CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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滝を「抜」けた先は

 次の日。羅針盤が示す光を追ってコタローらが辿り着いたのは、大きな滝だった。

 

「これってどういうこと? この滝がさくらカードなのか?」

 

 コタローはブーツを脱ぎ、川の中に降りて滝の前まで進んだ。

 滝の流れの横側に、岩に背をつけて安定を確保しながら入り込むと――思った通り、滝の裏に洞窟らしき穴が開いている。

 羅針盤の光はこの奥へ続いていた。

 

「アリー! 滝の裏に道が隠れてる」

「本当に!?」

 

 アリーシャもまたブーツを脱ぎ捨て、コタローのように川にざぶざぶと分け入ってやって来た。

 

 問題はどうやって滝の裏に入り込むか、だ。

 玉砕覚悟で滝の水を浴びながら正面突破もありだが、できるなら体力を消耗せず、かつ、濡れずに入りたい。

 

 こういう時に助けてくれるカードはないかとコートの内ポケットを探るが、やはり、ない――と思いきや。

 

(あれ? 反対のポケット、おれ、何も入れてなかったはずじゃあ)

 

 取り出したそれは、まぎれもなく、さくらカード。「(スルー)」。コタローは仰天して腰を抜かすところだった。

 

(あれって夢じゃなかったの!? や、でも、母上、確か夢見の素質もあるってお祖母様も言って。じゃあこれ、母上が)

 

 「(スルー)」のカードをまじまじと見下ろすコタローに、アリーシャが訝しげに呼びかける。

 

「アリー。この滝抜ける方法、見つかったよ。ちょっとズルになるけどね」

 

 コタローは星の鈴を出し、「(スルー)」のカードを宙に投げた。

 

「我が前に立ちはだかる水壁を抜けさせよ。『(スルー)』!」

 

 「(スルー)」のカードの力の波動がコタローとアリーシャを包んだ。

 

「今何か、不思議な感じが体を包んだような」

「それがカードの力を開放した時の感覚だよ」

 

 コタローはアリーシャに手を差し出した。アリーシャは手を出した。二人が手を繋いだ。

 

「行くよ。今なら滝もすり抜けられる」

「――わかった。信じる」

 

 二人は同時に足を踏み出した。

 

 どちらも、濡れることも滝の轟きに潰されることもなく、洞窟の入口に立つことができた。

 

 「(スルー)」で抜けられる障害物は、抜ける者の魔力量に比例する。少なくとも滝を潜り抜けて平気な程度には、自分たちは力をつけてきている。

 

「これが、さくらカードの力……こんなの、私に扱い切れるのか……?」

「できるよ。アリーなら。おれはそう思ってる」

 

 コタローはアリーシャの手を離した。

 

 羅針盤の光は洞窟の奥にある石扉に続いている。

 

「怖い?」

 

 アリーシャは一拍置いてから、首を振り、先に石扉へ歩いて行った。

 二人は並び、左右の石扉を同時に開いた。




 夢だけど夢じゃなかった。というわけでコタロー、新たに「抜」のカードを棚ぼたゲット。

 早くアリーシャがさくらカードを使うシーン書きたい……!

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