山田 真耶の場合
山田 真耶には2つの悩みがあった。
1つめは身長の割りに大きな胸の為に慢性的な肩こりであることだ。酷いときは頭痛までしてくる。
2つ目は生徒達に友達の様に見られる事だ。仲良くしてくれるのは嬉しいことだが教師をやっているからには頼れる教師として尊敬されたいとずっと思っていた。しかし、自分は童顔で性格も大人しい。それに要領も余り良くないと思う。尊敬される教師への道は遥か遠いと思う。だから生徒達から尊敬を集めている織斑先生に憧れていた。
しかし、最近生徒達の自分を見る目が変わって来ているのを感じる。全ての生徒というわけではないが自分を尊敬と畏れの混じった目で見る生徒が増えてきている。それと普段食べている物なども良く聞かれるようになった。理由は分からない。彼女達は私の事を
「メロン先生」と呼んでいる。なんでメロン?
とあるテストパイロットの場合
私は恵まれていると思う。IS学園を優秀な成績で卒業し公的な研究所にテストパイロットとして就職した。今の世の中の女性なら一度は憧れるサクセスストーリーだ。給料も良く休みも決まった数をとれるいい勤め先である。そんな勤め先で最近凄い事があった。
世界で2人目の男性IS操縦者である山田 太郎さんがうちの研究所の所属となったのだ。男性がISを操縦することに不満を持つ人もいるが私は気にならなかった。何度か顔を合わせたがいい人だった。研究所も羽振りが良くなったのか色々なメーカーのISスーツをどんどん支給してくれるようになった。かわいいものも多くて嬉しい。
この前も山田さんに
「そのISスーツ凄く似合っていますね」
と褒められた。私も特に気に入っていたデザインの物だったので凄く嬉しかった。主任に頼んで同じデザインの物を追加してもらった。
対暗部用暗部 備品係
拙い事になった。対山田 太郎用に特注した拘束衣が紛失したのだ。高い物なのに使用し始めた日に紛失とは・・・・。始末書程度で済めばいいが経理のアル中洗濯板が五月蝿く文句を言ってくるだろう。
とりあえず上司に報告しようとしていたら更衣室の方から楯無様が歩いてきた。良いタイミングである。事情を説明すると自分の方で何とかするとの事。天使や楯無様マジ天使。
楯無様が大きなトランクを持っていたので感謝も気持ちを込めて運んで置きましょうかと申し出たが大して重くないから大丈夫と断られた。遠慮深い人だ。
さて、心配事が無くなったので警備部のゴリラ女をシバキに行く準備を始める。そもそも拘束衣が紛失したのはあのゴリラ女のせいだ。あのゴリラは仕事が終わるとタクティカルベストやボディーアーマーとウチに返却する必要のある備品もまとめてテキトーに更衣室のロッカーに放り込んで帰ってしまうようなカスである。備品紛失の常連である。
今回はちゃんと更衣室に置いてある筈と言っていたが拘束衣は更衣室には無かった。「ちゃんと更衣室に置いてある筈」ってなんだよ。ありゃ毎回備品課に返せって言っといただろーがよ。ちゃんとって何だよ。
あんな目立つ物を何処に置き忘れてきたのか。自衛隊なら薬莢1つ紛失しただけで大騒ぎなのに!!
どうせ筋トレと男のバナナにしか興味のないゴリラ女に何を言っても無駄だろう。対山田 太郎用に特注された備品第2号であるスタンロッドを取り出しゴリラ女のいるオフィスに向かう。
着実に汚染が広がっている。