CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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決闘! コタローvsエドナ

 エドナという少女がPTに加わってから、不穏な予感が鳴り止まない。

 それというのも、エドナが加入してから、アリーシャが妙に委縮しているのをよく見るのだ。

 

 不承不承ながら、コタローはスレイに頼んで手を繋ぎ、エドナがアリーシャに何を言っているのか確かめることにした。

 

 

「この子みたいにいちいち反応されても面倒だもの」

 

「自己紹介し合っただけなのにもう名前で呼んでくるなんて随分馴れ馴れしいのね」

 

「お詫びにノルミンダンスを踊りなさい」

 

「分からないの? 反省なさい」

 

「可愛いものをやたら可愛がる自分を可愛いと思ってほしいのね」

 

「お詫びにリスリスダンスを踊りなさい。フワフワバージョンで」

 

 

 無理難題はもちろん、アリーシャの敬虔な態度、果ては言動まで全否定。これを知ってコタローが黙っていられるはずがなかった。

 

 そしてある日、ついに爆発した。

 

 

「いい加減にしてください! アリーは純粋な子なんですよ!? それをダシにしてからかって。アリーはあなたのオモチャじゃない!」

 

 エドナがいるであろう位置に向かってコタローは吼えた。

 

 応酬になるということで、スレイが両者の間に入って、両者の手を取った。

 

「ふうん。じゃあどうしたのかしら、コタロー坊やは」

「おれと決闘してください。おれが勝ったら、金輪際アリーをからかうこと、オモチャにすること、いじること、全部禁止です」

「それ、ワタシに何のメリットがあるの?」

「歪んだ性根が叩き直されます」

「言ったわね」

「言いましたよ」

「あなた、従士じゃないんでしょ。視えないワタシ相手にどう戦うのかしら」

「やりようはいくらでも」

 

 この時、コタローが考えていた作戦は単純だった。

 「(ウッド)」でエドナを拘束、のち、全力でボディブローしてカウント3。

 これだけ速ければ、エドナとて天族の力を発揮する暇はあるまい。幸いにして、カードたちには天族が視えている。

 

「まあいいわ。格の違いを教えてあげる」

 

 

 

 

 ―― 一行は適当な窪地に出ると、エドナとコタローを中心に残して下がった。

 

 コタローの目の前には誰もいない。気配を読むに、身長は145cm。身長の割に空気は重い。服に重装備を仕込んであるか。武器は尖った棒らしき物。

 

(ここまでわかれば充分だ)

 

「始め!」

 

 審判をやらされることになったスレイの号令。

 

 コタローはすぐさま、すでに展開してあった星の鈴を「(ウッド)」のカードに当てた。

 

「かの者を捕えよ! 『(ウッド)』!」

 

 窪地の全方向から蔓が生え、一方向に伸びる。

 蔓はそこにいるであろうエドナを拘束する――はずだった。

 

 

 

 

 アリーシャはハラハラとなりゆきを見守っていた。

 

(コタローが心配してくれたのは純粋に嬉しい。けど、だからって、決闘なんて。それも天族の方と。コタロー、エドナ様……)

 

 先制攻撃はコタローだった。

 

「かの者を捕えよ! 『(ウッド)』!」

 

 あちこちから幾条にも蔓が伸び、傘を差して悠然と立つエドナを拘束すべく伸びる。

 

 エドナは慌てるでなく、ブーツを履いた足で地面を踏んだ。

 

 それだけで窪地がコタローに向けて隆起してゆき、蔓の拘束を弾いたどころか、最終的にコタローにアッパーを食らわせた。

 

 コタローはその場で大の字に倒れた。

 

「そ、そこまで! エドナ、ストップストップ!」

「あら、もう? やりがいのないこと」

 

 アリーシャは急いで倒れたコタローに駆け寄った。

 

「コタロー! コタロー、しっかり!」

「なにあれ……めちゃつよ」

「軟弱ね。鍛え直してらっしゃい」

 

 エドナが傘を畳んだ。

 

「そういうわけだから。アリーシャ。今後もあなたには構わせてもらうわ」

「は、はい。よろしくお願いします、エドナ様」

 

 せっかくのコタローの気遣いを無下にしてしまうのはためらわれたが、アリーシャにそれ以外の返答はなかった。




 本編で思ったことをコタ君に代弁してもらいました。
 これがミクリオや他のキャラなら平気なのですが、アリーシャだとむかっと来た自分はやはりおかしいのでしょうか?
 まじめな子をいじめないでほしかったんです。

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