CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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「大」自然から奪われたモノ ②

 デカオタをどうにか退けたホーニャンは、すぐさま道を走って行った。

 

(本体が近くにいるはず)

 

 気配を辿って草を掻き分けて進めば、太い幹の上に『大』(ビッグ)の本体が座っていた。

 本体もビッグな『大』(ビッグ)がそうしていると、コンフェイト大森林の植物が原寸サイズに見えてくる。

 

 ホーニャンは星のロッドを振り被った。

 

「汝のあるべき姿に戻れ! さくらカード!」

 

 星のロッドを振り下ろす。『大』(ビッグ)の姿が魔力にほどけ、カードの形になっていく。

 完全にカードに戻った『大』(ビッグ)はふわりとホーニャンの手に舞い降りた。

 

 ホーニャンはほっと息をついた――ところで、頭に拳骨が炸裂した。

 

「いったぁ!?」

 

 拳骨の主はリッドだった。

 

「お前なあ。一人で先に行くなよ。もっと危ない魔物が出たらどうするんだ」

「ごめんなさい……」

「謝るならこいつに謝ってやれ」

 

 ひょこん。

 リッドの後ろから顔を出したのはケルベロスだった。

 

「この坊ちゃんの言う通りやで。わいも坊ちゃんらも心配してんねんぞ。はぐれたら力になりとうてもなれへんやんけ」

「ごめんなさい……」

 

 飛んできたケルベロスを両手で受け止め、胸にきゅっと抱いた。

 

「わかったなら進むで。今度はみんな一緒にな」

「はい」

 

 

 

 

 それからはホーニャンもリッドたちの輪に入って森を歩いた。

 

 途中でフィリアが、大国が星晶(ホスチア)採掘をやめられないカラクリを教えてくれたり、リッドが元々のデカオタの謂れを教えてくれたり。ホーニャンはそれらを、相槌を打つ程度に聞いていた。

 

 あっというまに感じられる時間で、採掘地跡に着いた。

 

 跡地は一面が干からび、石灰を撒いたように白い。

 

「なあ……なんか、やばいんじゃないか? 見てみろよ、周りの植物を。こんなもの見たことねえぞ」

「一面、無機物化しています。もはや植物と呼んでいいのかわかりません」

 

 

(それ以上に、何だろう。カードの気配は感じない。こんなに周りと違うのに、この白い場所にも魔力はちゃんと感じる。普段感じてるマナとは違うけど、マナがないわけじゃ、ない)

 

 

「――お前たち、アドリビトムか」

 

 はっとしてふり返り、ホーニャンは度肝を抜かれた。

 来たのは2名。片方は人間の青年だが、片方は二足歩行で鎧を着た大柄な黒猫だったのだ。

 

「あなたたちは?」

「ヘーゼル村のユージーン・ガラルドだ。アドリビトムには、ヴェイグたちのことも含め、いつも世話になっている」

「俺はティトレイ・クロウ。ヴェイグがまたサレの奴とやり合ったんだって? ったく、あいつもしょうがねえ奴だなあ」

 

 ユージーンとティトレイは、ヘーゼル村からサレが去ったので出て来られたこと、村の星晶(ホスチア)が採掘され尽くされたことを話した。

 長話になりそうだということで、リッドがユージーンとティトレイにバンエルティア号に来るよう促した。

 

 行きより人の増えた帰り道。一度だけホーニャンは白く無機物化した採掘地跡をふり返った。

 

 命の息吹のない世界を、とても―――うつくしい、と感じた。




 満遍なくテイルズキャラを描写しようとするとどうしても(さくらと小狼の)末っ子の描写が平坦になってしまいます。

 そういやCCさくら新連載始まるそうですね?

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