CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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エルとミラ=マクスウェル

 ――彼女たちを引き会わせた時、大きな対立はなかったはずだ。

 少なくともルドガーはそう思っていた。

 

「初めまして、エル。ミラ=マクスウェルだ。よろしく頼む」

 

 ミラ=マクスウェルは微笑んで、エルに手を伸べた。

 

「ミラは?」

 

 エルは握手には応えず、無垢な目でルドガーとツバサを見上げた。

 

「ニ・アケリアに帰ってゆっくりしてるよ。あいつには、分史世界から連れ出してから、迷惑かけてばっかだったからな」

「帰っただけだよね? また会えるんだよね?」

「ああ。カナンの地にまつわることが終われば」

 

 何気なく答えたのは当のミラで。

 

「ミラはカナンの地にいっしょに行かないの?」

 

 肯けば、エルは。

 

「そう、なんだ――」

 

 ワンピースのスカートをきゅっと握って、堪えるように俯いた。

 

 

 

 

 

「何がいけなかったんだろうな」

「はい?」

 

 キッチンから熱いお茶を二人分持って戻って来たツバサが、小首を傾げた。

 

「いや。エルとミラ。『ミラが死ぬ代わりにミラ=マクスウェルが復活する』って予知夢は回避できた。なのにエル、マクスウェルのミラのほうと上手く行ってないんだよな。何でだ?」

「ああ……確かに、ちょっとぎこちないですね」

 

 ツバサはルドガーの前にカップを置き、自分のカップを持ってイスに座った。

 

 予知夢に関する話ができるのはツバサの自宅マンションだからだ。

 実はツバサがロドマンションに住んでいると知った時は本当に驚いたのを、昨日のことのように思い出した。

 

「それとも、ジュードたちがすごくハシャいでたから、逆に普通にしてるエルがそう見えたのか?」

「もっとシンプルじゃないんですか、それ」

 

 ツバサは首を軽く傾げて苦笑した。

 

「単にエルちゃん、さびしいんですよ。ミラさんと一緒にカナンの地に行けなくて。でもみんなが『あの』ミラさんを歓迎してるから、一人だけ周りとちがってる自分に戸惑って、自分が異質なモノに思えて、でも誰にも言えなくて、さびしいんじゃないでしょうか」

「経験あるみたいな言い方だな」

「ちょぴっと」

 

 ツバサはおもむろにイスを立ってルドガーの横に回り込み、ルドガーの胸の中心を指差した。

 

「占いに用いる時、『(ドリーム)』は『心のゆとりを持つこと』って意味も含まれます。余裕で、それでもエルちゃんから目を離さないであげてください。ミラさんがいなくなってルドガーさんまでこそこそしたら、きっとエルちゃんを不安にさせちゃいます」

 

 ルドガーはふと思いつき、胸を指差すツバサの手を掴んだ。

 

「こうして密会してるのは、こそこそしてるのに含まれないのか?」

 

 ツバサは顔を真っ赤にしてルドガーの手を振り解き、背中を向けた。ツバサは耳まで真っ赤だ。こういうことに耐性がないのかもしれない。いつもは、あんな度胸がどこにあるのかと思わせるほど逞しいのに。

 

 ルドガーはおかしくなって、くっくっと笑いを漏らしてしまった。




 最後にして最大の鬱チャプターに入る前にエルとミラのフォローをば。
 ミラさんが犠牲になってないので、エルとミラ様の関係は「ぎこちない」で留まっております。

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