CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
神依を解除したアリーシャは、膝に手を突いて荒い呼吸をくり返した。
赤毛の前髪が肌にへばりつくほどに汗だくだった。鎧も着ていないのに体が重い。
(今のが神依。体の奥底から力が湧いては尽きなかった。こんなものをスレイは何度も使ってきたのか)
「アリーシャ、大丈夫!?」
スレイが駆け寄ってきて、アリーシャの肩に手を置いた。心配げに顔を覗き込まれた。
「私は、大丈夫。ちょっと緊張の糸が切れてしまっただけ」
「そっか。よかった」
コタローも来て、アリーシャの答えに安心した顔を見せた。
「ロゼさんの体にも異常はありません」
すぐそばにライラが実体化した。
「ただ、ちょっと心配ですわ。こんなに天族の力が通りやすい体だなんて。ロゼさんとデゼルさんの関係に悪影響を与えなければいいのですが」
「そういやライラ。アリーシャがちゃんとアリーシャの体に戻ったら、その辺、どうなるんだ? また天族がわからないままに戻るの?」
「あ……」
忘れていた。アリーシャが今動かしている体はロゼのものだった。
「そればかりは戻ってみないと、私にもわかりません」
「そう、ですか」
遺跡の奥から戻ると、アリーシャ――の体のロゼを中心に、「風の骨」のメンバーが勢揃いしていた。
「そろそろ1日経ったわよ。元に戻してくれんのよね?」
自分の顔でそういう態度を取られると、妙に複雑になるアリーシャだった。
「じゃあお二人。できるだけ、がっしり! 抱き合ってください」
ロゼが緊張した顔色で前に出た。
アリーシャもまた緊張していた。他者とのふれあいが全くと言っていい育ちの自分が、昨日知り合ったばかりの相手と抱き合う。
「何迷ってんのよ。早く」
「す、すまない」
アリーシャもロゼの前に出た。
「せーのっ」
むぎゅっ
(わ、細い。彼女はこんなに細い体で暗殺ギルドなんてしているのか。こんな、どこにでもいそうな女の子が……どうして)
コタローが「
「かの者たちの心を入れ替えよ。『
カードから青い波が放たれ、アリーシャとロゼを覆った。
何かがぶれる感じがした、と思った時には、視界が真っ暗になっていた。
青い波が晴れて、座り込む。ロゼも同様だった。――ロゼも?
「あ、私……」
「戻っ、た?」
ロゼはぺたぺたと顔を触り、髪をいじり、「風の骨」の仲間を見上げた。
「頭領?」
「――っうん! あたしだよ!」
「風の骨」のメンバーが顔を見合わせ、喜びを表情に露わにロゼをもみくちゃにした。
「アリーシャ!」
「スレイ!」
スレイがアリーシャの目の前に片膝を突き、肩を掴んだ。
「アリーシャ、だよね? ロゼじゃないよね?」
「ああ。私だ。アリーシャ・ディフダだ」
スレイは喜色満面になった。
「よぉっし! みんな、撤収するよ。――というわけで、バイバイ、導師ご一行サマ」
「ああ。ありがとう。大事な体を預けてくれて」
「そっちこそ」
ロゼはアリーシャに槍とさくらカード2枚を差し出した。アリーシャはそれらを受け取り、ナイフ2本をベルトごとロゼに返した。
「うん。やっぱこうでなきゃ。――んじゃ、縁があったらまた会いましょーねー」
ロゼ含む「風の骨」は、地上に通じる梯子がある部屋へ入っていった。
「また」とロゼは言ったが、次に会う時は「セキレイの羽」のロゼとがいい、とアリーシャは思った。
ここではロゼ+デゼルの加入なしです。
ただ、ずっと加入しないわけではありませんよ。ちょっと原作より遅れるというだけで。