CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~   作:あんだるしあ(活動終了)

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二人が見ているユメ 2

 外へ出ると、ウプサーラ湖のすぐ前に全員が佇んでいた。

 

「いい景色だろう」

「ここでは源霊匣(オリジン)が完成しているんですか?」

「ああ。8年前に君が完成させた」

「でもあんたは殺したんだろう。ジュードを」

 

 仮面をしていても分かるほど、ヴィクトルの翠眼が鋭くなる。

 

「ジュードだけじゃない。この世界のローエンも、アルヴィンもレイアもエリーゼも。ビズリーを殺す邪魔をされたから。ユリウスと一緒になって。ビズリーがエルを奪おうとしたから」

 

 問い詰めるルドガーの強気の仮面こそ、いつ剥がれ落ちるか、ツバサは気が気ではなかった。

 

 ルドガーが両脇の双剣の柄に手をかけた。

 

「エルに見られる前に終わらせる」

「どこでそこまで知った、と言いたい所だが、ああ、私も娘に見られる前に終わらせたいのは同じだ」

 

 ヴィクトルもまた双剣を抜いた。

 

 ルドガーとヴィクトルが踏み出すタイミングは同じだった。

 きっと予知夢に見たからではない。彼らはどちらも「ルドガー」なのだ。タイミングも間合いも同じで不思議はない。

 

「まさかヴィクトルさんは!」

「分史世界のルドガーか!?」

 

 ようやくジュードやミラも気づいたようだった。

 

 双剣で切り結ぶ二人の男。徐々に押され始めたのはルドガーのほうだった。

 

 ヴィクトルがルドガーを地面に倒し、双剣の片方を首に突きつけた時点で、ツバサは動いた。

 

封印解除(レリーズ)――『(ウェイブ)』っ」

 

 展開した星の長杖を、宙に投げた「(ウェイブ)」のカードにかざした。

 

 凪いでいた湖が波打つ。

 湖から立ち昇った波はルドガーとヴィクトルの両方を押し流した。

 乱暴な手段だが、両者の距離を空けるのには成功した。

 

 ツバサはルドガーに駆け寄った。

 濡れ鼠の(てい)で上半身を起こしたルドガーに、背中から片手を添えた。もう片方の手には杖と、全てのさくらカードを握って。

 

 そこで殺伐とした空気にそぐわないソプラノが響いた。

 

「みんな、なにしてるの?」

 

 エルがルルを連れ、きょとんとこちらを見て首を傾げている。

 

「戻っていなさい。パパたちは大事な話が……ぐぅ!?」

「パパ!?」

 

 突然、ヴィクトルが右の顔面を押さえて頽れた。拍子に落ちた仮面。

 その下には、黒煙を吹き、黒く染まった右の顔面。

 

「ふふ。怖いか? だが、カナンの地へ行けば、この姿もなかったことにできる。パパとエル、二人で幸せに暮らせるんだよ」

「ほ、んと、に?」

「行くな! エル!」

「貴様が命令するな!」

 

 ヴィクトルは今度、銃を抜いて撃った。

 

「っ、『(ストーム)』!」

 

 ツバサは自身とルドガーを中心に竜巻を起こし、弾丸を弾いた。

 

 頭が絶えず回り続けて目まで回しそうだ。

 ルドガーはヴィクトルを殺したくないと言った。エルの前で父親を奪う自分を見せたくないと。それを遂げるためには、ツバサはどう立ち回ればいいか。

 

「カナンの地で精霊オリジンに願い、私は人生をやり直す! ――もちろんエルも一緒にな。私の娘として、正史世界で生まれ変わるんだ」

「それは、別の人間になるってことでしょう!?」

「“私たち”に変わりはない!」

 

 その一言で、ツバサの中に強く強く張っていた糸が、プツンと切れた。

 

「変わり、ありますよ」

 

 ヴィクトルは険しさを隠さずツバサを睨んだ。ツバサはヴィクトルの眼光を受け止めて立ち上がった。

 

「上の弟の師匠(せんせい)が言いました。『例え生まれ変わりであろうと、わたしはその人自身ではない』って。ジュード君の言う通りですよ。もしかしたら、あなたの願う『生まれ変わり』は、今の記憶を留めておけるものかもしれない。それでもエルちゃんとヴィクトルさんが蘇ったわけじゃない。死んだ人が生き返ることは、決して、ない」

「知ったふうな口を……!」

「知ってます。あの人は、現世の自分は前世の自分と違うものとして自分を扱ってた。そんな生き方を見て、聞いて、わたしは知った。生まれ変わることの意味。()()()()()()()()()()()()()()()




 こちらのオリ主はまんべんなく、さくら似の性格にしようと思っていました。
 その考えを今ここに捨てます。
 ここから先、「ほええ!」とか「はにゃーん」とかいうオリ主は見られないでしょう。それが許せない方はバックプリーズです。

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