CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

31 / 180
辺境の村・ゴドジン

 スレイらと別れ、羅針盤の光に従ってコタローとアリーシャが辿り着いたのは、ゴドジンという辺境の村だった。

 

 ゴドジンはハイランドの敵国であるローランス帝国領の村だ。ハイランドの姫であるアリーシャが行けば騒ぎになる。

 よって彼らは、ローランス帝国領に入ってすぐの町で、アリーシャが変装するための服を買った。

 髪も下ろして、学生服風のそれに着替えたので、これなら「アリーシャ姫」だと思う者はまずおるまい。

 

 村に入る前にコタローは羅針盤を収納してポケットに戻し、アリーシャと並んで門を開け、村に踏み入った。

 

 

 一見してグリンウッドのどこにでもありそうな平易な村だ。変わっているのは、奥にある木材の校舎らしき建物だろうか。

 

「あ、よそものだ」

 

 声のしたほうへ行ってみると、まだ幼い男の子と女の子がいた。

 

「こら! そういう言い方しちゃダメって、学校で習っただろ」

「そうだった! ――こんにちは」

「こんにちは」

 

 アリーシャのほうが朗らかに挨拶を返した。

 

「ここが、君たちが行ってる学校?」

「うん! 村長さんが建てたんだよ。村の将来のために」

 

 すらすらと難しい言葉を言い上げる子供たち。コタローは驚いてアリーシャと顔を見合わせた。これは、「学校」の教育がよほど行き届いているのだろう。

 

「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど。この村で変わったことや怪談話はあるかな」

 

 コタローの問いに、子供たちはきょとんとした。

 

「どうしてそんなこと聞くの?」

「おれたち、探検家なんだ。色んな地方の伝承やおとぎ話を集めて回って、それを本にするんだ」

「本! すごーい」

「出版したら、ここの話は君たちに教えてもらったって書くよ」

「だったらね」

 

 男の子のほうが、しゃがむように手招きした。

 コタローとアリーシャはしゃがんで、男の子の口元に耳を向けた。

 

「この村にはね、絶対入っちゃいけない『聖域』があるんだって」

「『聖域』?」

「村長さんと、決まったオトナしか入ったらだめなんだよ」

「それ、どこにあるの?」

「「あっち」」

 

 男の子と女の子が揃って指差した方向には、民家越しでありつつも、大きな洞窟の入口がそびえ立っていた。

 

 

 コタローとアリーシャは子供たちに礼を言って、適当な民家の裏に回った。

 

 小型化した羅針盤を展開し、洞窟のほうへ向けてみた。

 

「光が洞窟の奥へ続いて――」

「カードがあそこにあるんだ。入るしかない。できるだけ村人と波風は立てたくないけど」

「じゃあ、夜中に行けばいいんじゃないか?」

「それがベターだね。宿で夜を待とうか」




 スレイらより一足早くゴドジン入りしたアリ・コタ。
 この先回り、実は伏線だったりします^m^

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。