ下りるような音がした。
ガチャ
鍵が開く音がしてエルさんが顔をのぞかせた。
「お、涼か………まぁ、入れ。」
そう言ってドアを大きく開いた。
部屋のなかは外見とは違い、とてもお金持ちがすみそうな感じの装飾が施されていた。
「あ、そこに座っててくれ。あ~そうだ。あと一人来るから、ノックしてきたらドアを開けてやってくれ。
「あ、はい。分かりました。」
エルさんは、ドアから見て右側のドアを開けて入っていった。
「あと一人って誰だ……?」
コンコン
しばらくソファーに座って待っていると、ドアがノックされた。
ドアに駆け寄って鍵を開ける。
そして一歩下がった。
ドアを開けて入ってきたのは見覚えのある人物だった。
「おい。エル、お前そろそろ学校に…………って、涼?なんでここに?」
俺の目の前にいたのは、一色先生だった。
一色先生は、去年からうちの学校に新任してきた、黒髪でどこか涼しい感じの男の先生だ。担当教科は国語。
「え!?いや、先生こそなんでここに!?」
「なんでって、エルが……俺がここに来たらちゃんと学校に来てやる何て言うからな。なんで俺なのかは分からんが………」
先生もどうなっているのか分からないようで顎に手を当てて考え始めた。
ガチャンッ
「おお。揃ったな。」
エルさんが部屋から出てきた。よく見ると右手に紙を二枚持っていた。
一色先生はエルさんに近づいて
「エル、これで登校拒否は終わりだぞ?約束は守れ?」と言った。
「分かってますって。先生もどうぞ、そちらに座ってください。」
エルさんはソファーに指を指した。
「分かった。それで、何のようだ?今日は部活も見てやらないといけないから、単刀直入に頼む。」
座り、一色先生は手を組ながらそう聞いた。
俺が聞こうとしたことを先に聞いてくれたのだ。
「あぁ。ここに先生たちを呼んだのは………」
エルさんは机を持ってきてそこに紙を二枚置いた。
「これはなんですか?」
俺が紙を見ながらエルさんに尋ねた。しかし、答えたのは一色先生だった。
「種族調べか………お前、まだこれを……」
「先生………まだ覚えてたんですか……ならちょうどいいです。涼………その紙の上に手をおいてみな。」
「は、はい。」
俺は恐る恐る、紙の上に手を置いた。
その瞬間に紙に色がついた。そして白と黒に別れる。
「お、涼はすごいな。こんなに白と黒がはっきり別れるなんて……」
エルさんはそう言ってにやりと笑った。
「涼。お前もしかして学校では真面目にやってるが………家では……」
「そ、そんなことないですよー。やだなぁー。ははは。」
一色先生が言い終わる前に否定した。
一色先生は「そうか?」と言って笑った。
「でもまぁ、良い子になれって言ってるわけではないんだ。ただ、最低限やらなきゃいけないことはきちんとしろよ?いいことはいいで続けるし、ダメだと思うことは早めに直せよ?」
一色先生は机に手を置きながら俺の目を見て言った。。
正しいことをいっているのは確かだ。でも、最低限のやらなきゃいけないことってなんだ…………?
宿題とかそういうものかな………
「さぁ、次は先生ですよ。」
エルさんは、手を組んで不気味にいった。
この言葉にはどんな意味があるんだろうか………
「………分かった」
一色先生は躊躇しながらも、紙の上に手をおいた。
ビビッ!
閃光が走ったのだ………目の前をいくつも………
「うわっ!」
俺は驚いてソファーに頭を押し当てた。
しかし、いまだにビリッ!とか、バチンッ!とかの音が聞こえてくる。
「涼、どうして驚いてるんだ?」
エルさんの声がしたので頭をあげる
しかし、いまだに一色先生が手を置いた紙からいかにも、電撃のような閃光が吹き出している
「あ、危ないですって!!」
「ん………あぁ。すまん」
一色先生は紙から手を離して「ははは」と笑った
「やっぱり先生は、今も………」
「そうみたいだな。」
全く話が読めない………
俺がポカンとしていると突然エルさんが立ち上がって
「涼。今日は帰っていいぞ。」と言った。
「え?あ、はい。わかりました………」
俺は一色先生とエルさんを残して家に帰ることにした。
いったい、あの紙と先生とエルさんの関係はどうなってるんだ?
謎が深まるばかりだが今は、取り敢えず家に帰る道を歩こうと決めたのだった。
_____というか、何で俺が呼ばれたんだ?
一色先生「よし、みんな授業を始めるぞ。教科書の28pを………」
洸「なぁなぁ、涼」
涼「ん?なんだ?」
洸「一色先生に沼田先生がカツラかどうか聞こうぜ!」
涼「はぁ?カツラじゃないだろ………てかいつまでそれを気にするつもりだ?」
一色先生「そこ、授業をちゃんと聞いとけよー。ここテストに出すぞ。あと、沼田先生は………ええと、それじゃあ作者の気持ちが書かれてるのはどこかわかるか~?」
洸「えっ!なんか、すごい言いそうな雰囲気でやめた!?やべっ!授業、ちゃんと聞いとけば沼田先生がカツラかどうか言うかも!!」
涼「いや、授業中には言わねぇだろ」