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第1章Prologue
今日、俺は高校の入試に行く。だが、希望する高校はただの高校じゃない。『武偵高』だ。
武偵高とは、武偵を養成する総合教育機関である。
そして武偵は、凶悪化する犯罪に対抗して近年新設された国家資格で、その資格を持ち武偵免許を持つ者は武装を許可され、逮捕権を有するなど、警察のソレに準ずる活動ができる。
ただし、警察と決定的に違うのは、武偵は金で雇われて動くことで、武偵法で許されている範囲ならどんな仕事でもこなす。簡単に言えば『便利屋』だ。
そんな武偵は、よく見ず知らずの人から恨みを買ったりする。その活動から偏見を受けることも少なくない。
さらに、俺が今日受けようとしている学科は強襲科(アサルト)だ。
生存率は97,1%、つまり、100人に3人くらいは死んでいる学科なのだ。それは訓練中の事故死、任務(クエスト)の最中での殉学など、さまざまだ。ゆえに強襲科は、『明日無き学科』と呼ばれている。
俺は危険な武偵という職業の中でも、最も危険なその学科を受けようとしている。
それには理由があるのだが、それはまた次の機会にするとしよう。
まずは、目の前の入試だ。3年前は不合格だったが、今の俺なら大丈夫だ。あの時とは、全てが決定的に違うのだから。