CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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二度目の“初めまして”

 セピアのセロハンを通して見たような世界で、ルドガーは異能の槍を使って「ローエン」を刺した。

 槍の穂先で黒い歯車が割れた。

 そうしてルドガーらは元のドヴォールの路地裏に戻って来たのだが。

 

「人間が消えるはずがない! 探せ! どこかに隠れてるはずだ」

「い、今何をした!? 精霊術ってやつか!?」

 

 ……できれば忘れていたかった。こちら側ではブラートは健在なのだった。

 

「やっぱりリーゼ・マクシア人は化物だ!」

 

 一人がそう言ったことで、リーゼ・マクシア人であるジュードやレイアに恐れをなしてか、ブラートらは路地裏から逃げ出そうとした。

 

「逃がしませんよ。『(ループ)』」

 

 高く甘やかな声。

 

 ブラートが走り出した先の地面に赤い線が引かれた。その線を跨いだ者は、驚くことに、回転扉を抜け出すのに失敗したかのようにルドガーらの前にまた現れた。

 何度くり返しても、ブラートはその場から逃げられなかった。

 

「な、なになに? 何が起きてるの?」

 

 レイアが困惑しているということは、この現象はレイアやジュードが起こしたものではない。ならば、誰が。

 

「これでいいですか、アーストさん、ローエンさん」

「ああ。充分だ」

 

 日常では出会うことがまずない、威厳、というものを感じさせる低い男の声だった。

 

 先ほどの「ローエン」とは異なる燕尾服を着たローエンと、黒いコートの偉丈夫が路地裏に入ってきた。

 ローエンの後ろにもう一人いるようだが、隠れていて見えなかった。

 

「何だ、貴様ら――」

 

 次の瞬間、黒い男は長刀を抜き、剣先をブラートの一人の喉元に突きつけた。

 

「一つ教えてもらおう。アルクノアはなぜ源霊匣(オリジン)の素材を集めている?」

「……源霊匣(オリジン)の暴走をテロに利用するんだ。力を利用した上に、その危険さをアピールできると……」

 

 まさにその源霊匣(オリジン)の開発者であるジュードが顔色を変えた。

 

 黒い男は刀を引いた。

 

「殺さないのか……?」

「俺は化物ではないのでな。ツバサ、もういい。術を解け」

 

 黒い男の声に従い、ローエンの後ろの誰かは杖を一振りし、赤い線を消した。

 ブラートらは一目散に路地裏から出て行った。

 

 その杖の意匠をルドガーは知っていた。

 よくよく思い出せば、声も、聞き覚えがあった。

 何より、その、珍しい響きの名前は。

 

「ツバサ――?」

 

 ローエンの後ろから一人の少女が出て来た。

 彼女は首を傾げたが、はっとしたようにルドガーを見返した。

 

「あなた、『(ドリーム)』の……ルドガー、さん?」

 

 ルドガーの名を呼び、「(ドリーム)」の名を出した。

 確信した。この少女はかつて夢の中で会ったツバサ・キノモトだ。

 

「ジュード君も。今日はお仕事、お休みなの?」

「そっか、ツバサはガイアスたちと一緒に行動してるんだったね」

「ジュード。ツバサ、知ってるのか」

「え? ルドガーも知ってるの?」

 

 夢で会った、と言うとエルの視線が痛そうなので適当にごまかした。

 

 ツバサが星の長杖を消して歩いてくる。ルドガーもツバサに向けて歩み寄った。

 

「ちゃんと会うのは初めてだな」

「そうですね。逢えてとっても嬉しいです。『(ドリーム)』も一緒みたいですね」

「分かるのか?」

「はい。ここに」

 

 ツバサはとん、と指先でルドガーの胸の中心に触れた。一般的にココロがあると言われている位置。

 

「力になりたいんですよ。ルドガーさんの」

 

 ルドガーは胸の中心を手の平で押さえ、小さく「ありがとう」と呟いた。




 そろそろパートナーがガイアスからルドガーに変わりそうな予感……
 アカン、アカンで! 最初にガイアス言うたやんけ!(←何故か関西弁

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