CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
スレイらと別れ、羅針盤の光に従ってコタローとアリーシャが辿り着いたのは、ゴドジンという辺境の村だった。
ゴドジンはハイランドの敵国であるローランス帝国領の村だ。ハイランドの姫であるアリーシャが行けば騒ぎになる。
よって彼らは、ローランス帝国領に入ってすぐの町で、アリーシャが変装するための服を買った。
髪も下ろして、学生服風のそれに着替えたので、これなら「アリーシャ姫」だと思う者はまずおるまい。
村に入る前にコタローは羅針盤を収納してポケットに戻し、アリーシャと並んで門を開け、村に踏み入った。
一見してグリンウッドのどこにでもありそうな平易な村だ。変わっているのは、奥にある木材の校舎らしき建物だろうか。
「あ、よそものだ」
声のしたほうへ行ってみると、まだ幼い男の子と女の子がいた。
「こら! そういう言い方しちゃダメって、学校で習っただろ」
「そうだった! ――こんにちは」
「こんにちは」
アリーシャのほうが朗らかに挨拶を返した。
「ここが、君たちが行ってる学校?」
「うん! 村長さんが建てたんだよ。村の将来のために」
すらすらと難しい言葉を言い上げる子供たち。コタローは驚いてアリーシャと顔を見合わせた。これは、「学校」の教育がよほど行き届いているのだろう。
「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど。この村で変わったことや怪談話はあるかな」
コタローの問いに、子供たちはきょとんとした。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「おれたち、探検家なんだ。色んな地方の伝承やおとぎ話を集めて回って、それを本にするんだ」
「本! すごーい」
「出版したら、ここの話は君たちに教えてもらったって書くよ」
「だったらね」
男の子のほうが、しゃがむように手招きした。
コタローとアリーシャはしゃがんで、男の子の口元に耳を向けた。
「この村にはね、絶対入っちゃいけない『聖域』があるんだって」
「『聖域』?」
「村長さんと、決まったオトナしか入ったらだめなんだよ」
「それ、どこにあるの?」
「「あっち」」
男の子と女の子が揃って指差した方向には、民家越しでありつつも、大きな洞窟の入口がそびえ立っていた。
コタローとアリーシャは子供たちに礼を言って、適当な民家の裏に回った。
小型化した羅針盤を展開し、洞窟のほうへ向けてみた。
「光が洞窟の奥へ続いて――」
「カードがあそこにあるんだ。入るしかない。できるだけ村人と波風は立てたくないけど」
「じゃあ、夜中に行けばいいんじゃないか?」
「それがベターだね。宿で夜を待とうか」
スレイらより一足早くゴドジン入りしたアリ・コタ。
この先回り、実は伏線だったりします^m^