うずまきナギサ物語~姉の愛は世界を救う~ 作:レイリア@風雅
「あ~~クソ……ッ!!」
クレーターが出来てしまった地面を見つめ、やってられないとばかりに舌打ちをした。
周りにはうじゃうじゃとバケモノクラスの虫や動物が私を取り囲んでいる。
……噂には聞いてたが…………。
「しつこいっつーの!!」
苛立ちをぶつけるように迫ってきた虎を蹴り飛ばした。
私、うずまきナギサは今、ここ、死の森にて修行中です。
「ぶっとべぇえええええ!」
「ギシャァアアアア!?」
「よし、今日の夕飯ゲットだぜ」
+++++
なんやかんやでこの死の森でこっそりサバイバル生活を始めて一ヶ月。
アカデミーは影分身に行かせているのでなにも問題はない。
なによりこの一ヶ月で扱えるようになった術がかなり増えた。
それこそ下忍クラスから禁術クラスまで幅広く。
体術もかなり上達した。
そして今は術の効力維持の修行で、変化をしたまま二週間生活している。
「色々と上達したのはいいけど……」
じとり、と周りを睨むとその内の一匹の虎が媚びるようにすり寄ってくる。
初期の段階で襲いかかってくる生物をボコっては投げ、ボコっては投げを繰り返していたために、今ではすっかり私に刃向かおうとする動物がいなくなってしまった。
懐いてしまったものがいても、闘争心がなければなんのためにここでサバイバルしてるのか分からなくなってしまう。
「そろそろ潮時かなぁ」
ここで3ヶ月は修行できると思っていたのに誤算だった。
今日にでも一度自宅に戻るか。
頭の中でこれからのことを考えていると、こちらに向かってくる気配を感じ、咄嗟に身構える。
初めて感じるチャクラの気配……。
しかも相当な手練れだろう。
こんなところで修行してるのがバレたらマズイ。
一応、18くらいの青年の姿に化けてはいるものの、ばれないという保証はどこにもない。
しかし、どうやら私に考える暇などくれないようで、
「なんだァ?今時、この死の森で修行しようなんて考える忍とは……珍しい奴だのォお前!」
「……誰だ、アンタは。
人の修行に口出ししないでくれないか?」
ちょっとイラッときてじとりと睨む。
白髪のでっかいおっさんはカラカラと快活に笑った。
「おっと!気を悪くしたのならすまんかったのォ!
しかし、躾がなっとらんようだな!!
よ~く聞け!!あいやしばらく!!妙木山蝦蟇の精霊仙素道人、通称ガマ仙人たぁワシのこと……」
「よし帰るか」
「ってオイコラ糞ガキー!!
人の名をたずねておいてそれはないだろうのォ!!?」
謎の白髪のデカイオジサンに背を向け、さぁ行こうとしたら止められた。
……だって無駄に時間の浪費だろこれ……。
盛大に舌打ちをかまし、振り返ってソイツを睨みつける。
「あのな、こっちは誰とはたずねたが、そんな糞長い肩書きまで教えてくれなんて言った覚えはねーの。
それに……特定の人物以外の情報なんて興味ないし」
「情報に興味ないって……お前さん、それでも忍か!!
ワシなんてなァ?!情報を求め、女湯、いや、温泉で情報を聞き出し!!女湯……いやそこにいる者達とどんなに馬が合わなかろうが必死に交友を深め!!そして女湯……!!」
「少しどころかモロ本音が出てるぞエロ親父な仙人さんよ……。
なんか長いな……エロ仙人でいいか」
なかなか言いやすい……我ながら良いネーミングセンスッ!!
しみじみとしているとギャーギャー怒鳴られた。
全くうるさい奴だ。
「お前……流石にエロ仙人はねェのォ!!もちっと敬意を払ってだな!」
「だってまず名前が分からないッス。
その時点で敬意も糞もあったもんじゃねぇッスよ」
「おま、面倒なだけだろう絶対!!
まぁいい……ワシの名は自来也だ!!
よォーっく覚えとくんだな小僧」
へー、自来也さんねェ……。
ん?ジライヤ??
「ちょ、待てよエロ仙人、自来也ってあの三忍のか?!」
「(お、やっと食いついたのォ!!)
いかにも!!ワシは三忍が一人、自来也だ!!」
「……へ~」
「なんっじゃその興味なさそうな返事と態度はァアアア!!?
全く、親の顔が見てみたい!」
「見たくても見れねぇッスよ。
さて、オレマジでそろそろ帰るんで、達者でなエロ仙人さん」
「お前……もうそれでいいわい。
ところで、帰る前に一つ聞いてもいいか?」
え~面倒ッ……。
とは流石にいわずに、もう一度振り返る。
早く帰りたいんだけどな~。
「……手短にどーぞ」
「うむ、実はの……この里に住んでいるはずの『うずまき ナギサ』という少女に会いたくて来たんだが……。
どこにいるか知らぬか?」
「……は?!
え、おい、その子になんの用事で……?!」
「お前もこの里の者なら知っとるだろうが、あの子には『鬼』と呼ばれる妖魔を体内に封印されていてな……。
その『鬼』について少し教えたいことがあっての」
それは……。
「それは、修行もやることになるのか?」
「無論、『鬼』の力をモノにするには生半可な実力じゃいかんのォ!!
多少手ほどきをするつもりだったが……それがどうかしたか?」
……これは、めちゃくちゃ美味しい物件じゃないか?
ずっと曖昧だった『コイツ』と向き合うことがようやくできる!!
私は、すっと印を結び、術を解いた。
「どうかしたも何も……私がそのうずまきナギサですから、エロ仙人さん?」
「なッ……?!」
「私を強くしてくださるんですよね?よろしくお願いします♪」
ニヤリと笑む姿は幼児とは言い難いものだったと自分でも思うくらい、悪役さながらの笑顔だったと思う。
これが私の師、エロ仙人こと自来也のおっさんとの出会いだった。