CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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ローエンの孤軍奮闘

 クラマ間道にて。

 ローエンは次々と襲い来る和平反対過激派の者たちを、得意のナイフと精霊術で迎え撃っていた。

 

(こういったことが日常茶飯事になったとはいえ、久しぶりにドロッセルお嬢様に顔をお見せしようとした日にこれは頂けません)

 

 考える間にも過激派は襲ってくる。

 

 いくらローエンが精霊術に長けているといっても、上下左右の全てから攻撃されれば隙は生まれる。その上、ローエンは高齢だ。集中力にも限度がある。

 そのような要素が重なり、まさに背中を取られた時だった。

 

 一発の銃声が背後からの奇襲をかけた過激派を撃ち抜いた。

 

 倒れた過激派の向こう側に立っていたのは、硝煙が上がる銃を構えたルドガー。

 

「『(ストーム)!』」

 

 ローエンを台風の目に、小規模の竜巻が巻き起こり、ローエンを囲んでいた過激派を吹き飛ばした。

 聞き覚えのある声に顔を上げれば、近くの木の上から星の長杖を持ってツバサが飛び降りてきた。

 

「ルドガーさん。ツバサさん。何故……ドロッセル様やエリーゼさんエルさんと屋敷でお待ちになっていたはずでは」

「あー、虫の知らせっていうか、嫌な予感っていうか」

 

 ルドガーは気まずげに顔をあらぬ方向に逸らした。

 

「とにかく、ローエンによくないことが起きる気がしたんだよ」

「エリーゼちゃんに聞きました。ローエンさん、急にいなくなってはケガして帰ってくることが増えたって。こういうことだったんでしょう?」

「――全てお察しなのですね」

 

 ルドガーもツバサも肯いた。

 

「何ていうか、損な役回りだな」

「大きな改革を成そうとしているのです。これくらいのことを請け負う覚悟はできています」

「その『これくらい』が自分の命だって言ったら、例えローエンであってもぶん殴るからな」

「おお、怖い怖い」

 

 ツバサが倒れている過激派の一人に近寄り、横にしゃがんで膝で頬杖を突いた。

 

「『なかよし』になるのが悪いことだなんて、わたし、分かりません。わたしがコドモだからでしょうか。知らない国の人がそんなに嫌いなんでしょうか」

「嫌いなんじゃなくて、知らないから怖いんだよ」

 

 ルドガーは銃にセーフティをかけてホルスターに戻した。

 

「――知ってても、怖い気持ちがなくなるわけじゃないけどな」

 

 ツバサは憫笑して立ち上がり、ローエンの前までやって来た。

 

「わたしたちの目が青い内は、独りでがんばるなんてこと、絶対許しませんからね」

 

 にっこり。ツバサは戦場にいるとは思えない華やかさで、ローエンに笑いかけた。

 これは、潔く負けを認めるしかないようだ。




 ルドガーが何故ローエン襲撃を知っていたかは、皆様お察しの通り、「夢」がルドガーに見せた予知夢のおかげです。
 ルドガー、何気に「夢」を使いこなしております。
 そして予知夢の内容を聞いて、ツバサもルドガーに付いてきて、本編に至るわけです。

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