記憶を崩した者達~メモリーブレイカーズ~   作:如月ルイ

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紅月ストーリー!ついに完結へ!!


三話 蒼き大空の紅き月光のもとで

涼しい風が窓から部屋へと入ってくる。

ベッドの上で俺は目を覚ました。

「夢…………だったのか…………」

時計を見ると午前2時を指していた。

 

自分の手のひらを見つめる。

「この手で…………俺は………」

立ち上がって机へと向かう。

そして、二番目の引き出しをあける。

机のなかには、果物ナイフ…………

それを手にとって見つめる。

その刃先は赤く染まっていた。

 

あの時のまんまだな。

 

俺が父さんを刺した直後からの記憶が無いのはどうしてだ…………?

それに、俺を銃で撃ったのはだれだ?

俺はどうして父さんを殺した?

 

 

 

…………不意に窓を見ると紅い紅い月が輝いていた。

 

 

 

カチ、カチと時を刻む時計

俺は、この月が消えてしまうと自分も真実も消えてしまうのではないかと思った。

 

「行かないとな…………!」

ガチャ

扉を開いて廊下に出た。

階段を降りてある場所へ向かった。その場所は、さほど遠い場所ではなかった。

 

その場所についてドアを見ると「入るな」の文字が書いてあるプレートがあった。

ここは父さんの部屋だ。

 

あの事件のあと……俺は警察へつれていかれた………しかし、その時はまだ生きていた父さんが警察に「犯人は別にいる」とだけ言って他界したらしい。その日以来………この部屋には入らなかった。

 

ガチャとドアを開いて部屋にはいる

ひとつの窓からかろうじて差し込む紅い月の光のおかげで辺りを見ることができた。

 

目の前に現れたのはこの一際大きな機械…………

このマーク……………そして、大きな画面

 

「なぁ!いるんだろ!」

ここには、俺ともう一人………………いる………。

 

すると機械の画面にビビっと砂嵐が走る。

「………」

画面には蒼い俺がいた。

『なんだ。分かってたのか。』

夢のなかとは違う楽し気の無い声で蒼い俺は言った。

 

「お前。全部知ってるんだろ?教えろよ。」

『……………』

俺はこの機械を知っている。

父さんがこれに俺を近づけたくなかった理由も、今わかった。

 

「お前。全部記録してるだろ?」

思い出した。

そう。こいつは世界のあらゆる監視カメラを操ることができる。

つまり、この家の監視カメラも全て操作しているこの機械は………………父さんが作った俺のコピー。

 

『見せるなと言われている。』

「…どうしてだ?」

『あの人に、これまでのことを全て見せるなと固く言われた。分かったら出ていけ。』

あの人って言うのは恐らく父さんだろう。

 

「………なぁ。もう父さんはいないんだ。約束を守る必要は無いだろ?」

『……………』

窓から風が吹き込んで俺の髪を揺らした。

もちろん、画面のなかにいる俺は風を感じることは出来ない。父さんはもう一人の俺をここに……………閉じ込めたんだ。

 

「お前は…………もう、自分の好きなように生きていけるんだぞ?」

『………俺に………命はない』

蒼い俺は悲しげに言った

昔もこんなことがあったような気がする

いつだったか…………

 

 

 

 

母さんが死んですぐのことだった。

学校にも行かせてくれない父さんに嫌気がさして喧嘩をした時だ …………

「父さん!なんで俺を外に出してくれないの!?」

 

「…………お前が外に出たら……危ないんだ………分かってくれ………」

 

「分かる訳が無いだろ!!」

 

「いい加減にしろっ!俺は、お前のことを思って…………!」

 

「…………俺のこと思って………?」

 

「そうだ!」

 

 

「これじゃあ俺に………自由は無いのか………」

あのときの俺はただ外に出て友達と遊びたかった。

母さんが死んでしまったことを早く忘れたかった。

それなのに父さんは…………

 

『見たいのか?』

蒼い俺は眼鏡を拭きながら言った

 

「………ああ。見せてくれ!」

俺がそう言った瞬間

画面に砂嵐が走った

そして、画面には部屋に無断で入った俺の姿が正面から映っていた。

これは、この機械で撮ったものか。

 

こちらをじっと見つめる小さい頃の俺

そして開かれている扉の後ろにいたのは……………父さんだった。

 

「やっぱりか………」

直後、画面に血飛沫が映った。

画面が切り替わって病院のなかにいる俺が映った。

何かを言っている。

耳を済ませて聞いてみる………。

病院のベッドの上の俺は一言…………

 

「なんで父さんは俺を…………?」

と言った。

あのときの俺は父さんが犯人だと知っていたのか…………

 

扉が開いて来たのは父さんだった。

画面の中の俺は配給された果物と果物ナイフの入ったかごをあさって、右手を後ろに隠す。

手に持っているのは………

 

「えっ!?」

ナイフ………ではなく…………リンゴだった。

俺は、近づいてリンゴを渡す。

「ここでは、父さんは死んでないのか?」

じゃあどこで?俺は少しつづ思い出す記憶を頭のなかで巡らせた。そして…………

「思い出した…………」

 

 

画面のなかで俺が父さんにリンゴを渡した瞬間に父さんは胸を押さえて倒れた

 

「発作だ…………。」

父さんはこの時、急性の心臓発作を持っていた。

リンゴを渡した瞬間に父さんが俺を撃ったことを後悔したせいで…………発作が始まったのだ。

 

倒れてなお、父さんは「すまなかった」といい続けた。

そのあとで看護婦さんが数人入ってきて父さんを連れていったのだ。

 

全てを見せ終わった画面が真っ暗になる

そして、蒼い俺が現れた。

 

『…全部……み……せた……ぞ。』

しかし、蒼い俺は傷だらけで立っていた

「おい!どうしたんだ!?」

『プログ…ラム…………だ……お前に…こ…れを…………見せ………た…ら……俺は…消………滅……する』

つまり、俺がこの映像をみると蒼い俺は、消えるようにプログラムされていたのか

 

「なんで言わなかった!?」

『…………本…物……は…一人……で…いい…』

「俺のコピーなら!俺らしく本物は俺だっ!て言えよ!」

俺が叫んだ瞬間

ヒビッと音がして画面に『アンインストールまであと60%』と表示が現れた

 

「おい!止めろ!今すぐ止めるんだ!!」

 

『…お前は……生き……ろ……よ?』

画面にノイズが走る

今にも蒼い俺は消えそうな状態だ

「そんなこと言うな!!お前も生きろ!!」

『…俺では……止め…られない……んだ…………』

『残り50%』

時間がない。恐らくこの機械が…………蒼い俺が消えるまであと、3分を切っている

 

「俺がお前を…………」

なぜか頭が冴えていた。蒼い俺に向かって歩いていく。

 

『お…………前……な…にを』

父さんが作ったのなら……………ここに………

ガチャンっとレバーを下ろすと案の定、キーボードとパスワード画面と計算画面が青い俺が映っている場所とは別の場所に現れた

 

「守ってやるよっっっ!!!!」

キーボードに手を置くと、指が勝手に動き始めた。

俺は計算を始めたのだ。

 

 

『残り40%』

百万桁の計算がが3つある

俺はひたすら計算をした。

 

 

『残り30%』

そして、一問目を解いた。

パスワード画面に0613と打ち込むとガシャと音がした

 

次の問題に取りかかる

『残り25%』

「……………くっ!」

一問でも間違えばもう、間に合わないだろう。

「0801っ!」

パスワードを打ち込むとまたしてもガシャと音がした。

最後の問題を解こうとした瞬間だった

 

ビビビッッ!!!

計算画面の数字が変化し始めた

 

「なんだよっ!?これ!」

『バ……グ……だな……お………わりだ』

 

頭が混乱し始める。

いつの間にか鼻血もでている。

蒼い俺は悲しげに上を向いている。

 

ゲームオーバーなのか…………

『…蓮……答えを……よ…くみ…ろ…』

…………答え?

 

0613と0801…………。

 

「日付かっ!」

『残り10%』

六月十三日は、父さんの誕生日

八月一日は、母さんの誕生日

残りは…………俺なのか………いや、違う

 

『残り5%』

パスワード画面には、こう打ち込んだ

「0316」

それは母さんが父さんにこの機械を渡した日だった。

つまり、蒼い俺の誕生日。

『残り1%』

「…………」

決定ボタンを押した。

間違っていれば蒼い俺は消えることになる。

ボタンを押した瞬間に俺は気を失った。

 

覚えているのは蒼い俺の呼び掛ける声と紅い紅い月の輝かせている、蒼い空だった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




涼「お前に………こんなことがあったのか。」
紅月「あぁ。まぁな。」
蒼月「でも俺は消えねぇぞ!!紅月の立場を奪うまではなぁー!!」
神無月「…………」
蒼月「なっ!なんだこいつ!!戦闘力二億だとっ!!」


このあと、紅月とあの機械の中の蒼月は地面にめり込むことになった…………

紅月「なんで…………俺まで……(泣)」
涼「………」←こいつもめり込んでいた………

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