CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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真「剣」勝負 2

「ターネット君に攻撃するなんてできません!」

「ならば、お前は離れて見ていろ。俺が弱らせるから隙を見て封印しろ」

「でもでも、ターネット君ほっとくなんてもっとできません!」

「――封印などされるものか」

 

 下から声がして、ツバサは驚いて見下ろした。

 

「おれの主はクロウとさくらだけだ。さくらの娘だろうと封印されてなどやるものか!」

「あなた……まさか、『(ソード)』の意識?」

 

 ガイアスがアーチから飛び降りた。ツバサが「(ジャンプ)」の跳躍力でようやく上がった高さから、まるで階段でも飛び降りるようにあっさりと。

 

「ならば何とする」

 

 ガイアスが長刀を構えると、ターネットもまた「(ソード)」を構えた。

 

「エレンピオスから出てけ」

「なに?」

「リーゼ・マクシア人のくせにエレンピオスに入ってくんなよ。気持ち悪ぃ。とっとと消えろ! 目障りなんだよ、てめえ!」

 

 ちがう、とツバサは即座に看破した。

 

「アーストさん! 今の彼、『(ソード)』とターネット君の意識がごっちゃになってる!」

「さっきの言葉はターネットの心の声か。操られてなお反リーゼ・マクシア感情は健在というわけか」

 

 長刀と「(ソード)」がぶつかり合う音が、幾度となく夜の埠頭に響いた。

 

「……やめて」

 

 ツバサは踵に羽根の生えた足でアーチを全力で蹴った。

 

「やめてぇ!」

 

 切り結ぶ寸前のガイアスとターネットの間に着地したツバサは、星の長杖で両者の得物を同時に受け止めた。

 ツバサは星の長杖に回転を加え、得物を弾いて両者を下がらせた。

 

「ターネット君はエレンピオスが好きなのね。だから急に入ってきたリーゼ・マクシアを怖がってるのね。ターネット君の大事なエレンピオスに何か悪いことを連れてくるんじゃないかって」

 

 ツバサは星の長杖を下ろし、ターネットへと歩み寄った。

 

『剣』(あなた)も。お母様とクロウさんが大好きなのね。だから比べようとしたんでしょう? わたしを。お母様やクロウさんと。――確かにわたしなんて、未だに自分が日本人か中国人かどっちも自信ないし、すぐ悲鳴上げちゃって情けない子だし。でも、一つだけあなたにしてあげられることがある」

 

 両手をそっと彼に差し伸べた。

 

「わたしがあなたを絶対、お母様のとこへ連れて帰ってあげる。だから少しの間だけ、つばさのとこで我慢して?」

 

 決して短くはない間があった。

 

 ふいにターネットが仰向けに倒れ、手から「(ソード)」が転がり落ちた。

 

「ターネット君!?」

 

 これにはすぐさまガイアスが来て、ターネットを診た。

 

「気を失っているだけだ」

 

 ほぅ、と安堵の息が漏れたが、表情を引き締めて星の長杖を「(ソード)」に向けた。

 

「汝のあるべき姿に戻れ! さくらカード!」

 

 長杖の先端にカードの形が象られる。「(ソード)」は魔力に還元され、カードに吸い込まれていった。

 鎖に縛られた剣を刻印したカードが、ツバサの手に舞い降りた。

 ツバサはそのカードを胸に抱いた。

 

「ありがとう――信じてくれて」

 

 

 すると、呻き声が上がった。ターネットが目を覚ましたのだ。

 

「気がついたか」

「っ、てぇ……俺、一体……」

「え、ええと、あの、あの」

 

 ツバサが説明に困っていると、ターネットの横にいたガイアスが突然語り始めた。

 

「お前のリーゼ・マクシア嫌いはよく分かった。確かに俺はリーゼ・マクシア人であることを隠した。それは詫びよう。だが俺は決してエレンピオスに不易を成すためにここにいるのではない。それだけは信じて……いや、分かってほしい。俺が今言えるのはこれだけだ」

 

 ガイアスはターネットの答えは聞かず、立ち上がってツバサの前まで戻って来た。

 

「帰るぞ」

「は、はい。――おやすみなさい、ターネット君。帰り道、気をつけてね」

 

 港を出ていくガイアスを、ツバサは慌てて追いかけた。




 ツバサの「剣」説得でガイアスにも思う所が出来ましたというとこを表現できていれば幸いです。

 コタロー編でのパートナーがアリーシャだったように、ツバサ編でのパートナーはこのままガイアスになる可能性が現状、大でございます。

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