インフィニット・ストラトス~ADVERSE FORTUNE THE DESTINY~ 作:ZXZIGA
試合終了後・・・・。
セシリア 自室 シャワールーム
セ「・・・・・・・・・・・・・」
シャワーを浴びながら、考え事をする。
セ(なぜ・・・・あの人は、あのようなことを仰ったのでしょう?・・・・)
巧人ことオメガの言い放った言葉がセシリアの心に引っかかっていた。
自分に降参を勧め、拒否したのに彼は「戦乙女」と褒め称えたこと。
諦めず、臆することなく戦う意思を持ったセシリアを「君は本当に強い」と彼は言ったのである。
セシリアの両親は彼女が小さいころに電車の事故で命を落とした。
父親は母親の機嫌ばかりを伺う人だったらしい。
セシリアはそんな父親に怒りさえ覚えていた。
彼女は両親の没後、金の亡者から遺産を守ってきた。
あの戦いのとき、彼はセシリアの目をじっと見つめていた。
その時、気づいた。
彼女も自分と同じ過去を経験したのだと・・・・・
だから彼は「降参してほしい」と彼女のプライドを傷つけたくないがために言ったのだ。
だが彼女のプライドは潔く降参して負けを認めるよりも、戦って負ける方がいいとセシリアに促したのだろう。
彼はそこに感心し、「「戦乙女(ヴァルキリー)」のようにあなたは勇敢な人だ」と言った。
巧人 自室
巧人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
一人机に向かい、カチャカチャと金属音を響かせる。そこにはブレスレットのようなものが。
と
<鷺波さん、入ってよろしいですか?
巧人「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
<鷺波さん・・・・・・いらっしゃいませんの?
没頭しすぎて、聞こえていないのか。
巧人「!・・・・・あぁ、入っていいですよ。」
カチャリとドアが開き
セシリア「こんばんわ。」
巧人「こんばんわ。・・・・・珍しいですね。」
セシリア「えぇ・・・・・あなたに聞きたいことがあって、参りましたの。」
巧人「何ですか?聞きたい事って。」
セシリア「なぜ、あなたは私に降参を促したのですか?」
巧人「・・・・・・・・・・・・あなたは僕に似ています。」
セシリア「えっ?」
巧人「昔にあなたは惜しい人を失ってしまったんですよね?」
セ「!?・・・・・何故それを?」
巧人「僕も、あなたと同じ経験をしたんです。」
セシリア「あなたも家族を?」
巧人「違う・・・・わけでもありません。」
セシリア「話を聞かせてくださいますか?」
巧人「かまいませんよ。」
巧人は、自分の過去を話した。
元はIS研究者であったこと。
実験中に事故が起き、家族も同然の二人の夫婦の研究者の命を失ったこと。その時に、自分があまりにも非力だったことを今でも忘れてはいない。
墓参りには必ず足を運んでいる。
セ「・・・・・・・・・そんなことがありましたの。」
巧人「・・・・・はい。」
巧人「でも、あなたのおかげで少し気が晴れました。ありがとうございます。」
セ「いえいえ。」
セ「それはそうと鷺波さん。」
巧人「はい?」
セ「先ほど何をしていらしたんですの?」
巧人「あぁ・・・・・これです。」
と言って机の上にあるブレスレットを見せ、彼女に手渡す。
セ「誰かにあげるのですか?」
金で作られ、丁寧で細かい模様がほられてある。
巧人「はい。大切な人へのプレゼントです。」
セ「気になります。教えていただけないかしら?」
巧人「ダメですよ。教えられません。」
巧人「代わりと言っては何ですが・・・・今日から僕を、巧人と呼んでもいいですよ。」
セ「よろしいのですか?」
巧人「ええ。もちろん。」
セシリアはにっこりとほほ笑みながら
セ「では、改めてよろしくお願いしますね!巧人さん。」
巧人「はい!」にっこり
こうして、友情を深めてゆく二人。夜は深まるばかりであった。
ヴァルキリーって勇敢に立ち向かう女性のイメージがある。