CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
「行ってらっしゃい。ルドガーさん。ジュード君たちも、気をつけて」
「ありがとう、ツバサ」
「行ってくるよ」
ルドガーがGHSを操作すると、その場にいた大勢の人間が一気に消えた。
それを見届け、ガイアスは陰になっていた建物から出て、ツバサに歩み寄った。
「よかったのか」
ツバサは、ルドガーの分史世界破壊任務に同行しなかった。
「はい。アーストさんとミュゼさんがいますから」
残されたのは、ガイアスとツバサ。それに、今は姿を消しているが、ミュゼもいる。
――「色々あった」で片付けられない過程を経て、ルドガーはクランスピア社の分史対策エージェントとなった。
分史世界の成り立ちや正史世界と分史世界との関係などは、ローエンから聞いた。
それらを総合した上で、ガイアスは、正史世界に残ると言ったツバサに付き添うことを決めた。
「それで。これから何を調べるんだ」
ツバサはびっくりした顔でガイアスをまじまじと見上げた。
「分かるんですか? わたしが調べ物のために残ったって」
「ああ」
「やっぱりアーストさんはすごいですっ」
「ですって。よかったわね、ガイアス」
シャルトリューズの色をした立体球形陣が結ばれ、中からミュゼが現れた。
「でもちょっと妬けるわ。去年は私を直接使役してくれたのに、もう新しい子に乗り換えるのね。寂しいわ」
「え、あのあの! わたしとアーストさんは別にそんな特別な仲じゃっ」
「ふーん、どうかしら。貴女、可愛いから。そうだわ、今度は貴女に使役してもらおうかしら」
ミュゼは指でくいっ、とツバサの顎を持ち上げて笑った。
「よく見たらとても潤沢なマナの持ち主のようだし。初めての女の子だし、ジュードやガイアスとは違った感じを味わえるかも」
「ミュ、ミュゼさんみたいな綺麗なヒトを、し、使役なんてできませんよ~!」
「大丈夫。お姉さんが手取り足取り教えてあげるわ」
「――そこまでにしておけ、ミュゼ。ツバサの目がうずまきになっている」
「あら、残念」
パッ。ミュゼがツバサから手を離した。
ツバサは胸を押さえて長い息をついた。
「えっとですね、キーワードはいくつか『
ツバサはいつになく厳しい面持ちで言い切った。
常にほえほえしているツバサをここまで焦らせる何か。
その「何か」が世界の存続に関わっている場合、ガイアスも静観できない。そう考えたからガイアスも残ったのだ。
「どこから手を着ける?」
「図書館に行こうかなって。イル・ファンってとこにある古文書の副本が最近入ったんです。それに“オリジンの審判”らしいことを書いてるって、イバル君が教えてくれたんです」
きっとイバルは得意満面に話したのだろう。そして、ツバサは目を輝かせて聞いていたのだろう。
「そうと決まっているなら図書館に向かうぞ」
「私も行きましょう。何だか楽しそうだし」
「二人とも……ありがとうございます!」
いつのまにかイバルとも接触していたツバサでした。
イメージではイバルがハンマー届けに来た時に会った感じです。
C7の裏側でツバサのがんばり物語スタートです。