レモン   作:木炭

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 寒い。

 チャンチャンコ的なものが欲しくなる。

 現在のこの状況がそう思わせている。

 

 凶狸狐ヘリでの夜間飛行。

 寒気に加えてあまりの眠気に空の旅を楽しむ前に、意識を手放した。

 何か話していた記憶が僅かにあるが、他愛もない事だったはずだ。

 

「ナップ、起きて起きて」

「……あん? お、おお? 着いた?」

「うん。ほらほら、ザバン市だよ」

 

 ゴンの後ろでこちらを窺っている、人に化けた凶狸狐。

 その隣でレオリオがこちらを睨み付けて来ているが、はて?

 何かした覚えがまったくない。

 

 クラピカに手で制されているようだし、無視して置いても大丈夫そうだ。

 意識を切り替え、眠りこける俺を運んでくれた凶狸狐ファミリーに頭を下げる。

 

「ありがとうございました」

「律儀だな……では、行くとするか」

 

 凶狸狐の夫婦と娘さんとは別れ、息子さんを先頭にザバン市内を歩き始める。

 市内はドーレ港と比べて大きなビルが建ち並び、人の往来も多い。

 都会というか町を歩くとまるで海外旅行気分に陥る。

 

 いやはや、改めてここは元の世界とは違うんだな。

 都市にはつきものの広告やら看板はどれもが見た事のないソレで、知らないものだらけだ。

 ゴンと同じく絶賛おのぼりさん状態で歩き続ける。

 

「──向こうの建物だな」

「あれが会場か」

「わー、すごいや!」

 

 目を輝かせて大きなビルを見上げるゴン。

 確かにすごい。

 この前衛的なデザインのビルをバックに記念撮影がしたいという、俺のかっぺ魂が疼く。

 

「ここに世界各地から──」

 

 レオリオがビルを見上げて誰に告げるでもなく言う。

 

「──ハンター志望の猛者が集まるわけだな」

 

 クラピカがレオリオのその言葉を繋ぐ。

 俺達もこんな感じで言葉のリレーをしようと、ゴンに目で告げる。

 

「ゴン、ここからだ。俺たちは──」

「──あ、うん。そうだね!」

 

 ゴンにクラピカのような詩的な言動を期待した俺が間違っていた。

 次からはぶっこむ相手をよく考えよう。

 

 

 

 

 

「おい。そっちじゃないよ。こっちだよ」

 

 四人揃って、息子さんのナビゲーターが指差す方に目を向ける。

 めしどころ『ごはん』と書かれたこじんまりとした飲食店。

 ここが試験会場であるらしい。

 

 まったく記憶にないが、嘘を言っている訳ではなさそうだ。

 レオリオが息子さんに対して否定の言葉を並べ立てている。

 それに反論する形の息子さん曰く、カモフラージュとしてこういった店舗をあえて会場の入り口にしていると告げられる。

 

 とにかく店に案内されるがままに追従し、店主に注文する息子さんに全てを任せる。

 息子さんが店主に向けてステーキ定食を弱火でじっくりと伝えると、店員により奥の部屋とすぐに案内される。

 

「一万人に一人」

 

 さほど広くはない個室に入ると、前置きもなしに息子さんが述べる。

 俺も含めて四人揃ってポカーンだ。

 

「ここに辿り着くまでの倍率さ。お前達、新人にしちゃ上出来だ」

 

 ほー。

 ゴンとずっと一緒にいたから感覚がズレていたんだろうか。

 ここへ辿り着くだけでも世間一般と比べて規格外なのかもしれない。

 

「それじゃ頑張りな、ルーキーさん達。お前らなら来年も案内してやるぜ」

「あ、案内ありがとうございました」

「……またな」

 

 個室の扉に手を掛け、去り際にそう言って退出する息子さん。

 お礼はちゃんと言えよとゴンを睨み付ける。

 てへへと頭を掻いて忘れてたと告げてくる。

 

 卓の上にはジュージューと音を立てるステーキ。

 とにかく四人でそれぞれの席につき、肉に手を付ける。

 個室自体がエレベーターの箱であるようで、下降していくのを理解する。

 

 そういえば昨日から何も食べていない事を思い出す。

 だが、他に何かとんでもなく大事な事を忘れている気もする。

 肉をモグモグしつつ考えるも、思い出せない。

 

「失礼な奴だぜ。まるでオレ達が今年は受からねーみたいじゃねーか」

 

 ここまで案内してくれた息子さんに対して、悪態を吐くレオリオ。

 言葉だけを取れば、確かに失礼ではあるけども、仮にもここまで案内してくれたんだからさ。

 もう少しオブラートに包んで欲しい。

 

 ババァかよ。

 まったく。

 

「三年に一人」

「ん?」

「ルーキーが合格する確率……だそうだ」

 

 クラピカがそう口にして、続けて過酷なテスト内容やライバルとなる受験者同士のつぶしあいについて語る。

 それを聞いて、肉を口に運び込む手を止めゴンが顔を上げる。

 

「──でもさ、何でみんなはそんな大変な目にあってまでハンターになりたいのかなぁ」

 

 ゴンのこの発言に触発されたらしいクラピカとレオリオ。

 双方の考えは正反対に聞こえるが、ハンターについての講釈が始まった。

 クラピカは崇高な、やや夢見がちとも言えるハンター像を語り、反対にレオリオは俗物的なハンター像を語る。

 

 肉と一緒に二人の言葉を自分なりに噛み締める。

 

「ゴンはどっちのハンターを目指すんだ!?」

「どっちって言われてもなぁ……あ、ナップはどう?」

「うーん、手段って意味だとレオリオの言う方かな」

 

 早々に食事を終え、楊枝でしーしーしつつゴンからの問いに答える。

 レオリオの言う富の象徴としてのハンター。

 クラピカが言う名誉の象徴としてのハンター。

 

 どちらを目指すかというと、俺は前者のレオリオと同じだ。

 でも富を得るのは手段であって目的ではない。

 

「ナップ、それはどういう意味だ?」

「おうおう、わかってるじゃねーか!」

「……やってしもうた」

「ナップ?」

 

──チーン

 

 テーブルに突っ伏し、重大な事を忘れていたと思い出す。

 肩を揺さぶられ、会場に到着したから行くよとゴンに引っ張られる。

 おぼつかない足取りで歩き、多くの人の気配に苛立ちが募る。

 

 トンネル内部のような薄暗い空間に大勢の受験生がひしめき合う。

 どいつもこいつも甘くなさそうな顔で見やがって。

 男は加齢と共に苦そうになるのは何故か。

 

 そんな事はどうでもいい。

 何故、お菓子を買い求めるというイベントを忘れていた。

 おのぼりさん状態で市内を暢気に歩いていた過去の自分を殴り飛ばしたくなる。

 

 道中、コンビニらしき店舗は目に止まらなかった。

 それでも探そうと思えばコンビニくらいあったはずだ。

 クソクソクソクソ。

 

「ナップ、大丈夫?」

「おう、急に黙り込んでどうした? 具合でもわりぃーのか?」

「……うん、大、丈夫。ごめんごめん」

 

 全然大丈夫ではないけれど、心配させてしまうのは気が引ける。

 元気をアピールする為に、肩をぐるぐると回す。

 これで元気がアピール出来るのかはわからないが、やらないよりはマシだ。

 

「本当に具合が悪いなら言えよ?」

「うん、ありがとう」

「もしや、食あたりか? 薬であれば持参しているぞ?」

「クラピカも、うん、ほら、大丈夫だから」

 

 意外な事に本気で心配しているらしいレオリオに驚く。

 これまでカリカリしどうしのレオリオに抱いていた印象が今や嘘の様だ。

 おばさんというより、お母さん気質なんだろうか。

 

「よっ。どうしたんだい? 具合でも悪いのかい?」

「……」

「知り合い?」

 

 唐突に声を掛けてくる中年の男。

 クラピカかレオリオの知り合いだろうか?

 俺の疑問の言葉に対して、二人とも首を振る。

 

「オレはトンパ。急に声を掛けたのは何か困っているようだったんでね」

「──あ、どうも」

 

 男を無視して丸っこい小さい人から406と書かれた番号札を受け取る。

 

「そっか。ありがと。あ、でも大丈夫みたい」

 

 わりと無礼な行動となってしまったが、タイミングが悪いので許して欲しい。

 俺より先に番号札を受け取っていたゴンが、変わりに応対してくれている。

 

「そうか……ま、オレは35回もテストを受けてるからね。困った事やわからない事があれば何でも言ってくれよ」

 

 番号札をどこに付けようか、手で体中をまさぐりつつも話し掛けて来た男を見る。

 んー、言葉の内容と特徴的な鼻に角刈り……。

 思い出した。

 

 こいつは知っている。

 トンパという名と歯抜けだらけの記憶とが合致する。

 内容はほぼ覚えてないが、確か……何かと妨害してくるおじさんだ。

 

 レオリオとクラピカの方をちらりと見る。

 彼らもトンパに対して疑いの目を向けている。

 俺達が警戒するのを他所に、ゴンはトンパから色々と聞いている。

 

──ギャァァアアア

 

「アーラ不思議♥ 腕が消えちゃった♠」

「オ、オレのォォォオオオ」

 

 不意に響く悲鳴。

 その発生源では肘の辺りから先を失い、跪き悲鳴を上げる男。

 

「気をつけようね♦ 人にぶつかったら謝らなくちゃ♣」

 

 腕を失った男に対して、その原因であろう珍妙な服装の男が告げる。

 その表情と声色は楽しげだ。

 トンパとは違って、一目見て理解する。

 

「ちっ……危ない奴が今年も来やがった。44番奇術師ヒソカ。去年合格確実と言われながら、気に入らない試験官を半殺しにして失格になった奴だ」

「……そんな奴が今年も堂々とテストを受けられんのかよ」

「フン。まあ──」

 

 レオリオの疑問の声に、トンパが丁寧に答える。

 何でも試験官が“合格”と言えば何があっても合格で、失格もまた同じであるらしい。

 最後にヒソカには近寄るなと締めくくるトンパ。

 

 遠目にヒソカを眺めていると、彼は人の海へと消えていくので見えなくなる。

 一瞬だけ、こちらを窺っていたようにも思えたが確証は持てない。

 背中でこちらを見ていた。

 そんな表現がしっくりくるほどの僅かな視線を感じた程度だ。

 

「おっと、そうだ。お近づきの印だ。飲みなよ」

 

 カバンから缶ジュースを取り出すトンパ。

 一本は自分で口をつけ、薦めてくる。

 他人であっても人が大怪我をした場面を目の辺りにしてすぐ、飲み物を勧めてくるトンパ。

 

 話し上手に見えて、空気が読めないんだろうか。

 いや、空気が読めないというより怪しさ爆発という自覚はないのか。

 もしくは、それらも含めてわかっていての行為か。

 

「ありがとう!」

「あ、どうも」

 

 反射的に受け取り礼を述べる。

 この世界に自分も流されているなっと実感する。

 ゴンはもう腕を失った男の事なんて視界にすら捉えていない。

 

 まじまじと缶を見て、同じく缶を手にする三人に視線を送る。

 ゴンは躊躇する事無くプルタブを開け、缶に口をつけている。

 こいつ、マジか。

 

「あ」

「れろ」

 

 ダバダバと口の中の液体を吐き出すゴン。

 初対面の相手に渡された飲食物をノータイムで飲む?

 しかも、この状況で!

 

「大丈夫?」

「むー……トンパさんこのジュース古くなってるよ! 味がヘン!」

「え!? あれ? おかしいなー? アハハハハッ……」

 

 クラピカとレオリオは動揺を隠せないトンパの言葉を聞き、缶の中身を地面に捨てている。

 俺は俺で未開封のままの缶を手に考える。

 トンパの動揺っぷりからして中身が単純に古くなっていただけだろうか。

 

 缶に記載されている製造年月日を確認。

 なるほど、作られたのは一ヶ月ほど前、か。

 古くなって味が変化しているという線はない。

 

「製造年月日、去年の12月ってなってるけど?」

「む。確かに……古くなっていたというのはおかしいな」

「何!? オイオイ、こりゃーどーゆうことだ?」

 

 俺の指摘にクラピカとレオリオも手にしたままの缶を確認する。

 

「え、いや、そのー、何だ……買った店が不味かったのかなー……申し訳ない!」

 

 手を合わせて頭を下げるトンパ。

 彼が言う店の責任だという主張にも無理がある。

 実際に自分も同じラベルが貼られたジュースを口にしていたのだから。

 

 その一本だけが違う店で購入したとするのも不自然だ。

 これは缶の中身にトンパ自身が何かしらの細工を施したと見るのが自然。

 さて、これは落とし前をつけた方が良いのか否か。

 

「うーん……」

 

 さすがに、人の良いゴンもトンパの言葉に無理があるのを理解してか、腕組みして考え込んでいる。

 クラピカとレオリオも無言ではあるが、トンパを睨み付ける。

 

「何、入れた?」

「え? いや、何って?」

「まだ誤魔化す? それならそれで別に良いけど」

 

 俺からの追求は終わったと思ったのだろう。

 視線を逸らしたトンパの目に一瞬だけ安堵の色を浮かぶ。

 

「ゴン」

「ん?」

「お前がやる?」

 

 冗談なんて一ミリも介入させない意思を込めてゴンに告げる。

 

「やっぱり、トンパさんはオレ達を騙そうとしてたの?」

「そんなつもりはないって! 何度も言ってるじゃ、だろ」

「騙すというより殺そうとしてたんじゃないの?」

「え!?」

 

 たぶん、ゴンからの問いに正直に答えれば許された。

 少なくともゴンはそれで許しただろう。

 しかし、トンパの回答は胡散臭さと苛立ちが混じる、それだ。

 

「暢気な事言ってる場合でもないよ。解毒剤か何かをこいつが持ってなかったら不味い。最悪、試験は棄権して病院に行かないと」

「いや、待ってくれ! オレは毒なんて入れてないぞ! そっちが何を誤解してるのかはわからねーが……」

「とにかく何が入れられてたのかはわかんないけど、口に含んだだけでもヤバイかもでしょ」

 

 やっぱりゴンには無理だろうから、俺が動こう。

 毒を盛ってくるような相手だから、解毒剤の類は所持している可能性はある。

 それでも、今の今まで苦しい言い訳を並べるトンパが素直に差し出すとは思えない。

 

 そもそも解毒剤を服用したからといって、肉体へのダメージを全て消し去れるとも思えない。

 医療に関する知識なんてないけど、ここは最悪を考えて動くべきだ。

 

「んー、トンパさんは本当に何も入れてないの?」

「あ、ああ。本当に心当たりがない!」

 

 加えて毒を盛ってきた相手を見過ごす訳にも行かない。

 警察に突き出すなんていう悠長な事もしていられない。

 もしかするとゴンの命に関わるんだ。

 

「あ、あれが試験官?」

「お?」

 

 会話の内容に一切関係のない、俺の発言と指差す方にトンパを含め四人が一斉に意識を向ける。

 そこで生じた隙に、さほど背丈の変わらないトンパの頭髪へと右手を伸ばし掴む。

 一瞬、抵抗を感じるものの足元へと引きこむ形で、鼻先から地面へ向けて叩き込む。

 

──ゴッ

 

 鳥を絞める時のような感触が手に伝わってくる。

 力加減を間違ったかもと一瞬頭を過ぎるが、くぐもった呻き声を聞いて安堵する。

 

「ぅぐ……おっ……」

「あ」

「オイ」

「……息はあるようだ、な」

 

 倒れ伏すトンパの体からカバンを引き剥がし、クラピカへと投げ渡す。

 辛うじて意識はまだあるようでトンパの体が一瞬硬直する。

 

──ゴッ

 

 すかさず、掴んだままの頭部を地面へと再度打ち付ける。

 

「クラピカ、ありそう?」

「……うむ。おそらくこれだな」

「どれ、見せてみろ」

 

 何も言わずともクラピカはトンパから引き剥がしたカバンの中身を改め、色違いの二種類の小瓶を見つけ出してくれたようだ。

 取り出された二つの小瓶をレオリオがクラピカから取り、確認している。

 

「なるほど。こりゃ下剤を入れてやがったようだな。んだが、これは解毒剤ってよりも強力な下痢止めだな。強力過ぎて体に不調がねーんなら飲まない方が良いくらいだぜ? 副作用で毒にもなる」

「ゴン、どうする?」

「それよりトンパさん、大丈夫?」

 

 どうだろう。

 大きな鼻は間違いなく折れているだろうが、死んではいないと思う。

 

「ちゃんと加減はした。それより、ゴン。体調は?」

「うーん……すぐ吐き出したし下剤が入れられてたんなら持って来た薬草があるから、それ噛んでおけば平気だと思う」

「そっか」

 

 トンパを仰向きにして胸に付けられた番号札を引き剥がす。

 これで受験資格を失うのかはわからないが、一応取っておく。

 一連の騒動を見ていたであろう周囲の連中からの視線が鬱陶しい。

 

 どうやらトンパは完全に気を失っているようだ。

 もう用は無いのでトムチャから離れ、三人の方へと一歩、ニ歩と距離を縮める。

 

「お、おい、もう大丈夫なのか?」

「へ?」

「いや、オメェに近づいても平気かって意味だ」

「ベタベタくっつかれるのはいつでもイヤだけど?」

 

 やや顔を引き攣らせたレオリオからの問いに素直に答える。

 すると、更に顔を引き攣らせるレオリオ。

 何故かクラピカも引いている気がする。

 

「そ、そういう意味で言ってんじゃねぇ……よ」

「大丈夫だよ、レオリオ」

「そ、そうか。ゴンが言うならそうなんだな。とにかく、このオッサンどうするよ」

 

 どうしよう。

 この世界基準から言うと、ここで息の根を止めておくべきなのかもしれない。

 だいぶこちらの基準というか倫理に流されてはいると自覚はするものの、殺すとなるとまだ忌避感がある。

 

「これ以上、危害を加える必要はないだろうと私は考える」

「オレもだな」

「うん。オレも」

 

 三人共これくらいが落とし所だと主張する。

 若干やり過ぎだよという意味を込めた視線をゴンから受けるが、無視する。

 殺意があると疑われるような行動を取った代償としては、トンパが受けたものは手ぬるいはずだ。

 

 そう自分に言い訳をして考えをまとめる。

 一つ、小さく息を吐き荒んでしまった心を落ち着かせる。

 

「やあ♥ コレ、やったのは君かい?♠」

 

 目を細め、口元に笑みを張り付かせた顔。

 視線は倒れ伏したトムチャへと向けられている。

 ぞくりと背筋が凍る。

 

 これだけの人数が居る場所で、尚且つハンター試験だ。

 気を緩めていたつもりは微塵もない。

 それでも、この男が近づいて来た事に気付けなかった。

 

 ゴンの右肩に顔を乗せるという奇妙な姿勢で、俺に視線を向けてくる男。

 中々にインパクトのある声の掛け方だ。

 ゴンの表情が強張っているのが見て取れる。

 

「やったのはこの人です」

 

 咄嗟にレオリオの方を指差し、男に告げる。

 この距離で接して理解した。

 

 ヒソカ、恐ろしい子。

 

 

 

 

 


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