CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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アリーシャとロゼ

 スレイがアリーシャ(とコタロー)と日課の散歩をしている時だった。花畑があったので、スレイらはそこに座り、アリーシャが花輪を作る姿を微笑ましく見守っていた。

 

「おーい! スレイ、アリーシャ、コタロー!」

「ロゼっ!」

 

 「風の骨」捕縛騒動で一度、別行動を取っていたロゼの姿がそこにはあった。

 

「ろぜ……?」

「もー。ここ特定すんのにどんだけかかったと思ってんのよお。先にカムラン行ってなきゃわかんなかったわよ絶対」

「ごめんごめん。余裕なくてさ」

 

 明るかったロゼだが、アリーシャを見下ろした時、空色の瞳は痛々しさを湛えていた。

 

「ライラたちから聞いたよ。アリーシャ、あたしが来たからにはもう……」

「いやぁ!!」

 

 アリーシャは、ロゼが伸ばした手を弾き、尻餅を突いたまま後ずさった。

 

「アリー!」

 

 今日までずっと黒子に徹していたコタローが初めて声を荒げ、アリーシャに駆け寄った。

 

「アリー、アリー。ここにいる。おれもスレイさんもいるから。アリー」

 

 コタローは何度も何度もアリーシャの背中を撫でる。しかしやがて、いや、いや、とアリーシャが暴れ始めた。

 

「どうしちゃったんだよアリーシャ! アリーシャッ!」

 

 近くにいた村人が何事かと駆け寄ってくる。

 その人垣を抜け、ライラとザビーダ、ミクリオとエドナも戻って来た。

 

「ろぜ、キライ! わたしがいちばんさいしょに、すれいのジュウシになったのに! ろぜ、ぜんぶとってった。すれいのジュウシになって、すれいとたびして。ズルイ。ズルイろぜ、キライ!」

 

 その時だった。軽い音が高く村に響き渡ったのは。

 

 アリーシャは呆然と、震える手で叩かれた頬を押さえた。

 ロゼは肩を怒らせてアリーシャを叩いた態勢のまま言い始める。

 

「ズルくないわよ! そんなにスレイ取られるのがイヤだったんなら、そもそも離れなきゃよかったじゃない! 姫だろうが国だろうが捨てて! 代償があったって! 追いかけるって言ったんでしょ!? そのために修業してたんでしょ!? なのに何で自分で限界決めっちゃってんだよ!」

 

 ロゼがアリーシャの両肩を掴んで揺さぶった。

 アリーシャは必死で両手を暴れさせ、どうにかロゼの腕から逃れて、花畑に倒れた。そして、足をもつれさせながらも立ち上がり、イズチの外へ向かう門へ走って行ってしまった。

 

「……ロゼさん」

 

 一番に押し殺した声を上げたのは、コタローだった。

 

「恨みます」

 

 コタローは立ち上がり、アリーシャが走って行った方向へ走った。

 スレイも慌てて立ち上がり、コタローを追いかけた。




 我が家ではタイミングの悪さに定評のあるロゼでした。
 ロゼがどうやってイズチに辿り着いたかは……まあ考えない方向で。

 そしてアリーシャの爆発。これはアリーシャの、というより、作者の気持ちを代弁してもらいました。

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