CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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入れ「替」わった少女たち

 どこか休む場所を探そうということになり、アリーシャたちは夜の森を3人で進んでいた。

 

 ぴた。

 コタローが足を止めた。アリーシャはスレイともどもふり返った。

 

「――さくらカードの気配だ」

 

 コタローは懐から羅針盤を取り出した。展開した羅針盤から伸びる光は、まっすぐ北へ向かっている。

 

「抜けてもいいですか? 近くにさくらカードがいるみたいなんです。探して封印しないと」

「ダメだ」

「何でですか!」

「オレたちも一緒に行くから。な、アリーシャ」

「ああ。せっかく一緒にいるのに、わざわざ離れるなんてもったいないじゃないか。それに。コタローは私を一人前の魔法使いにしてくれるんだろう?」

 

 コタローに迫ると、コタローは観念したように溜息をついた。

 

「導師さんは見てるだけにしてくださいよ。アリーは……状況によっては手伝ってもらう」

「「了解っ」」

 

 同時に答えたアリーシャとスレイに対し、コタローは苦笑した。

 

 

 

 

 

 羅針盤の光を追った先には遺跡があった。だが、遺跡好きのはずのスレイは明るい顔をしなかった。

 

「無理にテンション上げないでくださいね」

 

 コタローは先んじて釘を刺した。空元気のスレイを見れば、アリーシャが心配するからだ。

 

「はは。バレてら」

 

 羅針盤の光を追って、コタローを先頭に遺跡の奥へと進んでいく。

 

「反応弱いな。休眠中なのか――?」

 

 やがて光は高度を下げ、一つのレリーフの上で止まった。

 

 コタローは羅針盤を置き、レリーフを刻んだ石板を引っ張った。

 案の定、開いた上に、地下へ下りる梯子まであった。

 

「すごいな、コタロー。遺跡の仕掛けの定石、知ってるのか」

「カードたちがどうしてか遺跡を好むんで。しょっちゅう勉強した結果です」

 

 コタローは羅針盤を小さくして懐に戻し、迷わず梯子に足をかけて地下遺跡に降り始めた。上からはアリーシャ、スレイの順番で続いた。

 

 後ろでアリーシャらが降りる間にも、コタローは遺跡全体を見回した。

 

(カードの気配が上より濃い。どのカードかはわからないけど、ここに1枚、確かにいる)

 

 

「夜なのにいやに明るいなあ」

「そういえば。民家くらいの明るさはある……」

 

 風切り音がしたと思えば、コタローの、それにアリーシャとスレイの首筋に、短剣が突きつけられていた。

 

「勝手に人の寝床に入らないでほしいわね」

 

 スレイに2本の短剣を交差して突きつけた女が言った。

 彼女らは全員が同じ仮面を着け、同じコスチュームを着ていた。

 

「あんた、噂の導師だね。そっちはハイランドのアリーシャ姫。で……」

「コタロー・リー。アリーシャの友達です」

「この状況で素直に答える? ふつー」

 

 女は、交差させた刃はそのままに、笑った。

 

「あの、勝手に入ってごめん。人がいるとは思わなかったんだ。それで、ええと、ここに友達が探してる物があって。あ、宝物とかお金とかじゃないから! とにかくそれを探しに来たんだ。ほんっとごめん」

 

 女はしばしの沈黙を挟み、スレイに突きつけていた短剣を引いた。

 それを合図にしたように、他の者たちもナイフをコタローとアリーシャから外した。

 

「別にいいわよ、家探ししても。もうここのアジトは捨てるつもりだったし」

「捨てる?」

「変な動物が出るのよ。変色しないカメレオンみたいな奴。気になって休めたもんじゃない」

 

 その時、コタローは確かに魔力の動きを感じた。

 

「いた!」

「あー、出た! あれよ、カメレオンもどき!」

 

 女の言う通り、その容姿はまさにカメレオンだった。全身が青いカメレオン。

 ある意味で一番手強かった、と父に言わしめたカード――「(チェンジ)」。

 

「星の力を秘めし鈴よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、虎太郎が命じる。封印解除(レリーズ)!」

 

 星の鈴を持って「(チェンジ)」の前へ走り出た。「これ」は特性を発動する前にカードに封印するに限る。

 

「汝のあるべき姿に……うわ!」

 

 「(チェンジ)」が顔面に向けて突進してきたので、つい反射で避けてしまった。

 

 そこでアリーシャが走り、逃げた「(チェンジ)」を追いかけ、尻尾を掴んだ。その拍子にアリーシャは顔面からこけた。

 

「くっ、逃がすか、このっ」

 

 掴んだのが尻尾だけあって、「(チェンジ)」はなかなかどうして暴れる。

 

「ああもう見てらんない!」

 

 すると、スレイの後ろにいた女が走って行って、「(チェンジ)」を押さえ込むように飛びついた。

 暴れる「(チェンジ)」を押さえる間に、女の仮面が外れた。

 赤毛の、アリーシャと同年代の少女だった。

 

 アリーシャとその女の健闘の甲斐あって、「(チェンジ)」は床に押さえつけられたのだが。

 

「あ! 二人で捕まえるのはまず……!」

 

 言い切る暇はなかった。「(チェンジ)」の特性が発動した。

 

「~~っ二人ともごめん! ――汝のあるべき姿に戻れ! さくらカード!」

 

 二人の少女が捕まえていた動物は、光にほどけて、コタローの前でカードの形を結んだ。

 コタローはカードを手に取り、深く深く溜息をついた。

 

 

 

 

 スレイは一目散に走って、アリーシャを抱き起こした。

 

「大丈夫?」

「いった~。ちょっと、今の何だったのよぉ」

「ア、アリーシャ? あれ? なんか口調が」

「っつう……すまない、巻き込んでしまって」

「と、頭領!? 急にどうしたのよ、そんな畏まった口利いちゃって」

「「え?」」

 

 少女たちは互いの顔を見やり。

 

「あ、あたしが何で目の前にいるのぉ!?」

「これは、一体どういうことなんだ? スレイ、私、どうなってしまったんだ?」

「やっぱやっちゃいましたか」

 

 物凄く疲れた顔をしたコタローがやって来て、少女たちの前で片膝を突いた。

 

「アリー」

「あ、ああ」

「暗殺者さん」

「ロゼよ」

 

 スレイはさらに混乱した。アリーシャ、と呼ばれて応えたのはロゼで、暗殺者さん、と呼ばれて応えたのはアリーシャだったからだ。

 

「さっき『(チェンジ)』に同時に触ったせいで、二人の人格は入れ替わりました。1日経たないと元には戻せません」

 

 

 …………………

 

 

「「えええええええ!?」」




 これだー! これがやりたいがためにCCさくら×TOZなんて始めたんだよ自分は!
 さてロゼの体にアリーシャINしたことで、アリーシャには様々な特典がもたらされます。それこそを目指してここまで書いてきましたのです!
 ああ、続きを早く書きたい!

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