Zestiria×Wizard 〜瞳にうつる希望〜 作:フジ
ゼスティリアクロス二期が始まり期待と不安が入り混じりながらの今年の初更新となります
ところでアニメTOZXこれ尺ホントに大丈(ry
今回は戦闘なしの交流&ドラマパートとなります。
ではどうぞ
「…………」
日がとうに昇り、昼も近付き始めた時間帯、アリーシャはゴドジンの村を何もなしに散策していた。
火の試練神殿を攻略して既に10日、アリーシャ達が村に未だに滞在しているのには理由がある。
この村の村長であるマシドラは、解毒後順調に復調していた。天族であるフォーシアを始めライラ達も交代で回復術による治療を行い、現在ではほぼ健康と言って差し支えない。
だが、そうなると次の問題が浮上してくる。ゴドジンとマシドラが今後どうしていくのかと言うことだ。
村人達は今回の事件を反省し、約束通り赤聖水の製造を今後行っていかないとアリーシャ達に誓った。
だが、残念な事に話はそれで終わる事は無い。現状で都に出回ってしまった偽エリクシールは既に多くの人間に買い取られてしまっている。
ゴドジンの人々がどれだけ苦境の中で生活していたのであったとしても、彼等がやった事は詐欺に他ならない。
もはや知らぬ存ぜぬでやり過ごせる状況では無い。誰かが今回の事件の責任を取らねば事態は大きくなってしまう。
マシドラもその事は理解していたのか、彼は自ら村人達に進言した。
「私が都へ戻り今回の事件の責任をとる」……と
その言葉に村人達は反対した。「村長一人に責任を押し付ける事なんて出来ない!」と。だが、マシドラ以外にも働き手である大人達がいなくなれば今度こそゴドジンは終わりだ。
だからこそ、マシドラは自ら都へと出向き、全ての責任を負って自首すると同時にゴドジンの現状を訴え、ゴドジンの人々の生活の援助を行ってくれる様に直談判するつもりだったのだ。
それは彼にとって1つの変化だったのかもしれない。ローランスという国に尽くし、そして見限った彼がもう一度ローランスを、そして人を信じようとしている。
セルゲイから預かった手紙に書かれていた言葉は、確かにマシドラの胸の内に響いたのだろう。
マシドラの説得に村人達も渋々とだが、納得はした。だが、仮にローランスからの援助が得られたにしてもゴドジンの現状は厳しい。
何せ、援助は一時的なものだ。いつかはゴドジンが自立して生活できる為の光を見いだせなければ意味が無い。
そんな時、意外な人物がゴドジンの支援をしたいと願い出た。
マシドラの治療に協力してくれた天族のフォーシアである。
何と彼女は嘗てこの一帯に加護を与えていた加護天族だと言うのだ。
「加護天族の一人として彼等の純粋な願いを繋げる力になりたい」そう願い出た彼女の意思はアリーシャの協力により、村人達に伝えられた。
アリーシャの力により天族の存在を視認した村人達は最初は驚いた。
だが、マシドラが罪を償い再び戻るまで変わらずゴドジンの村を守り抜くと誓っていた村人達はその協力を喜んで迎え入れた。
そしてフォーシアは器として村に建てられた学校を選んだ。彼女曰く、「この学校は邪な願いを感じさせない純粋な願いが込められたもの」という事らしく天族の器としては申し分無いらしい。
例え手段は間違いだったとしても、学校を建てたマシドラや村人達の願いは純粋な子供達への強い想いであったということだ。
そんな学校を器とし、フォーシアは家族としてマシドラの帰還を願う村人達の純粋な願いを加護へと変える事で痩せた土地であるゴドジンの土地を豊かにし、今後村を守っていく力となっていくだろう。
村人達もフォーシアに対して感謝を述べ、彼女の善意を裏切らぬ様、今度こそ真っ直ぐに生きていく事を誓った。
そんな訳で、様々な事後処理を終え、尚且つマシドラが旅立てる程に復調するのを待ち、アリーシャ達はこれから村を出発するまでに至っていた。
既に出発の準備は終わり、各自が最後の自由時間として別々に行動しているのだが……
「あの夢……あの少女と白い魔法使いは一体……」
そんな中、アリーシャの心に浮かぶ疑問。それは先日の夢の内容だ。
この数日の間、ゴドジンの村人達の手伝いをしている内は忙しくてそれどころではなかったが、いざ休憩などで時間を持て余すと彼女の脳裏にはすぐに夢の光景が浮かんでしまう。
「ハルトの語った過去にあの少女と白い魔法使いの事は無かった。やはり、語りたく無い何かがあるのだろうか?」
別にアリーシャは晴人の話が嘘だと疑っている訳では無い。魔法使いについてを説明する彼の表情は真剣そのものだったし、そこに嘘がないと断言できる位には彼女は晴人を信用している。
そもそも、アリーシャ達が聞いたことは、あくまで「魔法使いとは何か?」だ。ならば晴人はそれ以外について必要以上に語る必要も無ければ義務も無い。
それが彼にとって重要な出来事であれば尚更、安易に踏み込んで良いものでは無いとアリーシャは思っている。
そう思っているのだが……
「……同じ指輪か」
アリーシャは右手にはめられた指輪に視線を向ける。
夢の中で晴人に『コヨミ』と呼ばれた少女の指にはめられた指輪。あれは確かにアリーシャの指にはめられた指輪と同じものだった。
晴人の魔力を他者に分け与える効果を持つ指輪。それをつけた少女は一体何者なのか、そもそも晴人とどんな関係なのだろうか?
家族? 友人? それとも……
そんな思考がアリーシャの頭を駆け回り……
「ハァ……何を考えているんだ私は……」
そんな自分自身に呆れた様にアリーシャはため息をつく。
「そもそも、ハルトにはハルトの人生があるんだ。私の与り知らない事があるなんて当然の事だろう……」
自身の内に生じたモヤモヤとした感情。その正体がわからず、アリーシャは無理矢理自分を納得させるべくそう自身に言い聞かせるが……
「ん? 俺がどうかしたかアリーシャ?」
「ひゃあ!?」
「うお!? 急にどうした!?」
いつの間にか背後に立っていた晴人に声をかけられ素っ頓狂な声をあげるアリーシャ。それに釣られて晴人もビクリと驚いた反応を見せる。
「は、ハルト!? いつからそこに!?」
「え? いや、そろそろ出発するから呼びに来たら俺の名前が聞こえたからどうかしたのかと思ったんだけど?」
「そ、そうか!? すまない! 今行くよ!?」
どうやら晴人にはしっかりと聞こえていなかったらしく、アリーシャは慌てて会話を打ち切り、早足で歩いて行ってしまう。
「……なんだあれ?」
そんな彼女の背中を戸惑いながら晴人は見つめた。
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「さてと……それじゃあ短い間だけどお世話になりました」
荷物をまとめ村の入り口に立った一同。スレイは全員を代表し村人達に頭を下げる。
「頭なんか下げないでくれ導師様! 俺たちも……その……色々と感謝しているよ。村長の事も、村の事も……ありがとう」
「いや、村長さんを助けたのはハルトの力だから……」
困った様な表情を浮かべスレイは晴人へ視線を向ける。
「俺達が力を合わせて試練をこなして取り戻した力だ。なら間違っちゃいないだろ?」
「!! ……あぁ!!」
そう言って、なんて事ない様に笑う晴人。それを見てスレイは少しばかり驚いた表情を作るとすぐに笑顔を浮かべ、晴人の言葉を受け止める様に頷いた。
「ハルトお兄ちゃん!」
そこにボールを抱えた少年が声をかける。村長が倒れた際、晴人が村長を助ける事を約束した少年だ。
「お! 見送りに来てくれたのか? 」
「うん! 今日でお別れって聞いたから……ボールの上手な蹴り方、教えてくれてありがと!」
「ま、約束だったしな」
「もし、何かあったらまた村に来てね! 勉強もボールの蹴り方ももっと上手になってるから! あ、ついでにザビーダお兄ちゃんも!」
「俺はハルトのおまけかよ……」
この村に滞在した数日間、空いた時間に晴人は約束通り少年にリフティングやボール捌きなど教えていた。
村長が村を離れる事を聞いた子供達は当初は悲しんだものの、村長自身の説得や励ましを含めた晴人達との交流で少しずつ元気を取り戻した。
特に尽力したのは意外にもザビーダであり、意思疎通は晴人を介して行い、姿が見えない事を逆手に取りながら子供達と戯れ、中々の人気者となっていた。
「子供好きってのは本当だったんだな」
「なんだよ疑ってたのか?」
「いや、そういう訳じゃないけどさ」
「意外ではあったよね」
「私も……その……少し意外かと」
「側から見たら半裸のロン毛が子供と遊んでる際どい絵面だったけどね……」
「え、エドナさん……そこはもう少しこう……オブラートに包んだ言い方をした方が……」
「ヒデェ言われようだな……」
「あ、あはは……」
そんな会話を交わす一同の元へ、荷物を纏めたマシドラがやってくる。
「待たせてすまない」
そう言ったマシドラは振り返り村人達へと視線を向ける。
「村長……」
そんなマシドラを見つめる村人の目にはやはり不安や悲しみの色が浮かんでいる。
誰もがなんと声をかけていいのかわからないのか、場を静寂が支配する。
当然と言えば当然だ。村人達はマシドラに罪を背負わせてしまった事に負い目を感じている。彼らからすればなんと言って送り出せば良いのかわからないのだろう。
そんな時……
「村長さん!」
大人達が誰も口を開かない中で、先程の少年がハッキリとした力強い口調でそう呼び掛けた。
その言葉にマシドラは目を丸くする。
「ぼく待ってるから! 村長さんがゴドジンに戻ってくるの! 村長さんがいない間も村長さんとの約束は破らないから! だから絶対帰ってきてね!」
瞳に涙を溜めながらも、少年はマシドラに笑顔を向けて告げる。
「村長さん! いってらっしゃい!」
家族としていつか帰ってくる事を信じて彼を送り出す言葉を……
いつか「おかえり」と彼に伝える為に……
そんな少年に影響され大人達も口々に同じ言葉を告げていく。
その言葉を受けたマシドラは柔らかい笑みを浮かべ、しっかりと返答した。
「あぁ……いってきます」
いつか必ずこの場所に帰ってくる事を胸に誓い。いつか彼らに「ただいま」とその口で伝える為に……
「家族か……」
そんなマシドラをザビーダは何かを懐かしむ様に見つめている。その彼の様子が気になったのか、晴人が問いかける。
「どうかしたのか?」
「いや……ちょいと昔を思い出しただけさ」
「……そっか」
憂いを帯びたザビーダの言葉に晴人は何かを察したのか、それ以上何も聞く事は無かった。
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「んん〜〜!! とうっちゃく!!」
ゴドジンを出発して二日後、一同はバイロブクリフ崖道を降り凱旋草海へと戻ってきた。
復調したとは言え高齢のマシドラの体調に気を使い、フォーシアを運んだ時の様に晴人が魔法を駆使しながらに加え、休憩を多めに取りながらの帰り道だった為に、行きよりも時間が掛かってしまった。ロゼは険しい崖道の終わりを喜ぶ様に両手を天に突き上げ身体を伸ばす。
「マシドラ様、体調は大丈夫ですか?」
「あぁ、休憩も多く取って貰ったからね。特に不調は感じないよ」
体調を尋ねるアリーシャに対してマシドラは小さく笑いながら返答する。
「あぁ、風が心地いい〜」
「崖道は山間部だから風が強すぎるからね」
そんな事を話し合うロゼとミクリオだが……
「気分爽快ですわね! 草海だけに!」
『………………………』
「……ククッ」
直後に放たれたライラの発言に一同が1人を除き固まる。
「えぇっと……草海だけに!」
「いや、聞こえてなかった訳じゃないからね!? リアクションに困ってるんだからね!? ていうかデゼルもしかして今笑った!? あんたこういうギャグ好きなの!?」
一瞬怯むも再び同じ発言を繰り返すライラにツッコミを入れるロゼ。
「えぇっと……ライラは急にどうしたんだ?」
「あぁ、ハルトはライラのアレは見た事がないんだったね……」
「なんというかライラ様はその……冗談を言うのが好きなんだが……少し冗談が古典て……ではなくて、古……でもなくて……えぇっと」
「要はセンス古めのオヤジギャグ好きなのよ」
「え、エドナ様!? 」
「ガーン!? せ、センスが古い……」
「ら、ライラ様! 私はその、個性的で良いと思いますよ!?」
なんとかライラ本人に配慮した言い方で困惑する晴人に伝えようとするアリーシャだが、そんな事は知ったこっちゃ無いと言わんばかりにエドナが直球な物言いをぶち込んでくる。
その言葉にショックを受け項垂れるライラに対してフォローしようと慌てるアリーシャ。
「あぁ、成る程……ザビーダに続き意外な一面だ」
そんな光景を見ながら「輪島のおっちゃんと気が合いそうだな」と、晴人は魔宝石から指輪を作り出す職人であり同時に恩人でもある存在を思い出しながら心の中で呟く。
だが、よくよく考えるとそういう一面を見せてくれるというのはライラが自分への警戒を少しは解いてくれたのだと思えば悪い気はしないかと晴人は思った。
「あー……けどまだペンドラゴは遠いな。スレイ達を追う時はバイクを飛ばしてきたからすぐだったけど、この人数じゃ歩いて行くしか無いし」
ライラのフォローに四苦八苦するアリーシャに助け舟を出しながら、晴人は話題を切り替えようとする。
その言葉を聞いたロゼは得意げにニヤリと笑った。
「ふふ〜ん♪ 心配無用! こんな事もあろうかと既に手は打ってあるんだよね♪」
「え? 」
「ちょうどドンピシャで来てくれたみたいだね。いや〜流石あたし!」
そう言ってロゼが見つめる方向に一同が視線を向けると、そこには数頭の馬に引かれた荷馬車が此方に近づいてくるのが見えた。
馬車はロゼ達の近くに止まると、馬を操っていた髪を後ろで1つに束ねた男性と荷台に乗っていた茶色のベストに赤いスカーフを着た背の高い男が降りてくる。
そんな2人にロゼは笑顔で声をかける
「『エギーユ』! 『ロッシュ』! お迎えご苦労様!」
そんな彼女に男性2人は苦笑する。
「あのなロゼ……俺たちは商人であって送迎が仕事じゃないんだぞ」
「今回は勘弁してって! 手紙に書いておいたでしょ? 教皇様に何かあったら大変だから頼んだんだからさ!」
長身の男性『エギーユ』に呆れられた様に言われたロゼは唇を尖らせながら不満気に反論する。
「お前はいつも話が急なんだ……『教皇様をペンドラゴに連れて行くから迎えヨロシク!』なんて手紙をいきなり送られてきた方の身にもなれ……」
会話を交わす2人。それを見て晴人は隣にいるアリーシャに静かに問いかける。
「なぁ、誰だあの2人?」
「詳しくは知らないが『セキレイの羽』のメンバーだった筈だ。何度かロゼと一緒にいるところを見た事がある」
そんな会話を交わす2人にロゼが気がつく。
「あっとゴメンゴメン! 晴人達は知らないよね。この2人は『エギーユ』と『ロッシュ』。セキレイの羽のメンバーでエギーユはギルドのNo.2! ロッシュはエギーユの補佐が仕事なんだ!」
そう言って晴人達に2人を紹介するロゼ。
「まさか本当にアリーシャ姫がローランスに来ているとは……」
アリーシャを見たエギーユは驚いた様子を見せる。
そんな彼に対してアリーシャは一礼すると申し訳なさそうに口を開く。
「こちらの事情に巻き込んでしまっていたのなら申し訳ない。ですが、どうか力を貸して頂きたい」
そう言ったアリーシャを見てエギーユは目を丸くする。
「ハハッ! ロゼとの話は冗談みたいなものです。あまり気にしないで下さい」
小さく笑い気さくに返すエギーユ。
「えー……なにそれ。あたしと扱い違くない?」
「そりゃそうだ。細かい仕事は俺達に丸投げするリーダーとは扱いも違ってくるさ」
「ふっ……違いない」
「ちょっ!? 何さ2人して!? いいでしょ別に! リーダーってのはどっしり構えて最後の決断をするのが仕事なんだから!!」
そう言ってどこか楽しげに会話を交わす3人。どうやら気楽に冗談を言い合える程、セキレイの羽のメンバーは仲が良いらしい。
「けど、よく僕たちが戻ってくるタイミングがわかったね。どうやって呼び出したんだ?」
そんな中、あまりにもタイミングのいい2人の登場に疑問を持ったミクリオが問いかける。
「あぁ、その事? 実はね、我らがセキレイの羽には秘密兵器があるんだ」
「秘密兵器?」
首を傾げる一同。その時突如として空から一羽の鳥が舞い降りロゼの肩に止まる。
「この子が我らセキレイの羽の連絡手段の隠し玉」
それを見てアリーシャが口を開く。
「伝書鳥? だが伝書鳥は鳥の帰巣本能を利用したものだろう? そもそもゴドジンに行く時にロゼは鳥を連れてはいなかったと思うが?」
そう疑問を口にするアリーシャに、ロゼはドヤ顔を浮かべると楽しそうに説明を始めようとし……
「ふふ〜ん♪ 実はこの子は……」
「その鳥の名は『シルフモドキ』。伝書鳥は本来鳥の帰巣本能を利用し決まった場所へ片道のみ使用可能なものだが、シルフモドキは人間の発する波長を覚える習性があり、それにより場所ではなく波長を覚えさせた個別の人間を対象に送る事が可能だ。昔は北の島国にのみ生息していたらしいがこの大陸では希少な鳥だ。珍味として焼き鳥にして食べられる事も_____ 」
そんなロゼを遮り突如デゼルが物凄い勢いで解説を始めた。
「話を遮んなぁぁぁぁぁあ!? なんなの!? 人の台詞奪って何ノリノリで解説始めてんの!? というか焼き鳥とか物騒な事言うな! この子はウチの優秀なメンバーなんだけど!?」
「……別にノリノリじゃ」
「嘘こけ! あんた料理と動物絡みになると突然饒舌になるじゃん! ヴァーグラン森林の時も木の切り株がどうだのカブト虫がどうだのと!」
「……カブト虫じゃない。ヴァーグランオオクワガタだ」
「カブト虫でもクワガタでもどっちでもいいわ! 似たようなもんじゃん!」
「全然違う……いいか? カブト虫というのは_____ 」
「そこの違いは今どうでもいい!」
突如として漫才の様なやり取りを始める2人。セキレイの羽の2人とマシドラは天族が見えていない為、ポカンとした表情でロゼを見つめている。
「意外な一面パート3だな……」
「ははは……ロゼが言っていたのはこう言う事だったのか」
乾いた笑いを零す晴人とアリーシャ。そこにエギーユから声がかかる。
「ロゼが何を言い合っているのかはわからんが埒が明かないからな。導師達は荷台に乗ってくれ。いつまでもこうしている訳にはいかないだろう?」
「ありがとうエギーユさん。村長さん乗って下さい」
「あぁ、済まない」
スレイは礼を言い、マシドラが荷台に登るのを手伝う。
【コネクト! プリーズ!】
一方の晴人は魔法陣から愛車のマシンウィンガーを取り出す。
「俺はこっちに乗っていくよ。教皇様の体調の事もあるし到着まで休み易い様にスペースはあった方がいいだろ?」
商人であるセキレイの羽の馬車の荷台には確かに人が何人も乗れるだけのスペースはあるが、晴人は教皇に気を使い、そう言ってバイクに跨る。
そんな彼にスレイが瞳を輝かせて話しかける。
「うわぁ! これってあの時の乗り物だよな!オレ、これが気になってたんだよ!」
「ヘルダルフと戦った時にハルトが乗っていた乗り物だね。見たことが無い形状だとは思っていたけど」
「ハルト! 今度落ち着いた時でいいんだけど、オレこれに乗ってみたい!」
「バイクに興味あるのか? まぁ、こっちなら無免許とか関係ないし時間ができたら乗り方を教えてもいいけどさ」
「本当!? やった!」
喜ぶスレイ。そんな彼に便乗しザビーダも話に乗る。
「お、いいね。実は俺もこいつを走らせてみたかったんだよ」
「ザビーダも?」
「そりゃあ男ならこう言うのは見てるだけじゃなくて自分で動かしてみたいもんだろ?」
「まぁ確かにそれはわかる気がするが」
そう言ってザビーダに同意するミクリオだが……
「あー、でも『ミク坊』にはなぁ……停まった時に足が地面にしっかりとつくのかね?」
「僕はそこまでチビじゃない!! というか『ミク坊』ってなんだ!?」
「お前さんの渾名」
「ぐ……『ミボ』に続いて……」
「なんだよエドナちゃんより短縮してないぞ?」
「……そういう問題じゃない」
ぎゃあぎゃあと言い合うザビーダ達、その一方で黙っているデゼルも興味があるのか無言でマシンウィンガーに近づいて仁王立ちしており、その威圧感に晴人が若干引いていたりする。
それを見つめる女性陣は少しばかり呆れたような表情を浮かべていた。
「はぁ……男って好きよね、ああいうの」
「ま、まぁ男の方には男の方の世界がありますし」
ジト目で見つめるエドナに、ライラはそれを困りながらもフォローしようとする。
「そう? あたしは興味あるけど?」
「ロゼが? 意外だな」
「うん! だってあの乗り物って馬車よりずっと速いんでしょ? 特別料金の速達販売とかに使えそうじゃん!」
「あ、あはは……ロゼはやはり商魂逞しいな」
目を輝かせながら即答するロゼに対してアリーシャは苦笑を浮かべる。
「おーい! よくわからんが乗るなら早く乗ってくれないか!」
そんな一同にエギーユから声がかかる。
「あ! ごめんなさい!」
そんなエギーユにスレイは謝罪し、一同は荷台へと向かう。
「よっと! 特等席頂きってな!」
ザビーダは荷台の天井である幌に飛び乗り昼寝でもするかの様に寝転がる。
「ちっ……」
それに少し遅れたデゼルは舌打ちを零しながら仕方ないという様に荷台へと乗り込み、一同もそれに続くが……
「あれ? アリーシャは?」
何故かアリーシャがいない事に気がついたロゼが荷台から外を見ると……
「あー……アリーシャ?」
「ん? どうかしたのかハルト?」
1人だけ荷台ではなくマシンウィンガーの後ろに跨り、晴人に掴まるアリーシャの姿がそこにあった。
晴人は若干、戸惑う様にアリーシャに声をかける。
だが、当のアリーシャはそんな晴人の反応にキョトンとした表情で首を傾げていた。
「えーっと……今回は馬車があるんだから無理にバイクに二人乗りしなくてもいいんだけど?」
その言葉を受けアリーシャは少しばかり間を空け……
「え…………あ……!」
彼女としてはその行為にこれと言って他意は無かった。
アリーシャにとって今回の旅は移動=二人乗りでのバイク移動、という認識が無意識に刷り込まれていた結果、いつもの様に自然と定位置の晴人の後ろに乗ったというのが正しい。
だが冷静になって考えてみよう。
二人乗りする必要が無いこの状況で、それでも当然の様に晴人の後ろに乗ったアリーシャが側から見たらどの様に見えるのかというと……
「へぇ〜、成る程成る程……」
「ほぉ〜、意外に積極的だねぇ」
「まぁまぁ♪ 」
ニヤニヤと面白いものを見た様な表情でアリーシャを見るザビーダとロゼ。瞳を輝かせて楽しそうにアリーシャを見つめるライラの姿がそこにあった。
それに気づいたアリーシャは、今の自分の行動がえらいこっぱずかしい事を認識し……
「ち、違うんです! コレは____ 」
「あーハイハイ、お邪魔いたしましたぁ。ごゆっくりぃ〜」
「ザビーダ様!?」
「殿方との相乗り……素敵ですね♪」
「ライラ様!?」
「うっし、そんじゃあ後は若いお二人に任せてしゅっぱぁ〜つ!」
「ちょ、ロゼ!?」
弁解の暇なくロゼの言葉に馬車は出発してしまう。
「うぅ〜〜〜〜!?」
後に残されたのは、なんとも言えないこの状況に頰を染め言葉にならない声を漏らしながら項垂れるアリーシャと「どうしたもんか」と戸惑う晴人だった。
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「待っていた。よくぞ戻ってくれた導師スレイ、アリーシャ姫」
数日後、一同は無事ペンドラゴへと帰還し白皇騎士団の手引きで騎士団塔へと招かれていた。
「セルゲイ……久しぶりだな」
「教皇様! よくぞご無事で!」
マシドラとの再会を果たしたセルゲイは姿勢を正しそう告げるが……
「その様な言葉遣いは必要無い……私は教皇としてこの場に戻った訳では無いのだ」
「……? それはどういう意味でしょうか?」
「セルゲイ殿、実は_____ 」
困惑するセルゲイにアリーシャは事の経緯を説明していく。
「都で流行っていたエリクシールを教皇様が……」
一同がゴドジンで起きた出来事を説明するとセルゲイ達は困惑した表情で言葉を零した。
「すまないセルゲイ……私はお前達の期待を裏切ってしまった」
そう言ってマシドラは騎士団の面々に向けて頭を下げ謝罪する。
「教皇様!? どうかよしてください! その様な事をせずとも我等は貴方を糾弾するつもりなど……」
その行動にセルゲイを初めとする騎士団員達は驚きながらもそれを止めようとする。
「いや、言わせてくれ。全てはお前達の気持ちを……そして自分を信じる事の出来なかった私の弱さが引き起こした事態だ……本当に済まない」
そう言ってもう一度深々と頭を下げたマシドラに、セルゲイは柔らかい口調で声をかける。
「謝らねばならぬのは我々も同じです。貴方ならば国を何とかしてくれる。その考えこそが貴方を追い詰めてしまった。国など1人で背負える物では無いというのに……」
糾弾を覚悟していたマシドラは、その言葉に驚いた様に顔を上げる。そんな彼にセルゲイはなおも続ける。
「貴方の願いは承知しました。手紙に書いた通り、我ら白皇騎士団はゴドジンの件、貴方の力になれる様に尽力しましょう。ですから貴方も1人の人間としてどうか幸せになってください」
セルゲイがそう言ったと同時に、彼の背後に整列した騎士団員達はマシドラに向け無言で敬礼する。
その光景にマシドラは涙を浮かべながら小さく言葉を零す。
「ありがとう……その言葉だけで私は救われたよ」
言葉に感謝を込めながら、互いの手を取るマシドラとセルゲイ。
その光景を見て、アリーシャは隣に立つ晴人に顔を向け、マシドラが報われた事への喜びを伝える様に笑顔を浮かべる。
それを受けた晴人もまた同意する様に優しく微笑み返した。
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さて、これにて教皇の件はひと段落した。だが肝心の目的は達成されていない。
ペンドラゴの雨を止める事と、幼帝に謁見し憑魔の危険性を報せ戦争を止めるのがアリーシャ達の目的だ。
アリーシャ達は以前、白皇騎士団と別れた後に枢機卿が率いた憑魔達に襲われた事、ペンドラゴに降り続ける雨が枢機卿の術によるものだと言うことをセルゲイへと伝える。
「なんとその様な……国をまとめる為にとはいえ、枢機卿自らが民を苦しめるなどと……」
伝えられた事実にセルゲイは苦い顔をする。民を守る騎士としてやはり枢機卿のやり方に思うところがあるのだろう。
「現状だと幼帝との謁見は難しいかな?」
そう問いかけるロゼにセルゲイとマシドラは申し訳無さそうに頷く。
「あぁ、済まないがそういう事になってしまうだろう」
「済まない。本来なら私が教皇として力添えすべきだったのだろうが」
「そんな事無いです。あまり自分を責めないでください」
「同感だ。アンタにはアンタの人生がある。そのアンタが選んだ事なら俺たちは尊重するさ」
そう言って微笑むスレイと晴人に、セルゲイとマシドラは申し訳無さそうにしながらも感謝を告げ微笑み返した。
「でも、そうなると手荒いやり方になるけどやっぱり枢機卿を浄化して力を失わせるしかないのかな?」
そう言ったロゼにアリーシャが口を開く。
「私は……私はできるのならもう一度、枢機卿を説得したいと思います」
その言葉に一同の視線がアリーシャへと向けられる。
「確かに民を苦しめる枢機卿のやり方は認められません。ですが、彼女が国を救おうとしているという言葉に嘘は無い。以前、実際に言葉を交えた時、私はそう感じました」
自身が国を背負うと言った枢機卿の鬼気迫る表情を思い出しながら、アリーシャは言葉を続ける。
「例え憑魔の力を振るっていたとしても、枢機卿の国を想う気持ちは私となんら変わりません。やり方が間違っていたとしても同じ願いを抱えている枢機卿となら、刃を交えずとも分かり合える可能性を私は信じてみたい」
大切なものは、『力が何か』ではなく『どう力を振るうのか』だ。
彼女に希望を与えてくれた青年がそうした様に……
「わかった! やってみよう!」
その言葉をスレイは頷いて肯定する。
「!! いいのかスレイ?」
「うん! 人間社会に関してはオレはまだまだ勉強不足だけど、アリーシャがそう言うのならオレも信じてみたい」
「ま! いいんじゃない? それで戦わずに済むのならそれに越した事は無いしね。 ……けど、もしもの時は迷わないでよ?」
「ありがとうロゼ。わかっている、もしもの時は迷わず戦うさ」
そう言ってアリーシャは事態を見守る天族達へ視線を向ける。
ザビーダ達も意義を唱える事はせず、アリーシャの意見への反対は無い様だ。
「決まりだな。しかし、説得か……実は枢機卿に関して少し気になってる事があるんだけど、いいか?」
「気になる事?」
晴人の言葉に一同が注目する。
「フォートンは何で憑魔になったんだ?」
その言葉に一同が困惑する。
「え、そりゃ穢れが溜まって……」
「それが気になるんだ。穢れっていうのは純粋な願い、無償の奉仕の精神での行いでは生まれないんだよな?」
「あっ、そういえば……」
村を救う為に偽エリクシールを売り金を稼いだマシドラは、犯罪という手段を選びながらその純粋な願い故に穢れを生み出す事は無かった。
同じ理屈で行けば、純粋な願いで国を救おうとしている枢機卿が穢れを発して憑魔になるのはおかしいのである。
「えーっと、それならハルトは枢機卿が国を救いたいって言ってるのは嘘で、何か別の願いがあると思ってるの?」
そう問いかけるスレイに晴人は首を横に振り否定する。
「いや、枢機卿が国を救おうとしていると思うのは俺もアリーシャに同意見だ。それに少なくとも富や名声欲しさにやっているようにも見えなかった」
「んー? じゃあなんで枢機卿は憑魔になっちゃったんだろう?」
「ザビーダが言うには、少なくともこの街にはすこし前までムルジムっていう加護天族が加護を与えていたって話だ。そう簡単に憑魔になるとも考え辛い」
「ここは五大神『マオテラス』への信仰が存在する天族信仰の総本山だから、他の村に比べてもそう簡単に加護が失われるとは考え辛いと思うのだが……」
「じゃあやっぱり枢機卿の心に憑魔になっちゃうくらい強い負の感情があるって事だよね? 国を救いたいって人がなんでそんな……」
「あぁ、だからそれが引っかかってるんだ。その原因がわかればフォートンの説得も上手くいくかもしれないと思ったんだけど……なぁ村長さん、同じ教会の関係者として何か知らないか?」
そう問いかける晴人に、マシドラは顎に手を添え考え込む様な表情を浮かべた。
「うぅむ……直接的な原因はわからないが……可能性があるとすれば彼女の境遇だろうか」
「境遇? フォートンの?」
「あぁ、元々彼女……いや、『彼女達』は修道女になるべくグレイブガント盆地にある『フォートン村』から来た子供達だった」
その言葉に晴人が反応する。
「グレイブガント盆地の? ……そういえば前に戦場で空を飛んだ時にチラッと村みたいなものが見えたっけか……ん? ちょっとまってくれ……今、『彼女達』って言った?」
そう問いかける晴人にマシドラは静かに頷く。
「あぁ、長女の『エニド・フォートン』次女の『ロディーヌ・フォートン』そして現在枢機卿の座についた彼女が三女の『リュネット・フォートン』だ」
「えっ? 3人姉妹で修道女になったの?」
「3人がこの街に来た『理由』としてはそうだ。だが、実際は……」
表情を暗くするマシドラ。それを見てアリーシャは彼が何を言いたいのかを察する。
「村の口減らし……ですか?」
その言葉にマシドラはゆっくりと頷く。
「その通りだ。彼女達が住んでいた『フォートン村』は極貧の村でね。口減らしの為、三人は半強制的に村を追い出されたのだ」
その言葉に一同の表情は険しくなる。
「身勝手よね……人間って……」
嫌悪感を滲ませながらそう呟くエドナだが、一同はそれに何も言う事が出来ない。
「だが、結果だけ見れば三人はそれで助かったとも言える」
「え? 何があったんですか?」
「20年前、三人がペンドラゴに送られてから暫くしてフォートン村は『眠り病』と呼ばれる病で滅びたのだ」
その言葉に一同の表情が驚きに変わる。
「『眠り病』? それは一体?」
「人々が突如、無気力になり夢を見ている様に何かを呟きながら眠りから目覚めなくなるという原因不明の奇病だ。当時ペンドラゴからも村に医者を派遣したが結局原因は突き止められず、村人達は死に至り村はそのまま廃村となってしまった」
「その様な病が……」
「偶然だが事なきを得た三人は教会の修道女としてそれぞれが立派に働いていた。三人はそれぞれ性格こそ違うが仲が良く、お互いを支え合いながら生きていた。フォートン三姉妹といえば当時の教会でもよく話題になっていたのを覚えている」
それを聞いたロゼは何かを思いついた様に指を鳴らす。
「閃いた! ならそのお姉さん達に枢機卿を説得してもらうってのはどうよ! 」
自信気にそう言い放ったロゼだがマシドラは小さく首を横に振る。
「それは無理だ」
「え? なんで?」
「長女のエニド・フォートン。彼女は明朗快活な性格で人当たりもよく好かれる娘だった。だが、司祭であったエリックと通じその身に不義の子を宿した事でエリックと共に教会を破門され、開拓村である『ホルサ』に送られたのだ。そして数年前、村は人間が石になる奇病により滅びている……」
マシドラから告げられたその言葉に、ロゼの顔から明るさが消える。
「次女のロディーヌ・フォートンは慈愛と奉仕の精神に満ち溢れた聖女と呼ばれ、大陸西部の『プリズナーバック湿原』の開拓計画に教会の信者を率いて参加し、自身の名がついたロディーヌ村を興したが、こちらも原因不明の『石の病』で村は滅んだ……」
「……その2人の安否は?」
「遺体は発見されていないが、状況からすれば生存は……」
「そうか、村長さん話してくれてありがとう」
晴人は険しい表情を浮かべつつも礼を述べる。
「枢機卿にその様な過去が……」
「まだ今の枢機卿との繋がりはわからないけど、少なくともその事件がフォートンに大きな影響を与えているのは間違いなさそうだね……」
そう話合う一同だが……
「た、大変です!」
突如として駆け込んできた1人の騎士が場の空気を破る。
「なにがあった!」
団長として問うセルゲイに、騎士はその手に持った手紙を見せる。
「教会の使者からこれが!」
「これは……なっ!?」
手紙に目を通したセルゲイの口から驚愕する声が発せられる。
「なに!? どうしたの!?」
驚いたロゼの問いに、セルゲイはスレイ達へと顔を向け震える声で言葉を告げる。
「枢機卿からの伝言だ……『導師一同、そしてアリーシャ姫と魔法使いに伝えろ。今晩、教会神殿へ来い。さもなくば捕らえた騎士団員の命は無いと思え』……くっ! なんという事を!!」
セルゲイの悲痛な声が部屋に響き渡る。
「俺たちが戻ってきてたのはバレバレって訳か……」
「呼び出しとは随分と余裕だね」
「だが人質がいる以上行かないわけにはいかない」
「だな。いいよなみんな?」
そう問いかけるスレイに天族の面々は頷く。
「待て! 明らかに罠だ。それに君たちを行かせるなど……」
そう言い、一同を止めようとするセルゲイ。だが、そんな彼に晴人は小さく笑いながら返答する。
「招待してもらって無視はいただけないだろ? 心配すんなって。もしもの時は戦うしか無いけど、こっちもできる限り戦わずに済む様に説得してみるさ。人質の中には枢機卿を探っていたアンタの弟だっているんだろ?」
「ッ!!」
そんな軽口を叩く晴人だが、セルゲイに向けたその瞳は微塵も笑っておらず、強い意志が込められていた。
「大丈夫さ、誰も死なせやしない。誰もな……!」
セルゲイの肩に手を乗せ、決意の言葉を発した晴人は騎士達へ背を向け、スレイ達と共に騎士団塔を出て、雨の降りしきる暗闇の中へと一歩踏み出した。
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薄暗い広間。その中に立つ白い修道服を纏った女性は、部屋へと通じる扉を一瞬たりとも目をそらす事なく見つめ続けていた。
「もうすぐ……もうすぐよ……」
女性の表情は長年の望みが叶うとでも言うように喜びに満ちていた。
「導師、姫、魔法使い。その力を全て私の手中に収めれば……ローランスはハイランドを飲み込み災厄の時代を越える事ができる」
女性……リュネット・フォートンは静かに笑う。
「待っていてください姉さん……約束は必ず果たします……だから、もう一度……」
狂気を宿した笑顔。だがその瞳に僅かな哀しみの色を浮かべ、彼女は獲物が現れる時を今か今かと待ちわびていた。
後書き
【悲報】
フジ、デンジャラスゾンビのかっこよさに一目惚れした結果一式大人買いし意気揚々とノールック変身を真似したら薬指がゲキトツクリティカルストライクする
とまぁしょうもない話はさて置き。鈍足更新にも程がある今作ですが完結目指して頑張りますので、今年も宜しければひとっ走りお付き合いください
あと、「しょうもない事で怪我してんなw」と思った人。社長とパラドがお年玉でガシャットくれるってさ(棒)