CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
バロニアの都にて即位式が催され、リチャードは正式にウィンドル国王となった。
式が終わって控えの間として宛がわれた部屋に、シューイ、ソフィ、シェリア、パスカルはいた。
アスベルだけがいない。リチャードの急な呼び出しで、部屋を出て行ってしまった。
「何か見えるか?」
ガラス窓に両手を突いて外を見ていたソフィに、前よりは幾分冷静に問いかけることができた。
「鳥」
「鳥? ああ」
「お空、飛んでるね。空を飛べたら気持ちいいのかな」
「おれも、知りたいな。空を飛ぶ気分」
帰ったら姉が所持する「
バンッ!
感傷を吹き飛ばす勢いでドアが開けられた。アスベルだった。
「シェリア!」
「は、はい」
アスベルは部屋に入るなりシェリアに詰め寄った。
「落ち着いて聞いてくれ。このままだとラント領が戦場になる可能性がある。リチャードはラントへ侵攻するつもりだ」
シェリアは蒼白になって口元を両手で覆った。
「俺はそうなる前にラントへ行き、交渉の席に着くようヒューバートを説得するつもりだ」
「私も行くわ。そんな話を聞いたらじっとしていられないもの」
そこへ、この場の誰でもない声が割って入った。
「それならオレも同行させてもらえないか」
部屋に入ってきたのは、ウォーターブリッジの砦で戦った鉈剣使いの厳つい男だった。
「マリク教官――」
「お前が進言してくれなかったら、オレや騎士団は処刑されていただろう。お前には大きな借りができた。今度はオレがお前の助けとなろう」
「教官のお力をお借りできるのは、とても心強いです。どうか、よろしくお願いいたします」
「よろしく。教官」
「……やれやれ。この分だと教官で定着してしまいそうだな」
バロニアから船に乗り、ラントを目指す海の上。
シューイは船室に篭もり、さくらカードをあるだけ使ってこれからのことを占っていた。
(原因は『
「何してるの?」
心臓が口から飛び出すから思うほどに跳ねた。
とことこ。ツインテールを揺らしてソフィが並べたカードの横に座った。
「これ、何?」
「さくらカードで占ってた。これからのことを。気休めだけどな」
すると、ふわ、ふわ、とさくらカードがひとりでに燐光を帯びて浮かび上がり、ソフィを囲んでくるくると踊り始めた。
「きれい」
「お前の心が清らかだからだよ」
「わたし?」
「さくらカードに好かれる人間に悪人はいない。何たってあの母上のカードだから」
シューイが手を差し出すと、掌の上にさくらカードが集まり、落ちて束となった。
「結果はよくなかったが、それはこれからどうするか次第だ。あくまで占いだからな」
コートの内ポケットに全てのさくらカードを入れ直した。
船を下り、陸路を越えて、ついにシューイらはラント領東門前まで辿り着いた。
東門は閉じられ、門番が2名配置されていた。
「頼めば開けてくれるわ。私はいつもそうしていたもの」
シェリアは軽く教えてくれたが、これに反対意見を唱えたのがマリクだ。
「彼らはアスベルの正体を知っているのではないか。不用意に近づくのは避けるべきだ」
シューイはコートの内ポケットから1枚のさくらカードを取り出した。
(腹は括った。エフィネアにいる間は彼女のため、彼女が大事にしてるもののために、力を使う)
「一つだけある。正面から怪しまれずに入る方法」