CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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ルドガーとヴィクトル

 ルドガーは正史世界に帰り、ディールの宿に着いてから、ジュードたちにようやく打ち明けた。重すぎた、「本来の運命」の予知夢を。

 

 聞き終わった一同は同時に難しい顔をしていた。

 

 一番に口を開いたのはジュードだ。

 

「……前にドヴォールで言って以来、予知夢のこと何も言わなかったから、てっきりもう見てないのかと思ってた。僕の早とちりだ。ごめん、ルドガー。君一人に苦しい思いさせて」

「そんな。ジュードが謝ることじゃない。言えなかったのは俺だ。どこかで信じきれてなかったんだ。『(ドリーム)』が見せる夢のこと、言ったって信じてくれるわけないって。だから、ごめん」

「今までの任務やクエストも予知夢に頼って切り抜けてきたのか?」

 

 ミラが興味津々に尋ねてきた。

 

「まあな。ただ、『(ドリーム)』が見せる夢って限定的なんだよな。物凄く大変なことが起こるのに夢に見なかったことも何度もある。『ミラ』とヴィクトルのことは、『夢』の内容ですでにダメージ大だったから、ツバサがいなけりゃどうなってたことか」

 

 ツバサは食堂の隅にいる。エルがその隣で、ルルにあれこれと話している。正確には、ルルの中の父親に。今までの大冒険を語っている。

 ルルは、ルドガーとよく似た色の目で、娘のがんばり物語を優しげに聞いている。

 

「独りでがんばるなんて許さない。ツバサさんの口癖でしたね」

「そう言うツバサこそ、あの時はほぼ単独で事を成していたようだが」

「ああ。だから今度は俺がツバサを助ける番だ。ツバサがしてほしいって言ったら、何でもしてやるつもりだよ」

 

 ルドガーは席を立ち、ツバサやエルたちがいるほうへ歩いて行った。

 

「そろそろ夕飯にするけど、リクエストあるか?」

「マーボーカレー! エル用ので!」

「エルちゃんと同じでいいですよ」

「……まさか過去の自分の手料理を食うはめになるとはな」

「そんなこと言うならあんたの分、作ってやんねーぞ」

 

 と言いつつも、結局はきっちり人数分を用意してしまう辺り、ルドガーも甘い。

 

 

 

 

 

 クルスニクにまつわる隠れた話はいくつもあるが、それはまた明日にでも話す。

 ルルはそう言ったので、その日は夕飯が終われば解散となった。

 

 客室で、すでにジュードとローエンは眠った時刻。

 ルドガーは一人起き出し、雨が叩きつける窓の桟に腰かけて、ぼんやり外を見ていた。

 

「眠らないのか」

 

 すと。同じ桟にルルが飛び乗った。

 

「夢見が悪かったんだよ。あんたは。エルと一緒に寝てたんじゃなかったのか?」

「抜け出した」

「――不思議だよな。外見は完璧にルルなのに、中身が未来の自分って」

「言うな。だが、こんな形とはいえ、お前を殺さず『私』のまま正史世界に入れるとは思いもしなかったのが本音だ」

 

 ルドガーは片膝を抱え、膝の上にあごを載せた。

 

「前にミラが言ってた。逢えるなら正史世界のミラと話してみたい、って。俺も考えた。俺はあんたと話すこと、あるかなって。正直、知りたいことは山ほどあるけど。あんたの世界の“みんな”を殺したあんたと親しくするのもどうかと思うけど。今はいいかなって思う。ツバサが全部何とかしてくれたから、まあ、いいかって」

「――あの少女は何者なんだ。魂の分割など、オリジンでもなければ不可能なはずだ」

「それが人間でもできる『魔法』って技術がある異次元から来た、元気でいい子の『魔法使い』。そんで俺たちみんなの友達」

「魔法……」

「正直俺もあそこまでやれるとは思わなかったから内心かなりビビった。でもツバサがいい子だってのに変わりはない。だからいいんだ。ミラも、あんたも、ツバサは救ってくれた。だから今度は俺がツバサに恩返しする番だ。――明日からトリグラフに戻って、レイアやアルヴィンにも手伝ってもらって資料探しだな」

「は?」

 

 ルドガーは窓の桟から降り、自分のベッドに向かった。

 

 

「俺はオリジンの審判を引っくり返す」




 友達がここまでしてくれたのなら、今度は自分の番。
 ただ助けられるだけで終わったら男が廃るってもんですからね。

 しかしエクシリア2の鬱展開はまだまだ残っているんですよね。
 さあ、ルドガー、ツバサ、どう挽回する!?

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