Zestiria×Wizard 〜瞳にうつる希望〜   作:フジ

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どうも、こんな小説を書いているせいか、先日グミ繋がりで、バルバトスが仮面ライダーグミのCMでフルスロットルする悪夢を見たフジです

前回、の更新で日刊ランキング5位&お気に入り400件突破! テンションフォルテッシモ! 読者の皆様ありがとうございます

テイルズと仮面ライダーのクロスとかいう書いてる奴自身が『これ両方の客層的に需要あんの?』とか思って書いた作品が楽しんでもらえてるなら幸いです。

では、最新話をどうぞ


10話 決意と会議と再出発 前篇

【インフィニティー! プリーズ!】

 

 

鳴り響いたベルトの音声と共にグレイブガント盆地全域は閃光に包み込まれる。

 

 

「うっ! こ、これは!?」

 

ウィザードから放たれた凄まじい閃光にアリーシャは思わず、手で目を庇う。視界を奪う強烈な光。アリーシャはその先に立つウィザードの姿を一瞬だけ捉えた。

 

 

「(あの姿は?)」

 

先ほどまでの戦いで見た、どの属性の姿にも当てはまらないウィザードがそこにはいた。しかしウィザードから放たれるその光にアリーシャは再びその姿を見失う。

 

そして、暫くして閃光が収まった時、アリーシャは眼前に広がる光景に思わず愕然とした。

 

 

「兵士達が全て浄化されている?」

 

 

数百体はいた憑魔と化して迫ってきていた筈の兵士達は全て浄化され倒れていたからだ。

 

「凄い……本当に何とかしてしまった」

 

 

一人でも多くの人を救うと彼は言った。だが、まさか、本当に全員を救ってしまうとはアリーシャも思っていなかった。

 

驚きと安堵が入り混じった心境のアリーシャ。

だが……。

 

 

 

どさっ……

 

 

彼女の背後で何かが倒れたような音がする。

 

 

その音に釣られて、振り向いたアリーシャの視界には……

 

 

「ハ、ハルト!?」

 

 

変身を解除し倒れ伏した操真晴人の姿があった。

 

「大丈夫かハルト!! 返事をしてくれ!!」

 

駆け寄り晴人に声をかけるアリーシャ。だが、倒れた晴人がその声に応えることは無い。

 

そして、意識を失い投げ出された彼の左手にはめられた指輪からは、完全に輝きが失われていた……

 

 

 

__________________________________

 

 

「さっき、来たばかりなのに、また此処かよ……」

 

 

先程、訪れた暗闇の世界で操真晴人は再び目を覚ました。

 

『そう文句を言うな。必要無いならわざわざ呼び出しはしない』

 

先程と同様、姿を見せないドラゴンの声が暗闇に響く。

 

「……って、それよりも今はアリーシャや戦場の兵士達が!」

 

 

意識を失う前の状況を思い出し、アリーシャや憑魔となった者達の安否を心配する晴人。

 

だが、そんな晴人にドラゴンは慌てず答える。

 

『それならば、問題は無い。貴様のお得意の無茶と強がりで、あの娘達は救えている』

 

アリーシャ達が無事だと聞き、その言葉に晴人は安堵の息を漏らす。

 

 

「ふぃ〜、そっか……良かった」

 

心の底から安心したと言うように晴人は言葉を零す。そこには普段の余裕でキザったらしい態度をとる魔法使いではなく、人の命を救えた事に心から安堵する普通の青年の姿があった。

 

 

『フン……』

 

そんな彼の反応を見て何処か呆れたように、息を零すドラゴンは、彼を呼び出した理由の本題を話し始める。

 

『それで? 貴様はこれからどうするつもりだ?』

 

「これからってのは?」

 

『導師を戦争の道具にさせないという、あの小娘の願いは、取り敢えず果たしただろう。それを踏まえて、お前はこれからどうするつもりなのかと聞いている』

 

そう晴人へ問いかけるドラゴンの言葉に晴人は迷い無く返答する。

 

 

「そんなの決まってるじゃん。あんな光景見せられて俺が指を咥えて何もしない訳ないだろ? 戦争を止める……そして、あのヘルダルフって奴を浄化する」

 

 

嘗て見た絶望の記憶を思い出させる穢れに満ちた戦場。その光景を見て自身の内に芽生えた決意を晴人はドラゴンへと告げる。

 

 

『お前と何の縁も所縁も無いこの世界の為に戦うと?』

 

「当然だろ? どんな世界かなんて関係無い、助けを求める声があるのなら必ず駆けつける。それが……」

 

影ながら人々の自由の為に戦う道を選んだ『戦士の名』を継いだ自分の生き方なのだから……

 

 

『フン、だが現状のお前の力ではそれが厳しいことも理解しているな?』

 

 

「……あぁ、今回は何とか奴を退けることができたけど、あれはどちらかと言えば見逃してもらったようなもんだ」

 

 

ヘルダルフの領域の力を逆用し召喚したドラゴンとの共闘により一矢報いたとはいえ、ヘルダルフからは余裕が感じられた。恐らく奴はまだ何か奥の手を隠しているのだろうと晴人は考えている。そして、その上で自分やスレイを見逃したことにも恐らくは理由がある筈だ。

 

 

『そうだ。ならば奴が仕掛けてくるよりも早く、失った力を取り戻す必要がある』

 

「けど『インフィニティー』の指輪は……」

 

『あぁ、力を完全に失った。正直な所、あの指輪に関しては、俺もどうすればいいのかわからん……』

 

「そうなのか?」

 

『あの指輪が他の指輪と違う事はお前が一番わかっているだろう? 何せ、お前が生み出したお前だけの魔法なのだからな』

 

その言葉に晴人はインフィニティーの指輪を手に入れた時の事を思い出し納得する。確かに『アレ』は今思い返しても、奇跡のような出来事だった思う。

 

 

「ん? ってことは他の4つの指輪に関しちゃ思い当たる節があるのか?」

 

 

ドラゴンの力を引き出す為の四属性の指輪の力を蘇らせる手段があるのかと晴人はドラゴンに問いかける。

 

『簡単な話ではないぞ……その4つの指輪の力を取り戻すには、散らばった魔宝石の力と俺の力を見つけ出す必要があるのだからな』

 

「ん? 『魔宝石の力』と『お前の力』? どういう意味だ? 」

 

 

ドラゴンの言葉の意味が理解できず晴人は首を傾げる。

 

『先程、お前を此処に呼んだ時は、魔宝石の力が失われたといったな? アレは正確には、魔宝石の力ごと俺の力も奪われたというのが正しい』

 

「……続けてくれ」

 

『この世界にお前が跳ばされた時、4つの指輪に込められた力がこの大陸にある『何か』と共鳴し吸い寄せられる形で指輪から引き抜かれ各地に散らばった。俺の力も巻き添えにしてな』

 

「お前の力を引き出す為の指輪だったからお前の力まで巻き添えを食らって奪われたってことか……だから、さっきからお前の姿が見えないのか?」

 

『忌々しいことにな……力の大半を持って行かれた影響で、この世界に跳ばされてから、ヘルダルフの穢れの領域で力を一時的に取り戻すまで、お前と対話できなかったのもそれが原因だ』

 

 

ドラゴンは苦々しげな口調で、力を失った事を説明する。

 

「穢れの領域で一時的に力を取り戻したってことは、憑魔の領域の中ならお前は、さっきみたいに全力で戦えるのか?」

 

現実世界でのドラゴンの召喚を可能にしたヘルダルフの領域の事を思い返し、晴人はそれが他の憑魔の領域でも可能なのか問う。

だがドラゴンはその言葉を否定した。

 

『不可能だ。あれはあくまでヘルダルフの作り出す領域だからこそ可能だった。奴かそれに近いレベルの憑魔の強力な穢れの領域でなければ俺を召喚することはできんだろう』

 

「つまり最強クラスの憑魔が相手じゃなけりゃお前を現実には呼べないってことね……となると、やっぱり散らばったお前の力を探すのが、今は懸命そうだな」

 

『だが、それも難しいだろう』

 

「だよなぁ……この大陸の何処かなんてヒントも無しに簡単に見つかるもんじゃないし。もしかしたらスレイと一緒にいた天族のライラなら、共鳴した『何か』ってのに心当たりがあるかもしれないけど……」

 

生憎とスレイ一向とは先程別れてしまった事に加え、今後の合流も容易ではない。

 

「前途多難だなコリャ……」

 

『だが、諦めるつもりは無いのだろう?』

 

「当然」

 

ドラゴンの問いに即答する晴人。それを聞いたドラゴンは心底楽しそうに笑い声を漏らした。

 

『ククク……やはり、見ていて退屈しない奴だよお前は。だが、心しておけよ操真晴人、『穢れ』と『憑魔』の存在する『この世界』で『ファントム』である俺の力を取り戻すということが、どういうことなのかその意味を忘れるな』

 

重々しい声で意味深な警告をするドラゴン。だが、晴人の決意は変わらない。

 

「お前の言おうとしてることの意味は、何となくわかってるよ。けど、それでも俺のやる事は変わらない……覚悟の上さ、魔法使いとして戦うと決めた『あの日』から……」

 

『フッ……どうやら余計なお世話だったようだな。 ならば、そろそろ目覚めることだ。小娘がお前を待っているぞ』

 

「そうするよ……魔法使いがお姫様を待たせるなんて格好つかないしな」

 

 

そうして、晴人の意識が再び現実へと引き戻された。

 

 

 

__________________________________

 

 

目覚めた晴人の目に最初に飛び込んできたのは木造家屋の天井だった。

 

「ここは?」

 

晴人は上半身を起こして辺りを確認する。

 

「どこだここ?」

 

晴人のいる部屋は豪華さこそは無いもののそれなりの広さがありテーブルやベッドが備え付けられている。恐らくは宿泊施設の一室か何かだと思われた。

 

見慣れない光景に戸惑った晴人だが、そこにドアが開かれる音が響き、晴人は其方へと視線を向ける。そこには、この世界で初めて出会った少女がいた。

 

少女は目を覚ました晴人を見て一瞬、驚いたように目を見開き固まってしまう。

 

休憩中だったのだろうか、戦闘時にみにつけている黒水晶の装飾がなされた白銀の籠手と具足は今はつけておらず、その右手には晴人がつけた指輪が輝いていた。

 

「よぉ、おはようアリーシャ」

 

そんな彼女に晴人は、至って軽いノリで話しかける。

 

「ハルト! 目が醒めたんだな!」

 

晴人の無事を確認したアリーシャは笑顔を浮かべ、ベッドから上半身を起こした晴人に詰め寄る。

 

「ア、アリーシャ?」

 

そんな彼女の勢いに押され、晴人は困惑した声を漏らす。

 

「良かった! 3日も意識が戻らなくて心配していたんだ! 気分は悪くないだろうか? 体が痛んだりは……!」

 

余程、心配していたのだろう、ベッド上の晴人に近づき勢いよく問いかけるアリーシャ。

 

「い、いや大丈夫だけど……」

 

そんな彼女の勢いに晴人は思わずたじろぐ。

 

「けど? けどどうしたんだ? やはり調子がまだ悪いのか?!」

 

どんどん詰め寄るアリーシャ。彼女に他意は無いのだろうが、二人の距離はかなり近く、側から見ればベッド上の晴人にアリーシャが迫るというかなり際どい絵面である。

 

「とりあえず離れようかアリーシャ」

 

「え?」

 

晴人の言葉の意味がよくわからずキョトンとするアリーシャ。だが少しばかり遅かった。

 

 

「あー……お邪魔だったか? 二時間くらいしたらまた来るわ」

 

 

開けられたドアの外に立っていたルーカスは気まずそうな顔で扉をしめようとする。

 

その言葉で漸く、自分の状態を理解したアリーシャは一瞬で顔を真っ赤にするとハリケーンスタイルも凌ぐ勢いで後退する。

 

「ち、違います! こ、これはただ彼が大丈夫なのか心配だっただけで!」

 

「そうなのか? この三日間、殆ど付きっきりだったから俺はてっきり、そういう関係なのかと……」

 

「違います!」

 

弄るような口調のルーカスに顔を赤くしなが全力で否定するアリーシャ。どう見ても、からかわれているのだが、流石に不憫に思った晴人がルーカスへと声をかける。

 

「オイオイ、あまりウチの姫様をイジメないでくれよ」

 

その言葉にルーカスは悪戯がばれた子供のような表情を浮かべる。

 

「お? そりゃ悪かったな。しかし、魔法使い殿も勿体無い、折角、健気な女がつきっきりで看病してくれてたってのに、一向に目覚めなかったんだからな」

 

「ル、ルーカス殿!? 何を言って!?」

 

「なるほど、そりゃ確かに役得だったのに勿体無いな」

 

「ハ、ハルトもからかわないでくれ!」

 

悪ノリを始める二人に焦るアリーシャ。流石にからかい過ぎかと思った晴人は冗談も程々に、現状がどうなっているのかアリーシャ達に問いかける。

 

「悪い悪い……冗談だよ。それで、できればあれから何があったのか聞きたいんだけど?」

 

「あっ……そうだな。まず、君が倒れた後のことなんだが……」

 

晴人の問いかけに応え、アリーシャは今までの出来事を説明し始めた。

 

アリーシャの説明によるとドラゴンの言った通り憑魔達は浄化され兵士達は無事に救出されたとのことだ。

 

その後は、憑魔の存在を知ったランドンの協力もあり、ローランスとの交戦を控えるハイランド軍はグレイブガンド盆地の戦線を前進させた状態で警戒・防衛の状態を維持しているらしい。

 

紆余曲折はあったものの、戦場で指揮を執るランドンの強力を得られたのは、結果的には不幸中の幸いだったな晴人は思う。

 

そして、ランドンが率いる部隊の一部はアリーシャ達や負傷者を連れ一時的にグレイブガンド盆地に一番近い町であるマーリンドへと撤退しているとのことだ。

 

マーリンドの住人は既に退避しているため、宿『ウォンティガ』などの家屋を勝手に借りてしまうことになってはいるが、負傷者に安静にできる場所が必要な為、いた仕方ないだろう。

 

「なるほどね……サンキューな。大体の状況はわかったよ」

 

「構わないよ。それでハルト……起きて早々で申し訳ないんだが……」

 

「ん? なに?」

 

「今日の夜、ランドン師団長達ともう一度事態の整理と今後について話し合う事になっているんだ。師団長は関係者である君にも同席して欲しいと言っているんだが……」

 

当初のアリーシャの目的を果たしてくれた晴人をこれ以上、自分の都合に付き合わせるのは申し訳ないと思ったのだろう。アリーシャの表情は暗い。

 

だが、晴人は微笑むと気を悪くした様子を微塵も見せずに彼女の頼みを受け入れた。

 

「オイオイ……ここまで来て仲間外れは無しだぜアリーシャ。勿論、参加させてもらうさ」

 

その言葉にアリーシャの表情が花が咲いたように明るくなる。申し訳無さもある反面、晴人が協力してくれるのは彼女としても心強いのだろう。

 

「そんじゃ、取り敢えず話はここまでにしておくか。夜まで、時間もあるし、俺はメシを食ったら少し出歩いてくるよ」

 

「起きたばかりだろ? 大丈夫なのか?」

 

「3日も寝てたんだ、寧ろ体を動かしたいくらいだ」

 

そう言ってベッドから起き上がった晴人は出口に向けて歩き出した。

 

 

 

__________________________________

 

 

「凄いな、改めて異世界に来たと実感するな」

 

日が暮れかけ、夕暮れに照らされたマーリンドの広場でそこに佇む大樹を見ながら、元の世界と異なる街並みに晴人は率直な意見を漏らした。

 

「魔法使いの国や戦極時代に比べると典型的なファンタジーの世界って感じだよな」

 

マーリンドの大樹を見て戦極時代のGOSHINBOKUを思い出した晴人は、自分が行ったことのある異世界がかなり色物だったと感じる。

 

もっとも、先程まで町を散歩する中で出会ったマーリンドの守護天族ロハンと共にいた京言葉を使う謎の小さい生物も大概色物の様な気もしたが……。

 

「『ノルミン族』の『アタック』とか言ってたか? 不思議なのがいるもんだ」

 

 

そんな事を考えていると晴人の背後から声がかけられる。

 

「ハルト、ここにいたのか」

 

「アリーシャ? どうかしたのか?」

 

そこには宿にいるはずのアリーシャが立っていた。

 

「会議の前に少し君と話しておきたいと思ってね」

 

「俺と?」

 

「あぁ、まずは感謝を……君のお陰でスレイを救う事ができた。本当にありがとう」

 

夕日に照らされながら笑顔で感謝の言葉を口にするアリーシャ。出会った頃の憂い顔とは真逆のその表情に、晴人は改めて、彼女には笑顔の方が似合っていると思わされた。

 

「どういたしまして。……と言いたいとこだけど俺としてはまだ終わりにする訳にはいかないんだよな」

 

「え?」

 

その言葉が予想外だったのか、アリーシャは目を丸くする。

 

「さっき言ったろ? ここまで来て仲間外れは無しだってな。それにヘルダルフの奴のやった事を見て黙ってられるなら俺は魔法使いになっちゃいない」

 

「……ハルト」

 

真剣な眼差しでそう告げる晴人。普段の軽い調子は、なりを潜め、戦場で引き起こされた悲劇を繰り返させないという強い意志を秘めた晴人の雰囲気にアリーシャは息を飲む。

 

「だからさ、アリーシャさえ良ければ、まだ暫くは協力させて欲しいんだ。これでも魔法使いだ、一緒にいればそれなりには役に立つと思うぜ? 」

 

少しばかり軽い調子に戻して晴人はアリーシャへ今後の協力を願い出る。

 

「いいのか? まだ君を頼っても?」

 

「あぁ、それにアリーシャが憑魔を相手にしていくつもりなら、俺から定期的に魔力を供給する必要もある。俺は俺で、この大陸の事をよく知らないから、アリーシャと一緒の方が動き易い。ほら、お互い都合もいいだろ?」

 

「フフ……そうかもしれないな」

 

戯けた態度をとる晴人にアリーシャは小さく笑いを零す。

 

 

「で、どうする? それとも迷子の魔法使いは頼りないかな?」

 

その言葉をアリーシャは首を横に振り否定する。

 

「いや、そんな事はない。頼もしいよハルト」

 

それは晴人の提案を受け入れる言葉だった。

 

そして、そう言ったきり二人は何も言わず無言のまま暫く、大樹を見つめていた。

 

しかし、そんな沈黙を晴人が破った。

 

「……聞かないのか?」

 

「……え?」

 

「ドラゴンの事……気になってるんだろ?」

 

図星だったのか、その言葉にアリーシャは目を見開く。

 

「ま、あんなの呼び出したらそりゃ気になるよな……」

 

どう話したものかと晴人はガリガリと頭を掻く。

 

だが、アリーシャの返答は晴人の予想とは異なっていた。

 

 

「気にならないと言えば嘘になるよ。けど、今は話さなくても構わない」

 

「え?」

 

「君の過去に何があったのか私は全く知らない……けど、戦場であのドラゴンを見て君が『魔法使い』に至る経緯で何かがあったということは私にもわかった」 

 

ヘルダルフが語った晴人の中に潜む『絶望』。そして晴人が呼び出した『ドラゴン』。アリーシャはその二つが『魔法使い』に関係しているのだと思っている。

 

けど……

 

「軽々しく話せるようなことじゃないなら無理に聞くつもりはないよ。例え、君の過去を知らなくても君が私を救ってくれた恩人であることは変わらない」

 

だからこそ……

 

「ハルトがどんな過去を背負っていたとしても私は君を信じるよ。君は私の『最後の希望』だから……」

 

そう言って微笑んだアリーシャに晴人は一瞬だけ呆気に取られる。

 

彼としても、まさかドラゴンを見て質問攻めにされないとは思っていなかった。

 

「恩人に辛いことを問い詰めるような真似はしたくない。だから、もしハルトがあのドラゴンや魔法使いの事を話しても構わない日が来たらその時は君の口から真実を教えて欲しい……」

 

側から見れば怪物を操る様にしか見えなかったであろうウィザードの戦いを見てもアリーシャは晴人の心を案じ、彼を信じると断言した。

 

その言葉に晴人は純粋な笑みを零す。

 

「そっか……ありがとうな…アリーシャ」

 

様々な意味を込めて感謝の言葉を告げる晴人。そして、それっきり二人は再び黙りこんでしまう。

 

 

「……日も暮れてきたな。遅れたら師団長殿にどやされそうだし、そろそろ戻るか」

 

「そうだな。会議に遅れる訳にもいかない」

 

日が沈み辺りが暗闇に包まれ始めたのを見て晴人は宿に戻る事を提案しアリーシャもそれに同意して2人は宿へ向け歩き出す。

 

 

「改めて宜しくなアリーシャ」

 

「あぁ……宜しく頼むよハルト」

 

 

 

希望の魔法使いと夢を追うお姫様。

 

まるで異なる立場と道を歩んできた二人。

 

それでも、今二人は同じ目的の為に同じ道を歩み始める。

 

道はひとつではない、けれど……きっと何処かで繋がっている。

 

 

 




というわけでインフィニティー詐欺でした。期待した方にはごめんなさい(土下座)
まぁ、熱い展開で終盤で復活できるよう頑張るので多めにみてください。閃光の中でインフィニティーが何をしたのかは読者の想像に任せます(ディケイド並みのぶん投げ)

以下、先日テイフェスに言った友人との雑談ネタ

友「テイルズ、新作出るってさ」

フジ「良かったな。20回目の誕生日でシリーズ打ち切りとかいうタイムベントが必要になる展開じゃなくて」

友「消えちゃうよ。20回目の誕生日になったら、消えちゃうよ……」

フジ「や め ろ」

友「あと、2016年にゼスティリアアニメ化だってさ」

フジ「私聞いてない……」(所長並みの感想)

友「ぶっちゃけどうなると思う」

フジ「神改変しないと爆死すると思う」ウンメイノー

友「だよな!」(スレイさん並みの感想)




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