CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
追想曲と魔女っ子
世界樹の恩恵によって人々が暮らす世界、“ルミナシア”。
世界樹が生み出したとされる“マナ”と“
人々は
やがて大国は
混迷していく世界――
閉塞した時代の中、人々は一人の救世主を待ち望んでいた。
世界樹の守り手・ディセンダー。
太古より予言されていたそれは世界樹によって生まれ、世界を守護するために現れる――はずだった。
そのディセンダーは過去の履歴を持っていた。
そのディセンダーは不可能に挫け、恐れに震え、己が卑小な人間だと諦観していた。
それでも「それ」は「ディセンダー」だった。
挫け、震え、諦観しても、「ディセンダー」であろうとした。
…………
……
…
カノンノ・グラスバレーはルパーブ連山を歩いていた。
ギルドのクエストを無事達成し、あとは迎えの空中戦艦が来るポイントに行けばいいだけ。いつもと変わらない一日になるはずだった。
すると、夜でもないのに、眩しい光の一条が空を駆け抜けた。
光の正体を確かめたくて、カノンノは光を追った。
(迎えまでまだ時間があるから、寄り道しても大丈夫だよね)
カノンノが光が落ちた地点に着いた時、――光は一点に集まり、真紅の
中心には、胎児のように丸まった女の子。その女の子がゆっくりと光から出て下りてくる。
カノンノは両手を広げて女の子を抱き留めた。なぜか、ずっと別れていた片割れとようやく巡り会った気がして、腕を伸ばさずにいられなかったのだ。
カノンノと近い年頃らしき面差し。真紅のミニスカワンピースに、胸から上と二の腕はリボンを格子状に絡めて衣服としている。カノンノの服装にどこか似ている。ワンサイドでみつあみにした栗毛はカノンノと同じ髪型だが、カノンノより長いし、碧玉の飾りがみつあみの先端に着いていた。
女の子の両手にはしかと、オレンジ色のぬいぐるみを抱いている。ぬいぐるみのほうは、カノンノの執事で育て親でもあるロックスを彷彿とさせた。
カノンノは女の子を慎重に地面に横たえ、肩を叩いて目覚めを促してみる。
「しっかりして。起きて」
「ん……」
女の子は虚ろな琥珀色の目を開け、2、3回瞬いてから、ゆっくりと体を起こした。
起きたのは女の子だけではない。彼女に抱えられていたぬいぐるみもまた、大きな伸びをしながらあくびをした。
「ん~、着いたんかあ?」
「わかんない。――ねえ。ここってルミナシア?」
女の子はカノンノに尋ねた。
「うん、そうだよ。空から降りてきたんだもん。すっごく驚いたよ。あれは何かの魔術なの?」
「魔術といえば魔術なんだけど、『ここ』の魔術とはちょっとちがうんじゃないかなあ」
「どういうこと?」
答えたのはぬいぐるみ――のような姿をした生き物のほうだ。
「この子は『魔法使い』。正確には魔術やのうて魔法を使うんや」
魔法。耳慣れない単語にカノンノは首を傾げたが、深く追及はせず、気を取り直して立ち上がった。
「とにかく気が付いてよかった。ここは魔物が多くて危ないから。――わたしはカノンノ。カノンノ・グラスバレー。あなたは?」
女の子は、カノンノが伸べた手に掴まって、立ち上がった。
「あたし、ホーニャン・リー。そんでこっちの、今肩に乗ったのが」
「わいはケルベロスや。よろしゅうな、親切なお嬢ちゃん」
「ホーニャンにケルベロスね。よろしく」
カノンノはホーニャンたちを、自分のギルドの拠点である艦に案内すると告げて歩き出した。ホーニャンは素直に後を付いて来た。
しばらく行くと、橋を渡るのを邪魔するように、オタマジャクシ型の魔物、オタオタがいた。
「あっちゃあ。通してくれそうにないなあ」
するとホーニャンがカノンノの前に出た。
「下がってて」
「ホーニャン?」
「助けてくれたお礼に見せてあげる。あたしの『魔法』」
ホーニャンはおもむろに前髪を留めていた星と薄羽の髪留めを外し、掲げた。
――魔力、この世界においては“マナ”と呼ばれるそれが、風となってホーニャンの持つ髪留めを中心に吹き巻く。
「星の力を秘めし羽よ、真の姿を我の前に示せ。契約の下、
髪留めがロッドの形に変形する。透明な「☆」から虫の持つような薄羽が生えたデザインのロッドだ。
ホーニャンは星のロッドを掴んで軽く回転させてから、レッグホルダーから一枚のさくらカードを抜いた。
「木之本桜の創りしカードよ。我に力を貸せ。カードに宿りし魔力を羽に移し、我に力を。
星のロッドで、宙に静止した
ぶわっと赤、青、白、ピンク、オレンジと多彩な花吹雪が起きた。
「わあっ。素敵――」
やがてオタマジャクシ型魔物は、
シューイ(柊一)/グレイセス編が思わしくないので、末娘のマイソロ3×末娘の最終シリーズと同時進行で書き進めることにいたしました。
混乱させること、実に申し訳ありません。
これからブクマの最新話更新は当てにならないとお思いください。