うずまきナギサ物語~姉の愛は世界を救う~ 作:レイリア@風雅
「よし、大分見なくても解けるようになってきたな」
エロ仙人が里を出てから早数か月が過ぎ、私は3歳なった。
暗部入隊試験の勉強や修行こそやってるが、世話係も来ないし、何の変哲もない、穏やかな日常を過ごせていると思う。
「ナギサ、調べ物終わったか?」
ひょこっと本棚の間から顔を出したイタチに頷く。
「取りあえずは、だけどな」
「そうか。なら、帰るか」
相変わらず綺麗な微笑みを浮かべるのはイタチ。
私の一つ年上で、もうすぐ四歳になる。
……その……世間一般的に言う友達ってやつだ、うん。
「……悪いな、毎日毎日付き合わせて」
「今日はどうしたんだ?やけに素直じゃないか」
「た、たまには良いだろ!?これでも結構申し訳なく思ってんだよ……!!」
目を丸くするイタチから顔を背け、頬をかく。
別に付き合ってくれって頼んだわけじゃない。
けど……付き合ってくれてんのはイタチの優しさ、なんだよな。
優しいからっていつまでもイタチに甘えてらんない。
それくらい、ちゃんと理解してるつもりだ。
「な、なんだよその顔!そんなに悪いか!?」
「別に悪いなんて言ってないだろう。……ただ、少し驚いただけだ。
お前がそんな風に言ってくれるようになるとは、正直思ってなかった」
……それ、どう受け取ったらいいんだ?
まぁでも、確かに今までの態度が態度だったし、仕方ない……のか?
「……帰り」
「ん?」
「寄り道でもしていかないか?」
「別に構わないが……」
どこに、と続けられる問いかけ。
イタチの隣を通り過ぎ、恥ずかしさを紛らわせたくて可愛げの欠片もない仏頂面を顔に張り付け、私は振り返った。
「甘栗甘。奢ってやるよ。お前、もうすぐ誕生日だし……団子とか甘いもの好きなんだろ?」
「!」
途端にイタチの目が輝いた。
そのままずんずんと歩調を早め、ぐいぐい腕を引っ張ってくるもんだから呆気にとられる。
コイツのこんな子供っぽいとこ、見たことなかった。
「ちょ、おいイタチ!そんな慌てなくても甘味処は逃げないぞ!?」
「団子が売り切れてしまうかもしれない!」
「いやいや団子はそんな早く売り切れねーよ!?」
「だがあそこの団子は美味しいんだ!今日に限って行列が出来ているかもしれない!
善は急げだナギサ!!」
「どんだけ団子への欲求激しいの!?」
引きずられ、半ば駆け足になってしまっていることにも気付かずに待ちきれないといった様子に意図せず笑みがこぼれた。
イタチにもこんなに子供らしいとこあるんだな。
そう思ったらなんか安心して、私だけじゃないんだとホッとした。
「しょーがねーなぁ……」
いつも付き合ってもらってんだ。
たまには私が付き合わないと、だよな。
それに……もうすぐ特別な日がやってくる。
「イタチ」
「ん?」
「ちょっと早いけどさ……誕生日おめでとう」
「!」
驚いたような顔して立ち止まったイタチの手を今度は私が引っ張った。
「なーに立ち止まってんだよ?団子、売り切れちまうぞ」
「あ!」
結局二人で競い合うように甘栗甘へと走り出したのはまた別の話。
そんで、最終的にイタチの腹に10本以上の団子が収まって私の財布が悲鳴をあげたのもまた別の話。
今回はちょっと短め、日常編でほのぼのにしてみました。
そしてそして久しぶり兄さん!
とっくの昔に6月9日なんて通り過ぎてるぜ!なんてツッコミはしない方向で……。
時間軸が違うってことでご了承ください(;^ω^)
ちなみにナギサの誕生日は4月25日の設定。
え?イタチはやってナギサの誕生日はやんないのかって?
いやぁ、エロ仙人と修行もあったし、暗部入隊試験の準備もあったし忙しかったんだよきっと!
それに聞き忘れてるんだよイタチが!
……すみません白状します、忘れてました作者が←
そこらへんは適当に話合わせようと思いますです←